巻く? 撃つ? 伊藤巧さんのスタンダードな秋の王道シーズナル

バス釣りにおいては秋といえば「巻きモノ」。ガンガン巻いて釣れるのは確かにエキサイティングだが、カバー撃ちはやらなくてもいいのだろうか? エリートプロ・伊藤巧さんに、ベーシックなシーズナルパターンと共に一歩進んだ「ハイスタンダード」な秋の王道を教わろう!

●文:ルアーマガジン編集部

2024 新製品情報

伊藤巧さんのプロフィール

伊藤巧(いとう・たくみ)

アメリカで行われる世界最高峰トーナメントB.A.S.S.バスマスターエリートシリーズに参戦する日本最強クラスのアングラー。各種トーナメントや陸王・艇王といった試合で勝つ釣りをこなす一方で、ムービングルアーでのアクティブな釣りを愛する。

まずは秋のシーズナルを確認!!

適水温によって本能の赴くままに食べる!

今年も暑い夏が過ぎ去り、やってきたのは秋。最近こそあまり聞くことはなくなったが、数釣りの季節とも言われている。釣りがしやすい気候に加えて、バスも釣りやすい?

いやいや。そんなに昨今のバス釣りがそんなに甘くはないのは御存知の通り。それではプロアングラーはこの『秋』という季節をどのようにして攻略していくのだろうか?

伊藤「そうですね。それじゃあまずは秋の到来について。夏から秋への季節変化は台風による大水で水中の水がガラッと変わることで始まると考えています。となると、9月ぐらいにはもう秋になり始めているわけです。意外と早いですよね。それから秋って、荒食いの季節と言われることもありますが、僕の考えでは、秋になると特別に食べる、というわけではないんです」

と言うと?

伊藤「バスは産卵行動を優先する春を除くと、あらゆる季節で変わらず捕食をしているんです。ただし、秋以外の季節ではそれよりも気にする要素がある」

秋はバスが水温を気にしなくていいタイミングが多い

夏のうだるような暑さも過ぎ去り、アングラー的にも釣りがしやすい秋。「天高く馬肥ゆる秋」の言葉の通り、秋は気圧の関係で空が高く感じられるほどにおだやかな天気になることも多い。それでは秋はバスも肥える季節になるのだろうか?

暑さと寒さですね。

伊藤「その通りです。生命の危険がないように、夏であればカレントやシェードを優先するし、冬ならば水温の安定した場所を好む。捕食行動の優先度はその次。たとえばマズメ時にまとめて食べるくらいになるんです。でも秋になると、季節的な環境要因で生命の危機に瀕するようなことがないため、捕食行動が中心の生活になるんです。マズメ時の捕食行動も時間の幅が広くなって食べる機会が多くなるイメージです」

ということは、秋だから特別釣れるわけでもないのでしょうか?

伊藤「荒食いというのはちょっと違うかもしれませんね。でも秋は釣りの幅が広がるんです」

秋の風物詩とも言えるターンオーバー。表層の水温が一気に下がることで水中が撹拌され、それまでボトム付近にあった良くない水が広がってしまう現象。水の悪化は水面の泡がなかなか消えないことで簡単に判断することが可能。

確かに、巻きモノの季節っていいますよね。

伊藤「ですよね。それは先にも述べているように、生命の危機を感じてシェードの中にいる必要がなくなるから。つまり行動圏が広がるからなんです。夏同様、撃つ釣りでも釣れるし、フィネスの出番もあります。でもこの行動圏が広がるからこそ、巻きモノの効率が重要になってくるんです!」

1年を四季で分けると、夏と冬は暑さや寒さといった外的要因による影響があり、春は産卵の時期であり行動の多くはそれに左右されることとなる。一方、秋だけはバスに影響を与える要素が少ないため、もっともシンプルな本能「捕食行動」が中心となるのだ。

伊藤巧さんの秋のシーズナルで気にするポイント

  1. 秋の訪れは台風の通過から! 意外と早いので注意!
  2. 特別に荒食いするというよりも、暑さや寒さ、産卵を気にしなくていいから食べる!
  3. 夏よりも行動範囲が拡大! 効率を重視した釣りが鍵になる!

