釣り具のキャスティングが新たに立ち上げた注目のシーバスブランド「Zeeee!」。その第一弾ルアーが「サーフェイスコントローラー118F」で、これからのシーズンに最適な「表層攻略」に特化した性能を持つ。このルアーの開発に尽力したキャスティング木更津店スタッフの吉田樹史さんに、完成に至るまでのストーリーを伺った。
●文:ルアーマガジンソルト編集部
【吉田樹史(よしだ・たつふみ)】
キャスティング木更津店スタッフ。出勤の前後にフィールドに足を運ぶ、熱心なシーバスフリーク。ウェーディングの釣りを特に好み、岸からできる場所でもあえて浸かりながらの釣りを選ぶ。既存のルアーをいじったりセッティングを変えたりするようなことも多く、ルアー開発にはもともと興味があったそうだ。
ビギナー向けでもオーソドックスでもない、作りたかったのは唯一無二のシーバスルアー
いちルアーメーカーとしての立ち位置でルアーを開発していった
まず、いよいよ発売になった「Zeeee!」の第一弾ルアー。まずこのブランドを立ち上げるきっかけから。
吉田「近年、シーバスを中心にソルトルアーフィッシングがどんどん盛り上がりをみせています。キャスティングの店員の中にはシーバスフィッシングに精通した手練れが多く、仕事でもプライベートでも関係なく、釣りばかりしているメンバーも非常に多いです。
そこで、そんなスタッフたちの強みを生かして、自らアクションを起こして物作りをしていったら面白いんじゃないかという案が出まして。そこが始まりですね。ただ、いい加減なものは出したくないものですから、あくまでもルアーメーカーとして自信を持てるルアーを世に送り出したかったんです。
もちろん、ルアー製造に関しては素人ですから、自分たちだけでは物は作れない。そこはプロフェッショナルの力を借りようと考え、『デュオ』 さんに協力してもらうことになりました。自社開発から製造まで行えて、なおかつレスポンス良く動いてくれるのは、我々にとってとても大きな強みになりました。
『デュオ』さんの名前が出てくると、メーカーに丸投げで作ってもらったのでは? という印象を持たれるかもしれませんが、コンセプトや原案、フィールドでテストしながら得た改善点や要望を出して、密にコミュニケーションを取りながら開発を進めてきました。一般的なルアーメーカーと同じような流れで物作りができたと実感しています」
ブランド名は『Zeeee!』。このネーミングの由来は?
吉田「魚がヒットした瞬間が、釣り人として一番アドレナリンが出る瞬間ですよね。その瞬間を連想するドラグ音をイメージしたブランド名になっています。歓喜の瞬間、歓喜の音。それをシンプルに伝える名前だと自負しています」
フローティングだから、超シャロー帯で引いても根掛からない
その『Zeeee!』の第一弾として発売されたのが『サーフェイスコントローラー118F』。このルアーのコンセプトはどのようなものなのか?
