伊藤巧さんに聞いた「ペンシルベイトは死んだのか? 説」【横沢鉄平の※諸説あります】

バス釣り界には様々な通説があります。しかし通説があれば風説や異説も飛び交い、諸説があります。そんな諸説を深掘りする連載企画が「横沢鉄平の※諸説あります」。今回のお題は「ペンシルべイトは死んだのか?」。そういえば最近、ペンシルべイト使ってますか? 持って行ってますか? 最後に釣ったのはいつでしょう? 実はもう何年も前だったりしませんか……。そんなペンシルべイトの現在地を探るべく、伊藤巧さんに「ペンシルベイト」について語っていただきました。

●文:ルアーマガジン編集部

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伊藤匠さん。

伊藤巧(いとう・たくみ)
国内では、陸王、艇王共に2連覇を獲得し、2019年に活動をアメリカに移しバスマスターオープンにエントリー。初年度で最高峰トーナメントバスマスターエリートシリーズに昇格。2年目にしてエリートシリーズで優勝をするなど、好成績を残している。名実ともに日本人最強クラスのトーナメンター。 [写真タップで拡大]

エリートプロが語るペンシルべイトの光と影

かつて、日本のバスフィッシングはトップウォーターこそが王道でした。そして、そのトップウォーターの中でもペンシルべイトこそが、その盟主的な存在だったはずです。特にオリジナルザラスプークは、トップの王者たる威厳や風格を漂わせていたルアー。

ところが、ここ数年……いや、10年以上、ペンシルべイトは影の薄い存在に陥っているのでは? そんな噂があります。それは真実なのでしょうか? もし真実ならその理由は? それどころか、もうすでにペンシルべイトは死んでいるのでは……?

伊藤「ペンシルが死んだ? アメリカでは生きてます。僕はペンシルばっかり投げてる。ペンシルは、カバーの外とかで魚を追い回しているようなバスには、効果的だと思います。特にワンノッカーは釣れるなあ。バスが本気になる。しかも魚を呼ぶ力が強い。アメリカは魚を呼んでナンボの世界ですからね。でも日本は、呼ぶと逆に引いちゃうというのもあると思う。だからハマりづらいのかも? ペンシルは難しいけど、死んではいないでしょう。でも日本の場合、生きる場面が減ったルアーの代表ではあるのかな」

アメリカでは、ワンノッカータイプのペンシルべイトの効果には絶大なものがあって、伊藤さんもキックノッカーなどを愛用しているよう。そんな彼は、日本にペンシルがなかなかフィットしない原因の一つとして、盲点ともいえる仮説を話してくれました。

伊藤「僕が思うには、ペンシルは首を振らせるために、ラインを張ったり緩めたりする。あれがひとつの原因だと思う。ハネモノとかバズベイトとかは、糸の動きが一定。だから騙しやすい。ペンシルはどうしても糸の動きが激しい。これは要因としてあると思う」

ペンシルべイトは、鋭い力を加えた直後にラインを緩めることで首振りの動きが出ます。でもその際の糸の存在感は、他のルアーの比ではありません。極めて警戒心が強くなっている日本のバスを相手にした場合、このラインの動きはたしかにマイナスになりそう。

伊藤「でも、遠投してシャローの広範囲を効率よく探れるルアーって、ペンシル以外あまり存在しない。そこに関しては、ペンシルにチャンスがある。あんなにバスを反応させることのできるルアーなんてなかなかないし、やっぱり出しどころが見つけられてないだけなんじゃないかな?」

軸足をアメリカに置いている伊藤さんは、まだまだペンシルべイトのポテンシャルに期待感を抱いているよう。

キックノッカー【テッケル】

伊藤匠さん。

ワンノッカーペンシルの代表格で、そのサウンドの集魚効果には定評があります。アメリカでは不動の人気を誇り、伊藤さんも愛用する逸品。 [写真タップで拡大]

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