夏シーバス! タフなサッパパターンは「ルアーローテ」で攻略すべし!!【ヒヤマンの茨城涸沼1年釣記】



関東唯一の汽水湖であり、東京湾に次ぐシーバスフィールドとして名高い「涸沼」。特に秋のイナッコパターンは有名で、毎年多くのアングラーがランカーシーバスを追い求めチャレンジしに訪れる。しかし、決してイージーではなく、地元の名手も手を焼くほど癖の強いフィールドであるのが涸沼。そんな涸沼に20年以上通い、エキスパートとしてコンスタントに釣果を出し続けるのが「涸沼のヒヤマン」こと檜山敏崇さん。今回は涸沼の初夏~夏の定番パターン「サッパパターン」の攻略法を解説していただきます!

涸沼シーバスから茨城サーフまで! 茨城のランカーハンター・ヒヤマン!

【Profile】

檜山敏崇(ひやま・としたか)

茨城シーバスの聖地・涸沼をホームとするDAIWAフィールドテスター。「涸沼=ヒヤマン」と呼ばれるほどの涸沼水系エキスパートであり、これまでに数多の涸沼ランカーをキャッチしてきた凄腕。大型ルアーからワームまで、幅広いルアーを使いこなし、難攻不落とされるボイル攻略も得意とする。茨城サーフのフラットフィッシュのエキスパートとしての顔も持つ。

檜山さんの涸沼シーバス攻略「初夏~夏はこう狙え!」

攻略項目攻略情報
季節6月~7月
水温25℃前後
ベイトサッパ
パターン常夜灯や外灯の明暗部へのドリフト。
狙い目潮回り満潮潮止まりからの下げのの動き出し
ルアー選択潜行深度1m未満リップレスミノー、潜航深度1m前後の12cmクラスフローティングミノー、シンキングペンシル、S字形ジョイントプラグ
ルアー例「モアザン クロスカウンター125F」
「SLS ZバーティスR125F」
「モアザン ガルバスリム110S」
「モアザン レイジーファシャッドJ138S」
ロッド例バットパワーがありながらも繊細なティップを兼ね備えた
「モアザンブランジーノEX AGS 97ML/M」

前回の記事はコチラ



涸沼のサッパパターンと現在の状況は!?

檜山「こんにちは。茨城県のDAIWAフィールドテスター・檜山敏崇です。今回は前回の記事の文末にもチラッとお話した、涸沼水系の初夏~夏にかけての「サッパパターン」を私なりの考察ではありますがご紹介したいと思います」

――お、きましたね、サッパパターン! 具体的に涸沼ではいつ頃まで成立するパターンなんでしょうか?

檜山「涸沼水系のサッパパターンのシーズンはGW頃から始まり7月後半から8月初頭にかけての約3ヶ月くらいです。ピークは6〜7月で、8月の夏本番になると少し数も薄れてきます。

盆頃になり連日の猛暑が続くと涸沼本湖の水温が30℃を超えるほど上昇し、溶存酸素量の影響かそれにより涸沼に居ずらくなったイナッコの群れが一時的に河川に大量に落ちる事があります。サッパは居ることは居るのですが、それまで目立っていたサッパの影が大量のイナッコによって目立たなくなり、シーバスはサッパよりもイナッコに目がいくのではないかと感じています」

――ということは只今シーズン真っ只中! 今年の状況はどんな感じでしょうか?

檜山「 今シーズンのサッパの河川入りは例年より早く3月後半から4月頭には河川内でちょろちょろと確認することができました。

それに比例してシーバスの入りも早いと予測していたのですが、前回にも書いた通り春先の水温も例年より低く渋い状況が続いていた事もあり、サッパが増えてきてもシーバスが少ない状況がしばらく続きました。

さらにGW辺りから田植えの代掻きの影響を受け涸沼水系は釣り辛くなります。普段の雨後の増水した水色とは違い、灰汁が混ざった様な濁り水が出るのでそれを嫌ってなのか、シーバスからの反応がピタッと無くなるのです。

それでも濁りの薄れる上げ潮のタイミングを狙ってなら、シーバスの顔を拝む事も可能なのですが、今シーズンの上げ潮も雰囲気はいまいち。5月はサッパの量に比例してシーバスの河川内ストック数も極端に少なくほんとに釣り辛い状況でした」

――スーパーロコの檜山さんがそこまで言うとは…ホントにタフな状況だったんですね…。

涸沼のサッパパターンは「光」がある場所を狙うべし!

――そんなタフな今年のサッパパターンですが、それでも攻略法はあるんですか?

檜山「もちろん!キーになってくるのはズバリ「光」です。

サッパは涸沼本湖にも入り込みますがイナッコに比べると数が少ないうえ、回遊性が強いので、涸沼に入ったサッパだけを見つけるのは至難の業。涸沼でも運良くサッパのまとまった群れに遭遇できればチャンスなのですが、何せ神出鬼没の回遊魚なので本湖でサッパの群れを見つけたとしてもそのポイントが2日連続でシーバスの釣果に恵まれることはごく稀です。

しかし、『光』があれば話は別です。サッパは光に集まる習性があるので、明るい所に集まります。代表的なポイントとなる橋の明暗以外にも、真っ暗なエリアにポツンと街灯があったりするとそんな場所もサッパは集まりやすい魚です。

すると、小さな街灯の柱が作る明暗などにシーバスが隠れて、周辺のサッパを捕食したりしています。サッパを探すにあたり、まずは水面を照らす街灯の有無をチェックし、暗くなるタイミングにサッパが集まっているかを確認するのも良いかもしれません。