吉田「作りたいルアーについて、集まったスタッフたちで何案か出し合いました。そこで意見が一致したのが、市場になくてカテゴリー的にも穴がある『フローティングのペンシルベイト』です。シャローエリアで釣りをしていて、シンペンを使いたいけどもっとスローに引きたいとか、ステイさせたいという思いがあったんですが、そういうことができるルアーが、実はこれまでなかったんです。
そういったルアーは個人的にもずっと欲しくて、それをメンバーに言ったら同じ意見の人もいたんです。自分たちで作るんなら好きなものができるということで、挑戦してみました」
シンペンでもミノーでもシャローランナーでもなく、あえて新カテゴリーに挑んだ。
あえてジャンル分けするなら「フローティングペンシルベイト」
吉田「新参者のメーカーでインパクトを残すために、唯一無二のものを作って、ユーザーはそれを使わざるを得ない状況にしてしまえばいい。
なので、あえて他社にないものを選びました。例えば、シャローランナーだったら優秀なものは他にも色々ありますし。それらの名作を我々が超えるものを作るとなると時間がかかってしまうだろうと。ならば、自分たちである程度ビジョンが見えている、狙いも見えているものを試そうということです。だから、このルアーのカテゴリーってどうなるのかちょっと難しいですね。あえて言うならフローティングペンシルベイトです」
サーフェイスコントローラーの全長は118mm。
吉田「全国のいろんな場所で使えるのがこのあたりの大きさ。小さいと地方のベイトもシーバスも大きい場所に対応しきれないし、大きすぎると関東の湾奥にも合わない。使うシーズンも選んでしまう。なので、全国のあらゆるフィールド、ベイトサイズ、ターゲットに合わせるとおおむね12cm。このサイズに落ち着きました」
重心移動システムも搭載され、飛距離も十分に出せるような設定になった。
吉田「ルアーは重心移動ウエイトが入っただけでは飛びません。全体的なバランスが重要なんです。実はこれも開発をしていくうちに学んだことなんです。最初のサンプルは姿勢も悪くて飛距離も出なかったんですが、重心移動をうまく使える全体的の重心バランスを見つけて、一気に改善したんです。
後方に一個ウエイトが入っているのですが、これを入れることでアクションも飛距離もすべての性能が向上し、しかも、フローティング特有のウエイトの戻りにくさも解消されました。
レールの角度も、ルアーが水平になっただけでウエイトが戻るようになっています。飛行姿勢、デザイン、重量のバランスのおかげで、満足のいく飛距離が出せるようになりました。重さに頼らない飛距離が実現できたことは画期的でしたね」
ショア、ウェーディング、ボートゲーム、デイ・ナイト問わず活躍!
いわゆるシンペンはただ巻きだけのイメージがある中で、『サーフェイスコントローラー118F』はトゥイッチやジャークも得意としている。具体的に、どんなアクションがオススメなのだろう?
吉田「デイゲームで流れもあまりない場所で使うなら、ロッドワークで積極的にトゥイッチやジャークを入れて誘ってみてください。細かいトゥイッチを入れると、小刻みな首振りアクションを発生。ペンシルベイトを水中で動かしているような感じですね。
また、強めのジャークを入れると大きく横に飛ぶので、大きなスライドアクションが出ます。ジャーク後に少し間を置くことでジャーク後に漂うような感じになり、これもバイトチャンスになります。スローフローティングだからこそ、この漂い感が出るんです。
ナイトゲームならドリフトですね。ただ巻きで左右ヘのゆるいスラロームアクションで流していってください。明暗やストラクチャー周りで、積極的に動かしていくのもありですよ」
ボディ全体で流れを掴むようになっているから、ドリフトもさせやすいと。
流れの感度も敏感に察知!
吉田「そうですね。テスト中に、干潟のウェーディングでミノーを使っていたんですが、流れがどこも効いていない感じがしたんです。でも、このルアーを使うと流れの強弱が明確にわかるようになったんです。このルアーで流れのピンポイントを見つけることができて、そこから何本も魚を出すことができた。
実は流れが効いている場所はあって、それに気付けていないだけだったんです。サーフェイスコントローラーを使うと、巻いていて潮の流れで重くなる瞬間とか抜ける瞬間がちゃんとわかるんです」
実際に泳ぎを見せてもらうと、アングラーのアクションの入力で変幻自在に動いていて、使っていて楽しそうな印象だ。ただ巻きでは、水面下の絶妙なレンジを生々しいスラロームアクションで泳いでくる。
吉田「ただ巻き中に、意図しないタイミングでふわっとルアーが漂ったり、まっすぐ飛んだりと、たまにイレギュラー要素が入るんです。それが生っぽくて、釣れる理由なのかなと思っています。開発の初期段階ではヘッドの下にキールがついたものもあって、そっちの方が安定して動きが綺麗に出ました。キール無しはどこか不安定さがあったものの、どちらも釣果は出ていたんですよ」
完成版はキール部分がなくなっている。
吉田「キールの有無は、実際にどちらがいいのか、テスター陣も決めかねていました。じゃあ現場で魚に聞くしかないということで、実験を行ったんです」
実釣ではなく、実験?