秋バスの探し方

大きな視野で場所を選択していく

行動範囲が非常に広くなる秋のバス。だからといって、やたらめったら巻きモノを投げるのは非効率に変わりない。そこで秋バス探しの基本的な要素を3つ紹介。それぞれの要素が大切なのはもちろんだが、複合するほどいいのは言わずもがな!

シェード

夏場には鉄板だったシェードは秋も引き続き重要な要素。ただし、高水温時にシェードの濃い場所を好んでいた状況から一変し、適水温になって動き回れるようになったバスはシェードのどこにいてもおかしくはない。立ち位置やボートポジションにも注意を払おう。

ベイトの存在

水面に時折小さな波紋が立つ。ルアーを通すとエビが跳ねる。水辺にサギなどの水鳥が止まって水面を見ている…。フィールドを観察していると、ベイトの存在を知らせるいくつものサインに気がつくはず。エサを食べたいバスが、それらのベイトを狙って近くにいる可能性は低くないはずだ。

水のいい場所

ターンオーバーしている場所はもちろん、稲シブのように明確に悪いと考えられる水が入っている場所は避ける。河川で悪い水が流れている場合、逆ワンドや張り出しの裏などにいい水が残っていることが多い。水の良し悪しはバズベイトを投げて泡の消えやすさで判断してもOK。

スピナーベイトの使い方

何かの周りをとにかく巻くべし!

根掛かりしにくく、テンポよく投げていけるスピナーベイトは秋の釣りにうってつけ! 離れた魚を引っ張ってきて食わせることもできるし、リアクション的に食わせることも可能。ロッドの上下でレンジコントロールも可能な万能選手だ。実は巻きスピードにキモがあって、ベストなアクションは「気持ちよくブルブルするくらい」なのだとか。カバー周りや地形変化の周辺をまずは巻いてみよう。

スピナーベイトに最適な巻きスピードを維持するため伊藤さんはリールを使い分けている。エレキの力で前に進みながら投げられるボート釣りでは巻きスピードの速いメタニウムを、地に足をつけてその場でリーリングする岸釣りでは巻きスピードが遅いカルカッタコンクエストをそれぞれ使用しているのだ。

ターンオーバーしている場所はもちろん、稲シブのように明確に悪いと考えられる水が入っている場所は避ける。河川で悪い水が流れている場合、逆ワンドや張り出しの裏などにいい水が残っていることが多い。水の良し悪しはバズベイトを投げて泡の消えやすさで判断してもOK。

秋の撃つ釣り

依然有効。でも効率が悪いかも…?

夏の定番であったカバーの釣りは秋にも引き続き有効。とくに日中のシェードが小さくなる時間帯には活躍の機会も多いとか。しかしその一方で、バスがシェードに依存していない=カバーから離れられるという点から、カバーの周りを巻く方がよりスピーディーに口を使わせられるのも秋の特徴。これこそが「秋は巻きモノ」の正体なのかもしれない。

実釣では日が高くなってから、主にフリップドムをカバー攻略に使用していた伊藤さん。限りなく無音に近い着水音で次々に撃ち込むが、この日はまったく反応を得られなかった。

クランクベイトの使い方

適度にボトムタッチさせつつ巻くべし!

