もりぞーさんによるチニングゲーム連載第4回目は、フリーリグを一旦離れてトップウォーターゲームがテーマ。夏限定のイメージがあるトップの釣りだが、今はそれも過去の常識。膨大な実釣データを元に導き出した、チヌトップゲームの新たな常識を、もりぞーさんが解説!
●文/写真:森 浩平(もりぞー)
【森 浩平(もり・こうへい)】
大阪府在住。アーバンチニングの第一人者で、クロダイ・キビレの年間キャッチ数は年間2000枚を越すことも。ベイトタックルスタイルとフリーリグの有効性にいち早く着目し、この釣りを普及させてきた。愛称はもりぞー。
10月後半〜11月中旬は秋のトップウォーターハイシーズン!
ルアマガ+をご覧になっている皆さま。ダイワフィールドテスターとして大阪の淀川をホームに活動中のチニング伝道師”もりぞー”こと森浩平です。
さて、今回のお題はチヌトップ(トップチヌ)です。
「えっ?チヌトップって夏限定の釣りでしょ?もう10月半ばだけど…」
そう思った貴方、その認識はもう過去の物です! クリスマスに大晦日。正月、節分、バレンタインデーetc…。チヌトップジャンキーの皆さんと検証したところ、真冬でも釣れる事が分かってきました。
水温10℃前後まで下降する1月・2月の厳冬期はなかなか反応させにくいものの、水温がまだ落ちきっていない12月は、北西風ビュービューの寒い日を避けて比較的穏やかな日を選べば割と釣れますし、シーバスに青物、アオリイカと魅力的なターゲットの陰に隠れて見過ごされがちではありますが、南風が吹いて下降気味だった気温と水温が安定する10月・11月は秋のチヌトップシーズンとも言えます(ただし、水温が20度を下回ってくると夏場のような速いテンポのドッグウォークには反応が悪くなるので釣りをスローダウンさせる必要や、止めて喰わせると言った小技が必要です)。
大型ペンシルと大阪湾チヌトップ事情
さて、チヌトップ用のプラグと言えばチニングスカウター(ダイワ)や水砲(メガバス)といった小型のポッパーやペンシルが主流ですよね。
しかし、私のホーム大阪湾ではそういったチニング専用の小型プラグよりもスーパースプークJr.(ヘドン)に代表される90mm前後のボディに爆音ラトルの入った大型のプラグが人気です。私が愛用している淀川生まれのチヌトップ専用設計ハンドメイドペンシル「イマペン」も90mmのワンノッカー。何故か?
普通の釣りに満足できなくなった達者のエスカレートじゃないの? と思われるかも知れませんが違います。理由はシンプル。淀川をはじめとする大阪湾のチニングフィールドは風の影響を受けやすく、濁りも強い事が多いうえに、トップ向きのシャローもわずかなため、小型のポッパーやペンシルだとアピール力不足でルアーの存在に気付いて貰えないから。
いくら一口サイズで喰わせの能力が高くても、魚に気付いて貰えなければ意味が無い。ゆえに、風の吹いている状況でもしっかり飛距離を出せて、波立つ荒れた状況、濁った状況、水深のある場所でも魚を呼べる、アピール力の強い大型ルアーが必要なのです。
90mmや100mmのトップウォータープラグというと、チヌの口のサイズからしたら「大きすぎる!」と思うかも知れませんが実際ガンガンバイトしてきます。近年流行しているシーバスのビッグペンシルパターンなんかも当初は懐疑的な声が多かったですが、今では普通に受け入れられていますよね。
チヌトップにおける90mm系もそれと同じようになると思っています。(90mmどころか落ち鮎シーバスシーズンはS字形ビッグベイトでチヌ釣れますし、初冬の大阪湾マイワシパターンではシーバス狙いのセットアッパー125S-DRにキビレやチヌもガンガン喰ってきます)
とは言え、現時点では専用品はありませんし他魚種用を流用せざるを得ないのが悩みどころ。これはもうダイワに作って貰うしか無いですね(笑)。
もりぞー的トップウォータールアーの使い分け
小さければなんでも良いわけではないのと一緒で、大きければなんでも良いわけではありません。まず浮き姿勢。
【水平浮き】
水押しの強さとターンの切れがバツグン。高水温期の広範囲サーチなどで使うと最高な反面、ターンの幅が大きすぎるとミスバイトに繋がりやすいです。
【縦浮き】
アクション時は水平姿勢に近くなり強く水を押すタイプと、アクション時はダイブを含むスライド系の水を切るタイプの2種類あってそれぞれ有効となるシーンが違いますが、総じて小技を効かせやすく、低活性時やポーズで喰わせることが多くなる低水温期は圧倒的にヒット率が高いです。
と、言うわけで自分は小技を効かせやすく、水に浸かっている面積も大きい縦浮きを使う事が多いです。ザックリですが分類をしてみましょう。
もりぞー的トップウォータプラグの分類
- 1.縦浮きかつ、アクション時は水平姿勢で強く水を押すタイプのペンシル
- 2.縦浮きかつ、水を切りつつダイビングするタイプのペンシル
- 3.縦浮きかつ、移動距離を抑えつつアクションさせられるペンシルポッパー
この3タイプをそれぞれ大(90mm前後)/小(75mm前後)6種類用意し、使い分ける事でほとんどの状況をカバーできると考えています。
使い分けの一例を挙げてみましょう。
【アップクロス】
「1.」だと水を噛まず滑り気味で手前に寄る速度が早すぎるので、水中に入る時間の長い「2.」か、移動距離を抑えられる「3.」がミスバイトを防ぎキャッチ率高い。
【ダウンクロス】
「3.」だと引き抵抗が強すぎてキツいので「1.」か「2.」的な。
色は、チヌトップ=クリアカラーなイメージですが、濁っている状況、風波ガバガバの状況ではシルエットのハッキリ出るソリッド系が強いので、これもまた状況によって使い分けですね。
押す系、切る系、移動距離抑える系。大小だけではなくアクションの違いで細かく使い分けているんだな…と思うかも知れませんが、あの手この手で工夫して場所や状況に応じたアプローチを試みる事でようやく釣果が安定するのが大阪湾というフィールドの難しさでもあり、面白さでもあると思っています。なにせ小型プラグ全盛だったチニング黎明期は「大阪でチヌトップは成立しない。トップで釣りたいなら和歌山まで遠征しないと駄目」と言われていたほどですから。
そう言う意味ではボトムも同じですよね。従来のチニング専用って食い込み重視のソフトティップ。リグは軽ければ軽いほど良い。巻き速度はゆっくり巻けば巻くほど良い的な穏やかな状況下における喰わせ優先の設計。でも、それだとハードボトムやラフコンディションでは通用せず釣りが成立する条件が限られる。
⇒状況に応じたアプローチが可能なハリの強いロッドとフリーリグがnewスタンダードになった。
小型ペンシルを投げていても全然だったのに大型ペンシル投げたらバコバコに出た!という事例は他の地域でもありますし、ルアーありきではなく状況に応じたルアー選択という考えが主流になればボトム同様にチヌトップ=スモールプラグという常識も変わるかも知れませんね。
ちなみに、フックはダイワ Dトレブルフック SS VP 3Rを愛用。サクサスコートとオープン気味の形状で掛かりが良いです。ガンメタ色でギラ付きを抑えているのもシブい状況で見切られにくいと感じます。
また、ルアーの接続には強軸スナップワイド SSサイズを使用。大きなスナップだとルアーの浮き姿勢が変わってしまいアクションも変わってしまうため、軽量コンパクトかつ高強度・高耐久なスナップがオススメ。
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