現代社会に揉まれ、日々疲弊し続ける平凡なサラリーマンを救ったのは釣りだった…!果たして彼の身に何が起きたのか?その一部始終を追った!
●文:ルアマガプラス編集部
過酷な業務に追われる日々で身も心もボロボロなサラリーマンを救った釣りという趣味
ここに1人のサラリーマンがいる。
都内の企業に勤務するFさん。
Fさんは悠々自適な学生生活を経て、現在の会社に就職。現代社会においては珍しく早々に結婚し、3姉妹の子供にも恵まれた。
外から見れば幸せに映るだろうし、実際、当人も自身の置かれている状況に悲観しているわけではなく、むしろ恵まれているとすら思っている。
しかし、決して不満が無いわけではないという。
会社での業務はもちろん、家では家事や育児にも追われる日々を過ごす。
その疲労感…。
肉体的なものであれば、一晩寝ればそれなりには回復するだろう。
しかし精神的なものであれば、そう簡単にはいかないもの。
そんなときにFさんが出会ったのが『釣り』だったのだ。
幸運なことに、同僚には釣り好きが非常に多かったのだ。
そしてことあるごとに釣りに連れて行かれたFさんは、あっという間に釣りにのめり込み、今では1人でも色々な釣りに挑戦するにまでいたっている。
ところがここ最近はまったく釣りに行けていないという。
そこに深い理由などない。
様々な要素が折り重なりあい、時間が作れなかった。
ただそれだけのこと。
しかしFさんはいよいよ限界を迎えようとしていた。
それは、水風船に満たされていく水のように、割れそうで割れない、しかし確実に訪れる破滅を察してしまったような状況。
このままではまずい。
具体的な「何が」ではなく、もっと漠然としていて、恐ろしい感覚のみが精神を押しつぶす。
早く何とかしなければ…。
そこでFさんが取った選択肢はやはり『釣り』だった。
これまでにも何度も『釣り』に危機を救われてきた。
やはり頼れるものは、これしかない…。
「家族サービス」と「出張」と偽っての『釣り』。そこに役立つ2つのアイテム
その日、Fさんは電車で旧江戸川を訪れていた。
限界を迎えようとするFさんは、自分自身を救うためには誰にも知られずに釣りをする必要がある。そう考えたのだ。
Fさんはまず、家族サービスのため、という理由のもと、入社以来初めて有給を取得。
その一方で、家族にはちょっとした出張があるからと、皆が寝ている時間に家を出てきたのだった。
もちろん、誰も起きていないからと言って、大仰な荷物は用意できない。
それに出張と言っているからには車も使えない。
そこでFさんはリールやルアーといったその他の釣り具一式をまるっと収納できるバッグを利用することにしたのだ。
ロッドはもちろんパックロッド。
究極的にコンパクトな出で立ちで、クロダイやキビレを狙った『チニング』に挑戦する。
ロッド:クロスフィールド XRFS-734L-MB(アブガルシア)
キビレがつかれたサラリーマンを癒やす
お世話になる林遊船さんで乗船手続きを済ませたFさんは船に乗り込み、準備を始める。
パックロッドを愛用する多くのアングラーと同様、Fさんもロッドを継いでいく作業がたまらなく好きなのだという。
1本継ぐ毎に気持ちが高まりつつ、仕事道具を組み立てるスナイパーの様に透明な緊張感が心地良いのだと。
そして今回クロスフィールドに組み合わせるリールは『カーディナルIII STX』。
低価格ながらしっかりとした作り、そしてこのクールなデザインがFさんの心を鷲掴みにしたのだった
と、準備もそこそこに船が動き出す。
旧江戸川河口部を抜け、船は西へ西へと走ってゆく。
風と、時折あがる波しぶきが心地良い。
釣りにちょっとした非日常感を求めるFさんにとっては、船で移動するこの時間ですら至福のときなのだ。
心が少しずつ、解きほぐされていくのを実感する。
それと同時に、今日相対するであろう魚に対する気持ちが高まりだす。
ちゃんと釣れてくれるだろうか?
タックルは問題ないのか?
新しいリールの実力は…?