リップの働きで、一定レンジを安定して通すことができるクランクベイト。伊藤さんの使い方の基本はリトリーブ中に適度にボトムタッチさせて、その際の姿勢変化で口を使わせるというもの。今回はファーストブレイク周辺を狙うために、潜行深度が1.5メートル程度まで潜るショットフルサイズを使用。狙いたい場所の水深を意識したルアー選びが重要なのだ。

着水後、素早くリトリーブして狙いの潜航深度まで到達。そのレンジで時折ボトムにコンタクトするように巻いてくる。しっかり潜りつつも、底を叩きすぎないのがポイントだ。

スピナーベイトとクランクベイトの使い分けヒント

クランクベイト

  • 少し深い場所のボトム付近を狙う
  • スピード感や姿勢変化で口を使わせる

スピナーベイト

  • ルアーが見える程度の浅いレンジを通す
  • カバーの中から魚を引っ張る力が強い

バズベイトの使い方

ペラの3/4が水中にあるのがベスト!

実は秋こそがバズベイトのハイシーズン。水面という騙しやすい場所で、横方向への移動がしやすくなった秋のバスを反応させされるからだ。しかし要注意なのがそのスピード感。伊藤さん的なベストは、水面に出ているペラが全体の1/4の状態。つまりペラのほとんどが水中にある状態がもっとも効率的にバズベイトの能力を発揮させることができるのだとか。案外ゆっくりなので、しっかりと意識しよう。

ペラが水中に入っていないと、水をしっかりと撹拌することが出来ない。側線で感じているバスだからこそ、水の動きを発生させて認識させないと、折角のバズベイトのパワーが半減するばかりか、食い損ないにもつながるのだとか。 [写真タップで拡大]

バズベイトの基本はなにかの脇を通すこと! スピナーベイト同様、スナッグレス性能が高いので、臆せずキャストを決めていこう。なお、水面系ルアーとはいえバズベイトなら写真程度のラフウォーターまでなら問題ないそうだ。 [写真タップで拡大]

秋のフィネスは?

狙いが絞れるなら試す

バスの行動と効率の良さから秋は巻きモノが最適なわけだが、フィネスの出番がないわけではない。伊藤さんの場合、絶対いる!と思える場所で、時間をかける覚悟で投げるとのこと。ただし、他の場所を巻いて当てにいける季節でもあるため、リズムを崩さないように注意したい。

最後まで巻き通した伊藤さん。どうやらこの日の状況では新利根川上流域は思わしくなかったようだ。天候による期待度が高かっただけに非常に残念だが、この続きは是非ともこの記事を読んでくれた読者の皆様に完結させてほしい! 巻きモノの秋はまだまだ続く…!

合流部の狙い方

実は対岸が狙い目!

写真は新利根川(手前)と破竹川(奥)の合流地点。ついつい破竹川側から釣りを始めてしまいそうだが、伊藤さんは合流部の対岸からスタートし、実際に左写真のバスをキャッチしている。

実は川の流れは多かれ少なかれ対岸にぶつかる形で影響を及ぼしており、さらにはその上流下流ともに変化をもたらしていることが多いため、狙い目となる。

気づいていないアングラーが多い竿抜けポイントだ。

破竹川との合流部の対岸、その少し上流の護岸際にスピナーベイトを通すとヒット! 一見なんの変哲もない真っ直ぐ伸びる川も、より広い目で見ると狙うべき場所が見えてくる。バスがどこにでもいる秋だからこそ、意識したい。

バスもベイトも心地良い!? 水の良さを求めてラン&ガン!!

新利根川は水質悪し? 良い水はどこに?

実釣の舞台は新利根川。今回お世話になった「松屋ボート」さんは、新利根川はもちろん洲ノ野原へのアクセスも良好。1日で様々なパターンの釣りを楽しめる。店内では前日の釣果をチェックできるほか、当日朝の予約でカレーやもつ煮定食などがお昼に食べられる。

それでは伊藤さんに、新利根川にて秋の釣りを披露してもらおう。

初日はボートでバスを狙う。松屋ボートからレンタルボートで出船してまもなく、伊藤さんは早速異変に気が付いた。

伊藤「水が悪いですね。岸際を見てみてください。白っぽく膜が貼ったようになって、泡がずっと残っています。ターンオーバーや、稲シブなんかの良くない水が入っているとああなるんです。川は一旦見切って、洲ノ野原方面に向かいましょう」

