先日、釣り番組「Theフィッシング」で放映された、ボートチニングゲーム。連載第3回目は、ますます注目度の高まるフリーリグチニングに対する、初歩的な疑問やバス釣りの違いについて、もりぞーさんが解答! 初心者だけでなく、すでにフリーリグチニングを楽しんでいるアングラーも必読の内容だ。
●文:森 浩平
【森 浩平(もり・こうへい)】
大阪府在住。アーバンチニングの第一人者で、クロダイ・キビレの年間キャッチ数は年間2000枚を越すことも。ベイトタックルスタイルとフリーリグの有効性にいち早く着目し、この釣りを普及させてきた。愛称はもりぞー。
3人の協力プレイで、ボコボコに釣りまくる楽しいロケ
ルアマガ+をご覧になっている皆さま。ダイワフィールドテスターとして大阪の淀川をホームに活動中のチニング伝道師”もりぞー”こと森浩平です。
いま話題沸騰中のアーバンチニング。ルアーマガジンソルトの記事&youtube動画は楽しんでいただけましたか? 東京湾ショア編、ボート編ともにその日その瞬間の状況に応じたアプローチで連続ヒットに持ち込む展開がバッチリ納められていますので未視聴の方は是非ご覧下さい!
もりぞーさんの、ボートチニング動画はコチラ!
そして先日放送されたTheフィッシングの東京湾ボートチニング。赤潮に荒川系のオーバーフロー水が混じるBADな水質。おまけに小潮で潮動かずまぁまぁなタフコンでしたが、草深幸範プロとオレンジフィッシングボート石﨑船長、私の3人の協力プレイでヒットパターンを見つけ出し丁寧にアプローチする事でボコボコに釣りまくった楽しいロケでした。これも近々DAIWAのyoutubeチャンネルにUPされますのでお楽しみに!
Theフィッシングはバスプロの草深さんとの共演だった事もあり、新たにバスアングラー皆様からの注目を浴びる事になったフリーリグ(フリリグ)スタイルのチニング。今回の連載はバスアングラーからいただいた質問の中でも特に多い質問への回答にしたいと思います。
チニング・バスフィッシング、フッキングの違い
チニングにおけるフリーリグでのワーミング、バスフィッシングと共通項の多い両ジャンルですが、微妙な違いも存在しています。フッキングのタイミングもそのひとつと言えるでしょう。
バスフィッシングの動画とかでよく見る「喰った…」からのロッド寝かせて送って(ラインたるませて)からの、のけぞりフッキング、実はコレ、チニングではNGです。というのも、すっぽ抜け率高いからです。
どういう事かというと、クロダイもキビレもルアーを咥えている時間がバスより短い印象なのです。完全にラインテンションを抜いてしまうと吐き出されてしまう確率が上がってしまう可能性が高いんです。もちろんチニングでも「間」を作る意識は大切ですが、バスのそれより短くする事を意識した方が吉。
自分はラインテンションを「抜いているけれど、抜ききっていない」ティップをONの状態にしておいて、しっかり咥えている事を感じながらフッキング動作に入る事を意識しています。
なお、ハードソリッドティップだと操作時のハリは担保しつつ、反発だけを殺す事が出来るのでONの状態をキープしやすいです(自分の監修ロッドにハードソリッドティップが多いのもそれが理由のひとつ)。
ラインの種類と魚との距離の違い
バスでは主にフロロラインを使用するのに対し、チニングはPEライン。比重の関係でPEは浮きがちになるうえに、魚との距離がバスの間合いよりも遠くなる傾向なので、フッキングにおける入力伝達ロスを極力減らすラインメンディングが大切になってきます。
張り過ぎず、緩めすぎずの状態からラインテンションを抜かないように意識しつつベリーでフックポイントを口腔内に突き立て、ハンドルを巻く事でラインテンションをしっかり掛けて貫通させるイメージが大切です(そういった意味でもギア比の高い、ハンドル1回転の巻取長が大きいリールがオススメ)。
「シンカーストッパーを用いた半固定式のフリーリグなら、直リグと一緒じゃないですか?」