Fさんがあれこれ想像していると、あっという間にポイントに到着。
本当の至福はここから。
リグはセオリー通り、クロー系ワームのフリーリグ。
甲殻類を模したこの仕掛で広範囲のボトム付近を探ってゆく。
キャスト。
クロスフィールドは相変わらず4ピースロッドとは思えないほどトルクフルかつ快適な投げ心地をもたらしてくれる。
いや、今回はそれだけではないようだ。
Fさんは、明らかにラインの放出スピードが速いことを実感したのだ。
全力でロッドを振り切っているわけではない。
にもかかわらず、竿先から飛び出していくラインのスピードがフルキャストと遜色ないのだとか。
すごい。これが『ロケットラインマネジメント』か。
Fさんは感嘆する。
投げているだけでも気持ちいいし楽しいのだ。
一般的なリールであれば放出されたラインが第1ガイドを通過する際にガイドにラインが触れる形で減速するわけなのだが、ロケットラインマネジメントシステムの場合、その独自のベールアーム開放角度のおかげでスプールからラインが放出された直後にラインのベクトル調整がなされることで、運動エネルギーのロスを最小限に抑えることができているのである。
一般的なリールであれば、スプールから離れた途端にラインの放出が減速している印象だが、こちらではむしろ加速している錯覚すら覚えるのだとか。
この機能を搭載したリールが店頭で7000円以内で買えてしまうとは…。
しかも驚くほどにかっちりとした巻感があるともいう。
低価格リールにありがちな、ただ重いだけのそれとは違う。
高いタフネスがそこには確かにある。
その価格や替えスプール付きという点からも、ビギナーから上級者まで、幅広いアングラー層がこれ1台であらゆる釣りを楽しむことを想定していると思われるカーディナルIII STX。そのためには頑丈であることは必須条件ともいえるだろう。
そしてそれをFさんは、魚とのやり取りの中でもそれを感じることができた。
キビレがヒットし、強烈なファイトがはじまったのだ。
しかしやりとりするFさん。
その表情にも、タックルにもまだまだ余裕を感じさせる。
そして瞬く間にキャッチ成功!
久々の魚とのやりとりを終え、Fさんの表情も心なしか穏やかになっている。
その後はキビレのサイズアップに成功。はしゃいでしまったその様子に、船長も呆れてしまうほどだ。
ファーストフィッシュよりもさらに強烈なファイトにラインを出されたものの、堅牢が故にローターが歪まず、またスローオシレートシステムによって密に巻かれたラインにより、ドラグ機能が安定して働くことで事なきを得たのだった。
残念ながらその後は天候が崩れたこともあってか釣果は続かずに終了となってしまったのだが、投げているだけでも楽しい『カーディナルIII STX』のおかげもあってか、Fさんはかなりご満悦な様子。
気持ちに余裕ができたなら+1魚種を楽しんでみる
陸に上がったFさん。
釣果はもちろん、雨に降られたこともむしろプラスに働いたのか、憑き物が落ちたような雰囲気となっている。
しかしそこから生まれた余裕なのか、はたまた欲が出てきたのか、Fさんにさらなる釣り欲がフツフツと湧き上がる。
江戸川放水路といえばハゼ釣り。
急遽Fさんは、岸からハゼを狙うことに。
幸い、今回お世話になった林遊船さんでは餌や仕掛も購入可能だ。
しかも『カーディナルIII STX』は替えスプール付き。
チニングで使っていたPE0.6号を巻いたものから、ライトゲーム用にPE0.4号を巻いていたスプールに交換する。
イソメを付けたちょい投げのキャロ風仕掛を投入すると、瞬く間にハゼがヒット!