新利根川の下流には霞ヶ浦の洲ノ野原と呼ばれる広大なエリアがある。まずはそこからスタートだ。

実釣をスタートしてすぐさま目についたのが、岸周りの水面が粉っぽく、泡立っている状況。それも一部ではなく、岸沿いにしばらく続いている様子。これを見た伊藤さんは川の中の水質が悪いと判断し、洲ノ野原方面へと船を進めた。

伊藤「見てください。川のカレントの影響がない場所だと水が良い」

新利根川下流の水門をくぐり、右側にある逆ワンド状のエリアにバズベイトを通す伊藤さん。たしかにその引いた軌跡に泡は残らない。

伊藤「水の良さは何よりも重要です。バスが過ごしやすいというのもありますし、それは同じ生物であるベイトも同じ。そうすればそれを食べに来るバスもいるわけです。特にこの季節はターンオーバーがあるので、水の良し悪しでバスの居場所を大きく絞り込むヒントになります」

暑さという枷がなくなり、どこにでもいるバスの居場所をつきとめるには、広い視野でエリアの判断をしていく必要があるわけだ。

伊藤「来た! スピナーベイト!」

水の良いエリアの張り出しにてファーストフィッシュをキャッチ! 直前にはバスが捕食したような波紋が立っていたとか。

ファーストフィッシュがバイトしてきたのは岬上に張り出した地形。水通しがよく、明らかに水質のいい場所でのヒット。このとき、場所で釣れたのではなく、水で釣れたと考えるのが伊藤さん流だ。

クリスタルS 3/8oz【ノリーズ】

この後、ベジテーションカバー脇でスピナーベイトを通すたびにエビが跳ねるポイントで2尾目を追加。その一方で、途中通過した水の悪い場所にはベイトの姿も見かけなかった。

アメリカではよく釣っているという、マツラバ(デプス)+フロントフラッパーカーリー(ノリーズ)を少しだけ投入。シェイク巻きで使うとジャークベイトのような緩急のあるアクションが発生してよく釣れるのだとか。

ライン小話「根掛かり後は多めにラインをカット」

伊藤「根掛かりしてラインを引っ張って切れたとき、残ったラインは本来の強度を持っていないと考えましょう。万が一のことを想定して、リールから出ていた分をカットするのがオススメです」

秋らしく「巻き」の釣りが抜群に効いた!

その後も水の良い場所を中心に船を進めていく伊藤さん。洲ノ野原の東、妙岐ノ鼻エリアにさしかかる頃には日も高くなっていた。

伊藤「シェードが狭くなってきたので、カバーも撃ちましょう」

季節を問わず、カバーはバスの隠れ家であり捕食行動の場。シェードが絡むのであればなおさら狙い場所となるはずだ。ところが、針の穴をも通す精度とほぼ無音に近い着水音でフリップドムを送り込むもなんの反応もない。気がつくと西風も強まっていたため、このタイミングで再び新利根川へと移動することになった。

伊藤「風が強いときの操船は注意しましょうね。できるだけ岸際で風を避けつつ進むと安全ですよ」

三角波に翻弄されつつ新利根川に戻ると朝とは違って水が良くなっている。

伊藤「川ですから、悪い水が押し出されたんでしょうね。ちょうど下流の水門をくぐるくらいの場所の水が朝よりも悪くなっていましたし」

伊藤さんはここでクランクベイトをチョイスした。

伊藤「風が吹いて岸際が荒れてしまうとバスが嫌がることがあるので、少し沖を狙います。ファーストブレイク周辺を通すイメージですね」

と、数投後、沖に伸びたベジテーションカバーのそばを通すショットフルサイズにヒット! カバー撃ちでは音沙汰がなかったのにもかかわらず、巻きモノでは結果が早い。

伊藤「巻きのメリットですよね。暑さがなくなり、バスはカバーの外へもルアーを追いやすくなっている。それならば、巻いたほうが効率がいいんです」

同じエリアでも、スピナーベイトはより岸近くのシャロー周りを、クランクベイトはそこから少し沖に出たファーストブレイクのボトム付近を狙うことで、より綿密に探ることが可能。

