伊藤巧さんの秋のバス釣り狙い方の基本スタイルまとめ

バス釣りにおいては秋といえば「巻きモノ」。ガンガン巻いて釣れるのは確かにエキサイティングだが、カバー撃ちはやらなくてもいいのだろうか? エリートプロ・伊藤巧さんに、ベーシックなシーズナルパターンと共に一歩進んだ「ハイスタンダード」な秋の王道を教わろう! 今回は伊藤巧さんの秋の王道スタンダードTIPSをまとめて解説。

●文:ルアーマガジン編集部

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伊藤巧さんのプロフィール

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伊藤巧(いとう・たくみ)

アメリカで行われる世界最高峰トーナメントB.A.S.S.バスマスターエリートシリーズに参戦する日本最強クラスのアングラー。各種トーナメントや陸王・艇王といった試合で勝つ釣りをこなす一方で、ムービングルアーでのアクティブな釣りを愛する。

秋バスの探し方

大きな視野で場所を選択していく

行動範囲が非常に広くなる秋のバス。だからといって、やたらめったら巻きモノを投げるのは非効率に変わりない。そこで秋バス探しの基本的な要素を3つ紹介。それぞれの要素が大切なのはもちろんだが、複合するほどいいのは言わずもがな!

シェード

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夏場には鉄板だったシェードは秋も引き続き重要な要素。ただし、高水温時にシェードの濃い場所を好んでいた状況から一変し、適水温になって動き回れるようになったバスはシェードのどこにいてもおかしくはない。立ち位置やボートポジションにも注意を払おう。

ベイトの存在

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水面に時折小さな波紋が立つ。ルアーを通すとエビが跳ねる。水辺にサギなどの水鳥が止まって水面を見ている…。フィールドを観察していると、ベイトの存在を知らせるいくつものサインに気がつくはず。エサを食べたいバスが、それらのベイトを狙って近くにいる可能性は低くないはずだ。

水のいい場所

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ターンオーバーしている場所はもちろん、稲シブのように明確に悪いと考えられる水が入っている場所は避ける。河川で悪い水が流れている場合、逆ワンドや張り出しの裏などにいい水が残っていることが多い。水の良し悪しはバズベイトを投げて泡の消えやすさで判断してもOK。

スピナーベイトの使い方

何かの周りをとにかく巻くべし!

根掛かりしにくく、テンポよく投げていけるスピナーベイトは秋の釣りにうってつけ! 離れた魚を引っ張ってきて食わせることもできるし、リアクション的に食わせることも可能。ロッドの上下でレンジコントロールも可能な万能選手だ。実は巻きスピードにキモがあって、ベストなアクションは「気持ちよくブルブルするくらい」なのだとか。カバー周りや地形変化の周辺をまずは巻いてみよう。

スピナーベイトに最適な巻きスピードを維持するため伊藤さんはリールを使い分けている。エレキの力で前に進みながら投げられるボート釣りでは巻きスピードの速いメタニウムを、地に足をつけてその場でリーリングする岸釣りでは巻きスピードが遅いカルカッタコンクエストをそれぞれ使用しているのだ。 [写真タップで拡大]

ターンオーバーしている場所はもちろん、稲シブのように明確に悪いと考えられる水が入っている場所は避ける。河川で悪い水が流れている場合、逆ワンドや張り出しの裏などにいい水が残っていることが多い。水の良し悪しはバズベイトを投げて泡の消えやすさで判断してもOK。

秋の撃つ釣り

依然有効。でも効率が悪いかも…?

夏の定番であったカバーの釣りは秋にも引き続き有効。とくに日中のシェードが小さくなる時間帯には活躍の機会も多いとか。しかしその一方で、バスがシェードに依存していない=カバーから離れられるという点から、カバーの周りを巻く方がよりスピーディーに口を使わせられるのも秋の特徴。これこそが「秋は巻きモノ」の正体なのかもしれない。

実釣では日が高くなってから、主にフリップドムをカバー攻略に使用していた伊藤さん。限りなく無音に近い着水音で次々に撃ち込むが、この日はまったく反応を得られなかった。 [写真タップで拡大]

クランクベイトの使い方

適度にボトムタッチさせつつ巻くべし!

リップの働きで、一定レンジを安定して通すことができるクランクベイト。伊藤さんの使い方の基本はリトリーブ中に適度にボトムタッチさせて、その際の姿勢変化で口を使わせるというもの。今回はファーストブレイク周辺を狙うために、潜行深度が1.5メートル程度まで潜るショットフルサイズを使用。狙いたい場所の水深を意識したルアー選びが重要なのだ。

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着水後、素早くリトリーブして狙いの潜航深度まで到達。そのレンジで時折ボトムにコンタクトするように巻いてくる。しっかり潜りつつも、底を叩きすぎないのがポイントだ。

スピナーベイトとクランクベイトの使い分けヒント

クランクベイト

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  • 少し深い場所のボトム付近を狙う
  • スピード感や姿勢変化で口を使わせる

スピナーベイト

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  • ルアーが見える程度の浅いレンジを通す
  • カバーの中から魚を引っ張る力が強い

バズベイトの使い方

ペラの3/4が水中にあるのがベスト!

実は秋こそがバズベイトのハイシーズン。水面という騙しやすい場所で、横方向への移動がしやすくなった秋のバスを反応させされるからだ。しかし要注意なのがそのスピード感。伊藤さん的なベストは、水面に出ているペラが全体の1/4の状態。つまりペラのほとんどが水中にある状態がもっとも効率的にバズベイトの能力を発揮させることができるのだとか。案外ゆっくりなので、しっかりと意識しよう。

ペラが水中に入っていないと、水をしっかりと撹拌することが出来ない。側線で感じているバスだからこそ、水の動きを発生させて認識させないと、折角のバズベイトのパワーが半減するばかりか、食い損ないにもつながるのだとか。 [写真タップで拡大]

バズベイトの基本はなにかの脇を通すこと! スピナーベイト同様、スナッグレス性能が高いので、臆せずキャストを決めていこう。なお、水面系ルアーとはいえバズベイトなら写真程度のラフウォーターまでなら問題ないそうだ。 [写真タップで拡大]

秋のフィネスは?

狙いが絞れるなら試す

バスの行動と効率の良さから秋は巻きモノが最適なわけだが、フィネスの出番がないわけではない。伊藤さんの場合、絶対いる!と思える場所で、時間をかける覚悟で投げるとのこと。ただし、他の場所を巻いて当てにいける季節でもあるため、リズムを崩さないように注意したい。

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最後まで巻き通した伊藤さん。どうやらこの日の状況では新利根川上流域は思わしくなかったようだ。天候による期待度が高かっただけに非常に残念だが、この続きは是非ともこの記事を読んでくれた読者の皆様に完結させてほしい! 巻きモノの秋はまだまだ続く…!

合流部の狙い方

実は対岸が狙い目!

写真は新利根川(手前)と破竹川(奥)の合流地点。ついつい破竹川側から釣りを始めてしまいそうだが、伊藤さんは合流部の対岸からスタートし、実際に左写真のバスをキャッチしている。

実は川の流れは多かれ少なかれ対岸にぶつかる形で影響を及ぼしており、さらにはその上流下流ともに変化をもたらしていることが多いため、狙い目となる。

気づいていないアングラーが多い竿抜けポイントだ。

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破竹川との合流部の対岸、その少し上流の護岸際にスピナーベイトを通すとヒット! 一見なんの変哲もない真っ直ぐ伸びる川も、より広い目で見ると狙うべき場所が見えてくる。バスがどこにでもいる秋だからこそ、意識したい。

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ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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