吉田「はい、実験です。同じストレッチでどれだけバイトあって何本釣れたか、サイズはどうだったか、をタイマーで30分間計測してみたんです。その結果、キール無しの方が良かった。この実験を別の条件でもやりましたが、やはりキールなしに軍配が上がりました」
吉田さんによれば、キールなしのほうが圧倒的にバイト数が出たという。
吉田「キールがあった方がアクションが綺麗に出るし、動きが継続しやすい。でもアクションに硬さが出ていたのも事実。製品版は、ある意味ふらつきながら動き、ピーキーな側面もありますが魚はこっちを選んだというわけです」
こうして完成に至った『サーフェイスコントローラー118F』。表層攻略に特化した偏平ボディには、キャスティングスタッフたちの経験値とこだわりがギュッと詰め込まれている。これから始まる秋の爆釣シーズンも、活躍してくれることだろう!
吉田さん激推し! 6つのオススメカラーとは!?
カラーはスタンダードカラー9色、初回限定カラー5色の全14色をラインナップ。シーバス以外にも、ヒラスズキ、フラットフィッシュ、青物など、幅広い魚種に対応しているようだ。ここでは、吉田さんがおすすめする6つのカラーを紹介しよう!
マットピンク
吉田「サーフゲームで人気のカラーで、サーフェイスコントローラーはヒラメでも可能性があるのでこのカラーを採用しました」
マットブラックチャートライン(初回限定カラー)
吉田「ヒラスズキ狙いに最適。サラシの中で下からルアーを見上げた時にもしっかりシルエットが出る実績カラーです」
リアルプリントボラ(初回限定カラー)
吉田「側面がフラットなのでプリントがとてもキレイに載っています。この手のリアルプリントカラーはプラグにはあまり採用されないですが、実は釣れる色なんです」
チャートバックパール
吉田「下地にホロが入っていてその上にホワイトを入れていて、真珠のようにキレイに輝くパールカラーなんです。シリーズ中でも特に高級感のあるカラーになっています」
チャートヘッドUVメッキ
吉田「ケイムラコートをしたメッキカラー。デイゲームでの青物などにとても効果があります。ただ、ジャークなどでルアーを動かした際に見えにくいことがあったので、ヘッド部にチャートを入れて視認性を高めています」
なかでも、吉田さんの意見を色濃く反映したのがゴーストライムOBだ。
ゴーストライムOB
吉田「グリーンベースのクリアカラーは絶対にボックスに忍ばせておきたいカラーです。テストの時も、澄み潮や月が出て明るい夜などに、このカラーがあればなぁと思っていました。で、カラーを決める会議で前のめりに激推し。細かくカラーも指定して、私のわがままが前面に出ているカラーですね。
干潟でのナイトゲームではクリア系のカラーじゃないと喰わないことがとても多いんです。そうしたシチュエーションでは干潟の水に馴染むライムグリーンのクリアが非常に有効です。OBはオレンジベリーのことで、派手すぎずほんのりオレンジ色に仕上げているところもこだわりのひとつです」
「サーフェイスコントローラー118F(Zeeee!)」の全カラーバリエーションはこちらの記事でチェック!
10名様に『サーフェイスコントローラー118F』をプレゼント!
今回の記事公開を記念して、10名様に『サーフェイスコントローラー118F』(当選ルアーのカラーは選べません)と『Zeeee!』のオリジナルステッカーをプレゼント!応募方法は、下記の応募フォームに答えるだけ!
※当選者の発表は発送にかえさせていただきます。
2022年10月30日(日)開催のシーバスフェスタにも出展予定!
『Zeeee!』は、2022年10月30日(日)にキャスティング主催の「シーバスフェスタ」への出展も予定している(会場:品川シーサイドフォレスト オーバルガーデン B1F広場)。コロナウイルスの感染拡大などの観点から思うようなイベント開催ができていない今日この頃だが、仮に開催が決定すれば、参加者限定の特典なども用意されるそうだ。
新作の「サーフェイスコントローラー118F」に、そして『Zeeee!』のスタッフたちに出会える格好のチャンス! 詳細はキャスティングHPにて随時アップされるので、ぜひチェックしていただきたい。
『サーフェイスコントローラー118F』の動画もチェック!
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
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