ワーミングクランク ショットフルサイズ【ノリーズ】

スピナーベイトとクランクベイトの使い分けヒント

クランクベイト

  • 少し深い場所のボトム付近を狙う
  • スピード感や姿勢変化で口を使わせる

スピナーベイト

  • ルアーが見える程度の浅いレンジを通す
  • カバーの中から魚を引っ張る力が強い

スピナベ、クランクときて バズベイトで締め!「秋の巻きモノ」を満喫!?

バズベイトに変えた途端ヒット!?

新利根川の下流域で3尾目を釣った伊藤さんは大きく上流方向へ移動。やってきたのは川幅が狭まるエリアだ。

伊藤「流れが生まれやすい、大きな変化のある場所なんです。この変も水がいいですね。またカバーを撃っていきましょうか」

フリップドムを中心に、岸際のブッシュ周りへと次々にフリッピングを決めていく伊藤さん。実はこのあたり、昨年9月の艇王で伊藤さんがフリップドムのカバー撃ちでバスをキャッチしたエリアでもある。しかしこの日はやはり反応がない。ここで伊藤さんはバズベイトのボルケーノIIにルアーを交換。ベジテーションカバーの脇を通す。その1投目。

伊藤「出ましたね~。バズベイトに変えたら一発でした(笑)。おそらくバスはカバーの直下にいて、落ちていくものに反応しない日なのかもしれません。横に動くものに好反応を示す。まさに秋のバスです」

直前までフリップドムをカバーに撃ち込んでいた伊藤さんだったが、あまりの反応の無さにルアーをボルケーノIIにチェンジ。答えは早かった! バズベイトに交換後、いきなり水面は割れた! ここまで明確に撃ちと巻きで反応に差が出るとは驚きだ。残念ながらフックアップにはいたらなかったものの、この後にもバイトは続いた。

その後もフックアップはしないもののバズベイトに反応はあった。ここまで4尾のバスを釣り上げた。いずれも巻きモノでキャッチしているものの、サイズは粒ぞろい。最後はサイズアップ狙いで洲ノ野原へと移動したものの、追加の魚を得ることが出来ず、この日の実釣は終了となった。

バイトはあっても乗らない…そんな時は多少スナッグレス性能は落ちるもののアシストフックの出番! 伊藤さんは「スナッグレストレーラーTC【リューギ】」を愛用。フック位置を固定しやすいので、トラブルが起こりにくいのが特徴だ。

伊藤「バスのいるエリアはある程度目星がついていましたね。こうなってくると流石にスピニングタックルで時間を掛ける必要もあったかもしれません」

それでもムービング系ルアーだけで4尾をキャッチした伊藤さん。しかもいずれの魚も伊藤さんの理論に則った釣果だったのだ。

バズベイトの基本はなにかの脇を通すこと! スピナーベイト同様、スナッグレス性能が高いので、臆せずキャストを決めていこう。なお、水面系ルアーとはいえバズベイトなら写真程度のラフウォーターまでなら問題ないそうだ。

ライン小話「太いラインでキャスティング精度がアップ!」

伊藤「実はキャスティング精度を高める簡単な方法があるんです。それは太いラインを使用すること。太いラインは抵抗が大きいし重いしで、キャストしても常時サミング状態みたいになるんです。そうすると、ルアーが飛ぶスピードが遅くなるので、コントロールする余地が生まれるわけです。例えば自分の場合、スピナーベイトは20lbを使用しますよ」

ボルケーノII【ノリーズ】

岸釣りでも秋の新利根川に挑戦! でかバスが期待できる雰囲気だが…!?

2日目はオカッパリ! しかし魚の居場所が違う…?