そんなサッパ付きのシーバスを狙うのは主に涸沼川です。河川はポイントを絞りやすく、流れを利用してルアーを操作し狙いのコースに流し込む事が可能なのでゲーム性が高く、個人的にも好きな釣り方の一つです」

――明暗へのドリフト的な部分をみると東京湾奥河川のサッパパターンにも似ていますね!ドリフトをするということはロッドの操作性も重要になりそうですね。

檜山「そうですね、メインになってくるのが9〜12cm前後のフローティングミノーなので、僕の中でこの釣りは『モアザンブランジーノEX AGS 97ML/M』がマストです」

檜山「流れの中を、ルアーをコントロールしながら『流す』この釣りではティップから伝わってくる情報がかなり必要となってくるので、流した先でヒットしても。しっかりフッキング決めて主導権を握らせないMクラスのバットパワーと、MLクラスのティップで繊細な釣りも可能です。私が今時期の河川メインで使っているタックルですね」

檜山さんの初夏のサッパパターン用タックル

  • ロッド:モアザンブランジーノEX AGS 97ML/M
  • リール: ルビアスエアリティLT4000-CXH
  • メインライン: モアザンセンサー8ブレイド1.2号
  • ショックリーダー: モアザンリーダーEX II TYPE-F(フロロ)20LB(※すべてDAIWA)

ルアーローテでレンジを細かく刻みながらバイトを導き出すべし!

――前述したように河川でのドリフトということは、春と攻め方がけっこう似てますよね。

檜山「おっしゃる通り、前回のコノシロパターンの時と同じく、基本は川の流れを利用して流し込んでいくドリフトの釣りです。10~12cmのサッパに混じりコハダサイズのコノシロも混じってくるので12cm前後のミノーやシンペンを軸に状況に応じてS字系のジョイントプラグをローテに入れながら誘っていきます。私が軸としているルアーは下記になります」

画像上:モアザン クロスカウンター125F、画像下:モアザン クロスカウンター97F(全てDAIWA)

檜山「サッパターンで重要なのがルアーのレンジセレクトです。サッパは暗くなると水面付近を泳ぎまわり、プランクトンなどを食べています。よって水面直下から1mくらいのレンジを徐々に刻みながら探っていくことが重要です。

クロスカウンターはイナッコパターンにもバチパターンにも効くルアーなのですが、河川の流れを利用した『流す釣り』においては実績の高いルアーです。流れの変化に入ると一瞬バランスを崩し補食のタイミングをオートマチックに演出してくれます。サッパに頻繁にボイルしている時は先ず初めに投げるルアーです。

――シャローレンジ+ドリフトとなれば確かにリップレスのクロスカウンターが先発なのも納得出来ます!

檜山「さらに河川のサッパパターンでは飛距離、レンジ、ベイトサイズ、シルエット等、サッパにイミテートさせると選ぶルアーもそれなりに絞り込まれてきます」

画像上からSLS ZバーティスR125F-SSR、SLS ZバーティスR125F、SLS ZバーティスR98F、SLS Zセットアッパーslim95F(※全てDAIWA)

檜山「サッパは上から見ると縦に平べったい魚です。言うなればバイブレーションプラグのようなシルエットをしていますが、バイブレーションだと流し込む際に沈んで行ってしまうので思い描くレンジを引けません。

一定のレンジを流しながらゆっくり引くドリフトの釣りではやはりフローティングミノーに軍配が上がります。実際のベイトであるサッパと比べるとフローティングミノーの方が断然太いですが、シーバスは躊躇なく食ってきます。

サッパが慌てふためき、何かに怯えた様な動きをしているが、ボイルはないという状況ではレンジを入れて水面下1m前後を攻めてみます。

画像上のSLS-ZバーティスR125F-SSRやセットアッパーslim95Fを通しても反応が無い場合は、さらにレンジを下げてSLS-ZバーティスR125F、98Fで1m位のレンジを意識して引くようにしています。

――シャローエリアでレンジを入れていくならリップ付きのミノーですね、DAIWAのSLS-Zシリーズならレンジごとのラインナップも豊富ですからセレクトしやすいですね。

檜山「また、飛距離も稼げて水面下を引けるシンキングペンシルも欠かせません。シンペンの中でもこの3種は比較的浅いレンジを引く事ができます」

画像上からスイッチヒッター120S+R、スイッチヒッター85S、ガルバスリム110S(全てDAIWA)

檜山「特にガルバスリム110Sはアップ気味に投げてレンジをキープしながらテールスイングさせないロール域の速度で通すと、ミノーに反応しなくなりスレが進んだかな?と言う時に一発で食ってきた事が何度もありました。

風が強い時など飛距離も出るのでシンキングペンシルはルアーローテの中に必ず入れています。

またジョイントプラグもサッパパターンには効果的です。追われてるサッパもイナッコ同様ジグザグに逃げ惑う仕草を見せます。そんな時は『ファシャッドJ』の出番。リーリングに強弱を付けてリアクション気味に誘うとやる気のあるシーバスはガツンと襲ってきます!」

画像上:レイジーファシャッドJ100S、画像下:レイジーファシャッドJ138S(※全てDAIWA)

――シャローレンジを中心としたルアーセレクトながらも、アクションや飛距離、ルアーサイズに細かいレンジ感と、いかにシーバスが好むものをアプローチさせるかが重要なんですね! 想像以上にテクニカル!

檜山「そうですね、難しいんですけど、面白い部分でもありますね(笑)」