「エラストマー系」8種の性能を徹底検証【バス釣り定番人気トップウォータールアー実力調査】

夏の到来とともにバスアングラーを熱くさせるのがトップウォーターの釣り。今年投げるトップウォータープラグをあれこれ考え、楽しんでいることと思います。釣り人を楽しませてくれるトップウォータールアーの数も膨大。何を選んでいいか迷うことがあるかもしれないということで、定番となっているトップウォータープラグを集め、それぞれのジャンルに必要とされる要素を検証してみました。今回は「エラストマー系」ルアー8種を検証です。

2024 シーバス特集

検証テーマ「エラストマー系」

エラストマー系ルアーの特徴

いわゆるソフトベイトの素材とは異なるソフト素材「エラストマー」。この素材を使用したルアーの登場自体はそこまで新しくないものの、ここ数年でその評価は急上昇。多くのメーカーからリリースされるに至っています。今回はその中でもブームの火付け役となったエラストマー製の「ネズミ」と「カエル」に注目。それぞれの使用感を検証しました。

検証タックル

  • ロッド:Lクラススピニングロッド
  • ライン:PEライン0.6号直結

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検証ルアーの一覧

ルアー名【ブランド】画像通販長さ重さ推奨フック
RVラッシュアワー
【ジャッカル】
Amazon3.8inワイド1/0~2/0
キッケルカーリー
【DAIWA】
Amazon82mm5.5gWOS#1/0
キッケルキッカー
【DAIWA】
Amazon35mm3.1g
スクーパーフロッグ
【ボトムアップ】
Amazon3.1gオフセットフック#3~4
野良ガエル
【ティムコ】
Amazon32mm3.3gマスバリちょんがけ推奨
野良ネズミ
【ティムコ】
Amazon88mm4gオフセットフック#1
房総蛙
【エンジン】
公式サイト2.8gスーペリオCOフック#4
マイクロダッジ
【レイドジャパン】
Amazon55mm#2/0
※マイクロダッジは実験ではハネをとって使用。

【検証】浮き姿勢

素材特性として高い浮力を持つエラストマーで作られたルアーは、フックを装着してもほぼ確実に水に浮きます。しかしその浮き具合によって、アクションのさせやすさやアピール力は変わってくるはず。そこで、実際に使用するセッティングの各種ルアーを水に浮かべ、その様子を観察してみました。

【検証方法】オフセットフックをセットした各種ルアーを水に浮かべて観察

実はギリギリの浮力設定?

各ルアーに関して適正サイズのフックを装着し水面に浮かべたところ、そのどれもがボディの一部をわずかに水面に出すにとどまる結果に。

浮き姿勢は、カエル系(野良ガエルスクーパーフロッグキッケルキッカー房総蛙)が水平に近かったのに対し、ネズミ系(野良ネズミRVラッシュアワーキッケルカーリーマイクロダッジ)はやや頭下がりになっている傾向が見られました。

これはカエル系がシェイク的な使い方をするのに対し、ネズミ系はピンスポットテーブルターンをさせる目的があるからこその設定であると考えられます。

【検証】アクション

カエル系は主にシェイク、ネズミ系ではテーブルターンが主な使い方となるエラストマー系トップウォーター。各メーカーがリリースするそれぞれのタイプのルアーはもちろん、その定番の使い方を想定していると考えられます。そこで実際に各ルアーの動きを観察し、その違いを検証しました。

【検証方法】フックをセットした各ルアーを実際に動かし様子を観察

スクーパーフロッグの水押しに驚愕!

まずカエル系で驚かされたのが、スクーパーフロッグの撹拌能力。ほかのルアーに比べて明らかに大きく水をかいていることがわかりました。また、キッケルキッカーは複数本の足で複雑な波紋を作り出しつつ、カップからポップ音を発生しているのが特徴的。野良ガエルおよび房総蛙の水押しは控えめで、虫ルアーに近い印象を受けました。

安定感が高いマイクロダッジ

ハネを取り外すことでネズミ系ルアーのようにテーブルターンをさせられるマイクロダッジは、アクションが安定。キレの良いテーブルターンを容易に安定して演出することが可能でした。

ただ巻きでの使用が想定されるキッケルカーリーも、ピンポイントでの首振りには対応し、連動するテールが魅力的な動きを出していました。

野良ネズミRVラッシュアワーはテーブルターンの際にロールしつつ若干水の中にダイブしていましたが、この絶妙なレンジ感がバイト連発のキーになると考えられます。

【検証】スキッピング

オフセットフックで使用しつつ、高浮力素材を採用していることで生まれる高いスキッピング性能。それまでのルアーでは狙えなかった隙間の奥の奥まで容易に入れられるのは、間違いなくこのタイプのルアーの恩恵と言えます。ここではその快適さを検証しました。

【検証方法】オフセットフックをセットした各ルアーをスキッピングでキャストして跳ね具合を観察

野良ネズミは黄金比

デザインの関係上手足のパーツがあり、抵抗の多いカエル系は相対的にスキッピングがしにくい傾向にありました。

手足のパーツが小さく柔らかい房総蛙は、これらの中でもスキッピングがさせやすいと言えます。

一方、カーリーテールが抵抗になるキッケルカーリーを除くと、ネズミ系は総じてスキッピングがさせやすい傾向にありました。特に野良ネズミは重さとサイズ感、デザイン的な部分のバランスが優れ、圧倒的なスキッピング性能を有していました。

マイクロダッジは今回の検証タックルには少し重すぎた印象があったため、1ランク上のタックルが望ましいと言えます。

【検証】キャスタビリティ

投げやすさは遠投だけでなく、ショートキャスト時のアキュラシーにも大きな影響を与えます。もちろん、スキッピングのさせやすさにも関わってくる部分です。

【検証方法】

ネズミ系は投げやすさも優秀

野良ネズミは今回使用したタックルとの相性もよく、最も快適な投げ心地でした。

マイクロダッジRVラッシュアワーも同様に投げやすく、スキッピングの項目と同じく空気抵抗の小さなネズミ系は高いキャスタビリティを誇ることがわかりました。

逆にカエル系は手足のパーツが空気抵抗になるためなのか、ネズミ系に比べると投げやすさは劣る印象でした。

【総括】エラストマー系

現在流行中のエラストマー素材の表層系ルアーを、カエル系とネズミ系に分けて検証しました。共通する独自の浮力感は水馴染みがよく、そのサイズ感も相まってハードルアーより吸い込まれやすいと考えられます。

投げやすさ、動かしやすさでは全体的にネズミ系のほうが優れている一方で、カエル系はシェイク主体でも波紋を出して誘えることから、移動距離を抑えたアプローチなどでは優位であると考えられます。

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