これホントよく質問されますが、結論から言うと全然違います。フッキングの成功率、ファイト中のバレにくさ、根掛かり回避率の3点において半固定式フリーリグのメリットが勝ります。
まずフッキングですが、パワーロスの元となる支点がフリーリグは1箇所(結び目)。直リグは2箇所(結び目と自由に動くフック)。特に直リグの固定されていないフックはパワーロスが大きく、特にテンションを抜いた状態から掛けに行った場合のフッキング成功率が著しく下がります。
バスの場合、直リグを使うシーン=ピッチングの間合い(接近戦)、それも、ボートや陸上など、上から引っ張ることが大半なので問題になりにくいのですが、チニングの場合はバスより間合いが遠い事が多いです。遠いと言う事は必然的に角度も付きにくいのでフッキングパワーの入力伝達ロスが大きく、致命的になる傾向にあります。
ファイト中のバレにくさ。メタルバイブなどがそうですが、魚が首を振ったときに重量物が口元にあるとバレやすいです。その点、半固定式のフリーリグだとファイト時はシンカーが離れてくれるので首を振ってもバレにくくなります。
根掛かり回避率もフリーリグ有利。構成パーツの点数故か、リグの姿勢故かシンカーストッパーを用いた半固定式のフリーリグのほうがスタックしづらく回避率高めです(完全フリーより半固定式のほうが更に回避率高め)。その他、スプリットリング式の直リグはシンカー交換やフック交換が手間ですし、かといってスナップ式だとファイト時に意図せず開いてしまってバレるリスクも。
フリーリグのほうがメリット多いのは分かったけれど、シンカーストッパーって必要?
→必要です
完全フリーだと先に着底したシンカーへのシンカーバイトが多発すること、ダイレクトなアクションが掛けにくいと言った事は以前も説明しましたが、それ以外にも根掛かり回避面でも半固定式が有利ですし、ランディング後にシンカーがノットの向こう側へ行ったり(PE+リーダーシステム故のトラブル)、ネットにぐちゃぐちゃにラインが絡まったり、イライラ募るストレスフルなトラブルを回避するためにもシンカーストッパーの使用をお勧めします。
フロロカーボンライン単体じゃ駄目なの?
→もちろん駄目ではありませんが、PE+リーダーをオススメします。
これもよく聞かれるのですが、PEとリーダーを結束するのが手間なのでフロロ単体じゃチニングできないですかという質問。一度やってみるのも手ですが(自分は断念しました)、一般的にバスでボトムやるよりもチニングのほうが魚との距離が遠いこともありますし、低伸度で感度に優れたPEラインの導入を推奨しています。ノットも複雑な物から簡単な物までいまは様々ありますし、ノッターなどの機械もあるので試してみてはどうでしょうか(私はFGノットです)。
最後に。再現性の高いチニングを楽しむ
チニングにとって鬼門とも言える9月の足音が聞こえてきました。9月の初~中旬に強い北風が数日間吹く状況になると、真夏の気温と日差しで温められた表層の水と、底層の冷たく酸素量の少ない水が入れ替わる現象(いわゆるターンオーバー、青潮、貧酸素水塊)が発生します。これを何度か繰り返す事で水が安定しだすとまたボコボコに釣れ出すのですが、安定するまではまぁまぁ食い渋ります。(特に大阪湾や東京湾に代表される都市港湾)
そういうわけで、1発目の北風ビュービューから10月中旬頃まではこの現象の影響を受けにくい、受けても回復の早いエリアを探して釣りをするのが吉です。
色々書きましたが、チニングは今のバスフィッシングに比べるとバイト数も多く、再現性の高い釣り。とりあえず自分の思う方法でチャレンジしてみて、駄目なら先達のやり方を取り入れてみる。思うように行ったり行かなかったりも釣りの楽しみの一つ。バレた掛かったを楽しんでみてください!
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