「i字系」ルアー11種の性能を徹底検証【バス釣り定番人気トップウォータールアー実力調査】



夏の到来とともにバスアングラーを熱くさせるのがトップウォーターの釣り。今年投げるトップウォータープラグをあれこれ考え、楽しんでいることと思います。釣り人を楽しませてくれるトップウォータールアーの数も膨大。何を選んでいいか迷うことがあるかもしれないということで、定番となっているトップウォータープラグを集め、それぞれのジャンルに必要とされる要素を検証してみました。今回は「i字系」ルアー11種を検証です。

2024 新製品情報

検証テーマ「i字系」

i字系ルアーの特徴

決して派手な動きはせずに、表層をスーッと泳がせて使用するのがi字系ルアー。アクションをさせないという性質上デザイン性に大きな特徴は少なく、多くのメーカーがリアルなベイトフィッシュのシルエットをそのまま再現する形で制作しています。唯一の共通する特徴としてはテールにあたるパーツが設けられている点が挙げられるますが、ルアーそのものとしては得てして似た形状となっています。

検証タックル

  • ロッド:Lクラススピニングロッド
  • ライン:PEライン0.6号&フロロカーボンライン4lb

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検証ルアーの一覧

ルアー名【ブランド】画像通販長さ重さ
アイアロー65
【イマカツ】
Amazon65mm4.2g
アイウェーバー74
【O.S.P】
Amazon74mm3.8g
アスリート70LTオクノテ
【ジャクソン】
Amazon70mm4gクラス
カラシIGX60F
【メガバス】
楽天60mm2.8g
トラファルガー7
【ティムコ】
Amazon70mm4gクラス
ナギサ
【ジャッカル】
Amazon65mm3.6g
ハンクルジョーダン85
【HMKL】
楽天85mm5.7g
バンタム ジジル70
【シマノ】
Amazon70mm4g
ファクト ルーフェン
【エバーグリーン】
Amazon70mm3.6g
レイブリーズ
【DAIWA】
Amazon66mm3.3g
ワカサギベイト
【デプス】
Amazon65mm3.5g

【検証】飛距離

ボディが細身で軽量なため、投げにくい傾向にあるルアーですが、透明度の高いフィールドで特に活躍するi字系ルアーにおいて、その遠投性能は軽視できません。そこで本項ではキャスタビリティを検証しました。

【検証方法】オーバヘッドキャストでの飛距離を計測

アスリート70LTオクノテが頭ひとつ抜けて飛翔

検証したモデルの中では中間サイズのアスリート、その飛距離はほかのモデルよりも頭ひとつ抜ける遠投性能を発揮。これはほかのモデルに比べ、ボディ断面が円筒形に近くて空気抵抗が少ない上に、タングステンウエイトを搭載していることが功を奏していると考えらます。

次点で安定した飛距離を見せたのはワカサギベイトで、琵琶湖という広大なフィールドでの使用が想定されていることがうかがえます。

一方、飛距離が伸びなかったのはバンタム ジジル70アスリート同様、タングステンウエイトを搭載しているものの、可動域の大きいジョイントや、縦扁平率の高さで空気抵抗が大きくなってしまっていると考えられます。その他のモデルに関しては飛距離に大きな差は見受けられませんでした。

【検証】引波

ルアーそのものはアクションしないi字系ですが、表層をリトリーブすることでV字の引波を立てます。これは水面を泳ぐ小魚が立てるものと非常に類似していますが、ルアーの違いによってその質が変化するのかを検証しました。

【検証方法】表層を泳がせ、発生するV字の引波を観察する

引波の大きさに大小の違いを確認

引波を立てることを意識してリトリーブしたところ、ルアーによって引波の大小の傾向が見られました。特にアイアローの背ビレやカラシIGXの張り出したエラ、アイウェーバーワカサギベイトのボディ背部のフラット面など、水面で水を撹拌する要素を持つルアーで引波は大きくなる傾向が見られました。

一方、レイブリーズジョーダンなど、背中側がツルンとしているタイプは比較的引波が小さい印象を受けました。ルーフェントラファルガーなどにおいては、テールが水面に干渉することでV字の引波とは異なる水面の揺らめきも観察。また、今回検証することができませんでしたが、リトリーブ時のルアーの姿勢も要になっていることが予想されます。

【検証】速巻き

比較的ゆっくりとしたスピードで使用することの多いi字系ルアーですが、バイトを引き出すためにスピードを速めることは特に多い使い方のひとつといえます。しかしその際にルアーの姿勢が破綻してしまうとバスを白けさせてしまう可能性が高くなります。そこで各ルアーが安定して泳ぐ最大スピードを検証しました。

【検証方法】アクションが破綻しない最大スピードを計測

アイウェーバー、ナギサで破綻が見られず

安定した泳ぎが最も遅いスピードとなったのはレイブリーズで、およそ秒速40cmで泳ぎが破綻することがわかりました。

全体の傾向としては、秒速1m前後が最大スピードとなるなか、ルーフェンは約秒速2m、アイウェーバーナギサに関しては、検証実験の中ではアクションの破綻が見られませんでした。アイウェーバーは横扁平とジョイントが、ナギサはリアフック部分のスタビライザーとテールのエラストマー素材による制動効果が高いものと考えられます。



【検証】浮き姿勢

ときには水面放置でも使用するi字系。止めている際の存在感はバイトを促すための重要なファクターとなります。また、リトリーブの最中に間を作るためのポーズをとることもしばしば。各種i字系ルアーの浮き姿勢や佇まいを検証しました。

【検証方法】スローリトリーブからポーズさせた際のルアーの動きを観察

トラファルガーのテールとアイアローの浮き姿勢が秀逸

「TMCモルフォファイバー」をテールに採用しているトラファルガーは、ポーズ時にこの素材がわずかに広がり、なんとも言えない透明感を発揮。その姿はまるで魚の尾ビレの様。

また、唯一の横扁平デザインであるアイウェーバーは力尽きて横たわるベイトフィッシュそのものでした。

ポーズ時の挙動としては、アイアローが頭上がりで浮上する姿が印象的で、無防備に水面へと逃げるベイトを用意に演出できると考えられます。また、ジジルのジョイント機構による生命感あふれる浮き姿勢も魅力的でした。

【総括】i字系

一見すると大差ないi字系ルアーも非常に多彩であることがわかりました。今回は引波が強いルアーという形での紹介になりましたが、そういったルアーが水流によってバスを寄せるのに対し、引波が小さめのレイブリーズのようなルアーは、フラッシングやその存在感で食わせる能力が高いのではないかと考えられます。

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『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!