ヤマメ釣りの基本【その2】ポイントに徐々に静かに近づく『ストーキング』



自ら自然と直接向き合い、自然と一体になりながら美しい魚を追い求めるのが魅力の渓流釣り。一般的にはやや敷居が高いと思われがちだが、まずチャレンジしたいと思ったら、比較的釣りやすく人気の高いヤマメ釣りから始めるのがオススメ。第2回は「ストーキング」について紹介していきます。

解説していただいたのは「ヤマメのエキスパート」!

【Profile】

内藤努(ないとう・つとむ)

埼玉県熊谷市の「プロショップオオツカ」スタッフであり、トラウト全般を担当。常に尺上ヤマメを目標に、各地の渓流を釣り巡る熱血アングラー。大の猫好きでもある。

ひたすらに静かに徐々に魚に近づいていく「ストーキング」

ポイントの規模によって、遠くからキャストしつつ魚の反応を見ながら、ひたすらに静かに徐々に近づいていくような行動が「ストーキング」。川の状況がシビアになっていくにつれ、このストーキングが重要になります。

川の状況は、増水・平水・渇水というパターンに分けると分かりやすいです。

増水時には川の水、流れの芯が多く魚が定位できるポイントの自由度が大きくなりますが、一方で降雨の少なさによる渇水が続くと、魚が定位できるポイントは次第に点のようにピンスポット的に小さくなっていくんですね。小型・大型を問わずひとつのポイントでヤマメがピンスポットへ集まらざるをえないハイプレッシャー状態へと追い込まれていくんです。渇水時などの極端なハイプレッシャー時、このような時こそひたすらに静かにポイントへ近づくストーキングが有効なのです。

とはいえポイントが小さければ、移動を繰り返しては魚は釣れない。このような時は一度立ち位置を決めた後はほぼ移動せず、キャストの角度を変えることだけで攻め分けなければなりません。

魚の反応は水の面積や深さに大きく左右される。ポイントの水容積が小さくなると、線でトレースし探れていたものが、イワナ釣りのように点に落ち込む釣りへと変化させなけれればならない。気配を消すためのストーキング、水音を出さないポジショニングなどデリケートな技術が必要となる。


ストーキングは淵が終わるヒラキのカタの部分が有効!

ストーキングは、淵があり、絞れて、浅い瀬が続き最後にカガミになっている所、つまり淵が終わるヒラキのカタの部分が有効ですね。この場所に着いているヤマメに上流側の淵頭に走られるのを防ぐためです。

カガミに着いている魚は非常に多いのですが、通称「見張り番」と呼ばれるくらい繊細な魚たちで、彼らに上流側へ走られると淵頭に着いている大型ヤマメも警戒して出てこなくなる。ポイント自体が潰れる可能性があるので、ストーキングからのアプローチでそれを防ぎます。

まず手前のカガミの部分を攻めて、釣れなくてもいいので、ヤマメに反応させ、下の瀬まで魚を落とすことを目的にします。大場所の少し手前からはストーキングを心がける、これが大事でしょう。

すべてのポイントでストーキングできればそれがベストですが、時間は限られているのでメリハリをつけた攻め方を心がけましょう。

内藤さんが最重要視するのが、カタのの部分に着く魚たちだ。この場所にいる魚に不用意に近づくことだけは避けたい。カタからは立ち位置を遠く設定しキャストする。淵頭に着く魚を驚かせないことがストーキングの極意でもある。

※この記事は2017年12月に掲載したものを再編集しています。

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