さすがハゼは裏切らない。
替えスプールは同じ太さのラインを巻いて不測の事態に備えるという使い方も有効だが、異なるタイプ・太さのラインを巻いておけば、リール1台で2台分の役割をもたせることも可能なのだ。
キビレに続いてハゼ釣りを満喫したFさんはいよいよスッキリとした面持ち。
釣ったハゼも土産に持ち帰り、家族に今回のことを全て話すことにきめたという。
やはり釣りは人の心を癒やし、素直にさせる効果があるのだろう。
というお話を考えたのだが?(使用感まとめ)
福重「という感じのお話を作って、カーディナルIII STXのインプレッション記事を作ろうと思うのですが、どう思います?」
大木「え、本気? それで伝わるのかな…。てかスーツで行くってマジ?」
福重「リアルなサラリーマンを演じます」
大木「フクちゃんの場合、普段からスーツを着てないから全くもってリアルさは出ないと思うよ? というか、メタ的な話をするともう取材しちゃってるでしょ?」
福重「うっ…」
大木「まあいいや。それじゃあせめて最後に『カーディナルIII STX』の使用感をまとめてよ」
福重「そうですね。個人的に注目しているのはやっぱりロケットラインマネジメントです」
福重「新しくリリースされたカーディナルの他2モデルにも搭載されていますが、今やアブのスピニングリールを象徴するとも言えるこのシステムをこの価格のリールで使えるというのは本当に驚きです。いきなり最高峰のキャスタビリティを味わえますからね」
大木「結構いいサイズのキビレを釣ってたみたいだけど、剛性感はどうだった?」
福重「シンプルに強かったです。少なくともあのサイズの魚であれば、まったく不安は感じさせない感じでしたね。価格相応の重量はもちろんあるわけなのですが、それがしっかりと剛性感につながっているんだなって思いました。ちなみに安価なリールなありがちなずっしりと来る巻きの重さはありませんでした」
大木「替えスプールも活用してたね(笑)」
福重「0.4号と0.6号でちょっと糸の太さが近すぎましたけどね(笑)。今回は同じロッドを使う範囲で替えスプールを活用したかったのでこんな感じでした。ロッドの選択肢を広げられるのであれば、もちろんもっと色々できると思いますね。0.4号でライトゲームをやって、フロロ4ポンドを巻いておいたスプールでバス釣りのライトリグをやったり…みたいな。替えスプール、本当に便利です」
大木「どんな人におすすめ?」
福重「ハイエンドモデルにも搭載されているロケットラインマネジメントシステムっていう利点も有るし、高剛性で使いやすいし、替えスプールもある。これ1台で長く幅広く楽しめますよね。だから釣りを始めたい!という人にはわかりやすくオススメできると思います。それからその一歩先。何か釣りを初めてハマって、どんどん色々なターゲットに挑戦したい! って思ったときの2台目リールとして、とかがいいんじゃないですかね。例えばバス釣りから入って1タックル揃えましたと。そこからもっと色々な魚を釣ってみたくなって、岸からのライトゲームにエギング、サビキ釣りにちょい投げ、ボートに乗ってシーバスやちょっとしたジギングに各種エサ釣り、みたいにとにかく色々な魚を釣ってみたい!ってなったときに、このリールがあればバッチリだと思うんですよ。そのくらい懐が広くて、頼れるリールだと思います!」
カーディナルIII STX
番手 | 自重(g) | ギア比 | 最大巻取長(cm) | ボール/ローラーベアリング | ライン(モノフィラ/PE) | 価格 |
1000S | 216 | 5.2:1 | 63 | 5/1 | 3lb-100m 0.4号-100m | 8140円(税込) |
2000S | 236 | 5.2:1 | 69 | 5/1 | 4lb-100m 0.6号-100m | 8140円(税込) |
2500SH | 263 | 5.8:1 | 82 | 5/1 | 6lb-100m 0.8号-150m | 8360円(税込) |
2500SHD | 268 | 5.8:1 | 82 | 5/1 | 6lb-100m 0.8号-150m | 8580円(税込) |
2500MSH | 254 | 5.8:1 | 82 | 5/1 | 8lb-170m 2号-150m | 9130円(税込) |
3000SH | 295 | 5.8:1 | 88 | 5/1 | 8lb-110m 1.2号-150m | 8580円(税込) |
※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
関連する記事
あったら便利なロッドを紹介! どこへでも持っていけるパックロッドにして、色々な魚が狙えてしまう万能ロッド!! そんな夢の様なロッドが…あるんです! 現に自分が使っているロッドはそんな感じでして…今回は[…]
アブ・ガルシアはスウェーデン発の釣り具メーカー。今年で創業100年の歴史を持ち、国内の人気メーカーとはまた違った魅力を持つ人気のブランドです。近年では釣りに限らずアウトドア全般を志向したアイテムも取り[…]
2021年のアブ・ガルシアは、リールの大幅モデルチェンジを敢行! 特にリーズナブルなモデルはベイト、スピニングともに新機能を搭載し、ビギナーへの訴求を狙っている。その一方で、ハイエンドスピニングにもコ[…]
そのレトロなルックスとコンパクトに収納できるマルチピースという『ガジェット感』で、昨年春に登場して瞬く間に完売。その後もSNSを通じてバズり続けるなど、通常の釣具とは違う『アウトドアアイテムのひとつ』[…]
2019年も残り1ヵ月を切り、釣り具メーカーも来年度のショーにむけて新製品の準備やプロモーションに向けた動きをしている中、ピュア・フィッシング・ジャパンがひと足先に新製品を発表! ルアマガプラス編集部[…]
最新の記事
- 1
- 2