迎えた2日目。この日は新利根川を中心にオカッパリで攻略することになった。

朝一は下流域にある大きな水門からスタート。しかし周辺の水はあまり良くない模様。しばらくバズベイトを通したあと、伊藤さんが取り出したのはスピニングタックルだった。

伊藤「明らかにバスがいるだろう、という場所であればスピニングタックルで時間を掛けるのももちろん有効です。ただやっぱり秋はバスの行動圏が広いということもありますし、こちらから当てに行ったほうが効率がいいことも多いですね」

伊藤さんは2箇所目として、新利根川と似たシチューションの野田奈川をチェックしたのち、再び新利根川へと移動。やってきたのは上流部にある破竹川との合流地点だ。

ウエッピング気味に足元のカバーをフリップドムでアプローチ。巻きだけでなく撃つ釣りも試す。どちらがいいかはその日その時になってみないとわからない部分があるのだ。

伊藤「こういう場所って、ついつい川が合流している場所からやってしまいますよね。もちろんそれも悪くないんですが、実は合流部の対岸にも変化が及んでいて狙い目になっているんですよ」

流れがぶつかれば、そこに生まれる変化は大きいものになる。例えば破竹川の合流部で言えば、対岸の上流下流ともにその影響があるのだという。そして伊藤さんはそれを即座に証明してくれた。合流部の対岸上流側でヒットしたのだ!

伊藤「護岸際にスピナーベイトを通したら食ってきましたよ! 変化の少ないタイプの川ですから、これだけ大きな何かがある場所付近には絶対にバスがいます。巻く釣りなら、そういった魚に遭遇できる!」

朝こそ汗ばむ陽気ではあったものの、この日は時間経過とともに荒れ模様となってきた。

伊藤「雨もぱらつくしこの風。いいですね。こういう日はデカいのが釣れるんですよ!」

陸王や艇王、そしてB.A.S.S.と、伊藤さんはメディアに出演する傍ら、試合形式でのバス釣りに挑む機会も多い。勝つための釣り。そこにあるのは時にプロセスを無視した釣果への最短距離であり、小さな水路でのサイトフィッシングや極々フィネスな釣りも必要となる世界。しかし伊藤さんは、自身の本質はそこにはないのだという。

この日、追加の魚を得ることはできなかった。しかし、本流を回遊するハイクオリティのバスと遭遇できる釣りを追求するその姿は、間違いなく、大好きなバスフィッシングを堪能していたように思う。

最後まで巻き通した伊藤さん。どうやらこの日の状況では新利根川上流域は思わしくなかったようだ。天候による期待度が高かっただけに非常に残念だが、この続きは是非ともこの記事を読んでくれた読者の皆様に完結させてほしい! 巻きモノの秋はまだまだ続く…!

年々難しくなるバス釣りを前に、釣果への最短距離を求めてしまうかもしれない。しかしたまには大きな視野でフィールドを見つめ、でかバスとの出会いに期待してみるのはいかがだろうか? 秋はそれが楽しめる季節なのだから。

フラットエリアから魚がいなくなるまでは秋! 巻きの釣りはやっぱり楽しいですよ!

タックル

【バズベイト、スピナーベイト用】

  • ロッド:ロードランナーヴォイス ハードベイトスペシャル エリートスペックHB6100MG
  • リール:カルカッタコンクエスト100
  • ライン:R18 フロロハンタータクト20lb

【クランクベイト用】

  • ロッド:ロードランナーヴォイス ハードベイトスペシャル エリートスペックHB6100MLG
  • リール:カルカッタコンクエスト100
  • ライン:R18 フロロハンタータクト14lb

【カバー撃ち用】

  • ロッド:ロードランナー ストラクチャーNXSエリートスペックSTN730H
  • リール:メタニウムXG
  • ライン:R18フロロリミテッドハード20lb【全て、ロッドはノリーズ、リールはシマノ、ラインはシーガー】

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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