夏になるとベストシーズンを迎えるのが源流の釣りです。しかし、厳しい自然と向き合いながら釣りを楽しむには、山や川に対する知識と、自分の身を守るための行動が必須。今回は源流釣り師として豊富な経験を持つ朝賀敬一さんに、実際に体験した山釣りでのエピソードを語ってもらった。
【Profile】
朝賀敬一(あさか・けいいち)
愛知県春日井市のプロショップ「ザ・ナチュラリスト・リバーサイド」のフィールドスタッフを務める。山岳会「名古屋ACC」に所属し、沢登りや本格的な源流釣りを楽しんでいる。今回は実際に経験した『シャリバテ』について解説してもらった。
南アルプスの源流釣行
数年前に、2泊3日で南アルプスの宇洞沢を訪れたときのことです。沢登り&釣行を終えて、3日目の朝から尾根伝いに下山を始めました。
僕は方向音痴なので、道中のルートの選択は「地図読み」が得意な同行者にほとんど任せてしまったのですが、なんと3回ほど道に迷ってしまいました。
尾根が広くなだらかで、作業道が無数に存在していたことが大きな原因です。
その結果、目的の沢の出会いに到着したのが16時くらい。お盆の頃ということもあり2Lほど汲んでおいた水もからっぽ。
沢に入って水を汲み直し、事前に確認しておいたアプローチ道を使って進もうとした時のことです。すでにヘッドライトを点けるほど辺りは暗くなっていました。
行動食に救われた低血糖状態
「ぼ〜っとするな」
道がぼやけて見えてきたかと思えば、次の瞬間、前を歩く同行者の姿が2人になり、3人になり……。しばらくすると、その人はとうとう小人になってしまった。
笑い話のようですが、認識能力が低下していたのでしょう。そもそも道が3本に見えていたので、足を踏み外す可能性もありました。
「もしかしたら熱中症かな」ということで、水分を補給し濡れタオルを首に巻くなどの応急処置を行いましたが、それでも解決はしませんでした。
いわゆる『シャリバテ』という状況に陥っていたんです。山用語ですが、シャリとは米のことで、食事の摂取量が不十分だったのです。
その後、行動食でなんとか回復することができ、運良く林道にもすぐたどり着くことができたので、無事下山することができました。
山を歩く際にはメインの食事だけでなく、行動食もこまめに摂る。これにつきます。
真夏は源流・山岳渓流釣りのベストシーズン
「そろそろ上流でイワナ釣りでもしようかな?」
気温・水温の上昇と共に、源流や山岳渓流を目指すアングラーが増えてくることでしょう。目的地の先には今まで見たことがないような絶景が広がり、流れの中からは純粋無垢なイワナたちが果敢にルアーを追ってくる。
まさにパラダイス……。
でも、このような上流志向の釣りには入念な準備が必要なんです。
まずは計画書を作成。そのうえで釣行日数分の装備を厳選し当日に挑む。山岳保険に加入することも忘れてはなりません。そして、いざその日が来れば大きなザックを背負って登山道をひたすら歩き、幕営地(テントやツエルトを張って宿泊する場所)を目指す。
釣りに行く前の段階で労力を使うものですが、それでも源流・渓流を目指す釣り人が後を絶たないのは、山上の沢にはそれ以上の魅力があるからなんですね。
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