水野浩聡さんが釣れ続けるために行っているのが『基準』を作ること。ルアーローテーションであったり、ポイントの狙い方、魚の好みなど、オリジナルの『基準』を作り、1日の釣りの展開を構成していくのだという。なおこの『基準』は絶対的に正解である必要はないのだそうだ。あくまでも相手は自然。どんなに考えても外れるときは外れてしまうことはあるわけだ。しかしそれでも『基準』を作ることで、魚の価値は上がり、2尾目、3尾目へと続くバス釣りらしい展開が可能になるのだ。
自然相手だから外れてもOK! 思い込みでもいいから基準をつくりましょう!
【Profile】
水野浩聡(みずの・ひろあき)
ため池と長良川という、両極端なフィールドで腕を磨いた爽やか長身アングラー。フィネスから巻き、撃ち、ビッグベイトまで多彩にこなすほか、キャスティング技術も超一流だ。
魚のコンディションに応じた4パターン
水野「なぜ釣れたのか? 何が良かったのか? 納得のいく魚を釣って、バス釣りにゲーム性を生み出すためには『基準』が必要となります。そこで自分が目安にしているルアータイプを紹介します。巻くか落とすか、速いか遅いかの2×2の4通りにルアー(リグ)を分けるんです。ベースとなるローテーションもこのタイプを基準に考えていて、『巻く×速い』で気になるとこを通して、『落とす×遅い』でニュートラルな魚を狙います。次に『巻く×遅い』で食い気のないバスにアプローチします。最後の『落とす×速い』は真冬のメタルバイブのような、無理やり口を使わせる系の釣りですね」
重要!水野流ルアータイプ論
1.巻く×速い
クランクベイト、チャターベイト、バズベイトなど。イケイケのバスを効率よく釣っていける。いわゆるサーチ系。
2.落とす×速い
バイブレーション、ジグ、ネコリグなど。極限状態のバスにも無理やり口を使わせられる釣り。リアクション。
3.巻く×遅い
スピナーベイト、ジャークベイト、スト系。食い気はあるものの、いまいちヤル気の無いバスに有効。
4.落とす×遅い
ノーシンカー、ジグヘッドワッキー、スモラバ。ニュートラルなバスにも使いやすく、プレッシャーにも強い。
動き
巻く:バスを呼び寄せる
落とす:バスを迎えに行く
スピード
速い:食い気のある魚に有効
遅い:スレや環境変化などによって、コンディションの悪い魚に有効
1尾目を目指してやること
朝イチならシャローへ
水野「1日の釣りで考えると、季節問わず、朝イチはできるだけ浅い場所に行きますね。釣り場の中でバスが入れる一番浅いであろうシャロー。フィールド規模によって変わってくるイメージで、琵琶湖で言えば2m以浅、ため池なら50cmくらいですかね。簡単に言えば、フィーディングに上がってくる魚を狙うわけです。ちなみに浅い場所って、ギルだったり、カエルだったり、ザリガニだったり、比較的逃げるのが遅いベイトが多いんですよ!」
釣れないときは?
【ノーフィッシュ脱出法】『対極』を探るべし!
水野「魚からの反応を得られないときに意識しているのは、『対極』を調べることですね。例えば、朝イチにシャローをやったのなら、その近くにある深くなった場所。流れがある場所をやっていたのなら、流れをブロックできる場所…とかです。そういった場所を、『巻く×速い』から初めて、その対極である『落とす×遅い』釣り、『巻く×遅い』釣り、『落とす×速い』釣りと、ローテーションして探っていきます。間違っていてもいいので、何かしらの意図を持って釣り場だったルアーを変えていってください。自信をもった釣りが覆されたとき、それはきっと大きな進歩につながるはずです!」
釣れたときにあと1本を釣る極意
釣れた場所は流れが当たるのか? 防ぐのか?
水野「流れに対して、バスがどうあろうとしているのかは重要な基準となります。このあり方というのは、大別するとカレントが当たる水通しのいい場所にいるのか? はたまたインサイドや張り出しの裏など、反転した流れや直接的な流れを防げる場所にいるのか? ということですね。自分の釣りのベースが長良川にあるからというのもありますが、大なり小なり釣り場にはカレントが発生しているんです。それは例えばため池なんかでも同様で、インレットがあれば当然アウトレットもあって流れは生じているし、風向きによって生じる水の動きも流れとして考えられます。釣れたバスの居場所をもとに、その日のバスがどういった場所を好むのかを探していくんです」
流れの当たる場所
アウトサイドベンド、張り出し、チャンネルライン、インレット、風下のバンクなど。
流れの当たらない場所
インサイドベンド、張り出しの裏、インレット脇の反転流、消波ブロック帯の内側など。
なぜ流れが重要なのか?
水野「バスが好む環境の要素って、大きく分けると流れ、シェード、カバーの3つだと思うんです。そして多くの場合、これらが組み合わさった場所ほど有望な場所となるわけですが、カレントの要素が際立ってくると実感しているんです。例えば、真夏にシェードがなくてもカレントの中にはバスがいることは多いですし、カバーに入れても流れが無いところでは食わせにくい。おそらく、バスにとっての優先順位は、流れ→カバー→シェードなんだと思います」
超1級ポイントに見る数釣り論
水野「よくデカい魚ほど1等地にいるって言うじゃないですか。例えば、シェードとカバーとカレントが全て揃っている場所。そこにはたしかにデカい魚がいるのですが、1尾が陣取ってしまっていることも多いんです。複数尾釣ることを求めるのなら、1級ポイントを少し外すのがキモですね。例えば、インレットのど真ん中ならデカいのが1尾、その周りの反転流を攻めれば、サイズはともかく数釣りが楽しめるかもしれません」
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!