エリアの代表的なルアーといえばスプーンだ。しかし、あまりに種類が多いため、ビギナーは何をどう使っていいかわからなかったりするもの。そこでスプーンの釣りを得意とする池谷哲哉さんに基本操作法+めっちゃ釣れるミューとパルの使い分けを解説してもらった。それではレッツゴー!!
●文:ルアーマガジン編集部
池谷哲哉さんのプロフィール
池谷哲哉(いけや・てつや)
フォレスト・フィールドテスター、ヴァンフック・フィールドアドバイザー。スプーンの達人としてエリア界にその名を馳せる実力派。トラウトキング選手権・東山湖FA大会では2度の優勝経験を誇る。最近よく通っているのは東山湖FA(静岡県御殿場市)と須川FP(静岡県駿東郡小山町)。釣り場で出会ったら、スプーンの使い方を教えてもらっちゃおう!!
ルアーの特徴&操作のコツを知ればスプーンの釣りは全然難しくない!!
名手が使い方を解説! スプーンで釣ってみよう
エリア釣りの世界には、いくつか伝説的なスプーンがある。フォレストから発売されているミューとパルもそのひとつ。どちらも、フォレスト創業者の須田良雄さんが20年以上前に手掛けた傑作を源流としている。その圧倒的な釣れっぷりから、当時アングラーから熱烈な支持を受け、そしてバリエーションを増やしながらいまなおエリア界の超定番ルアーとして最前線で活躍しているのはご存じのとおり。
池谷「スプーンはエリアの花形ルアーです。それは間違いない。ただ、操作が簡単かといえば、必ずしもそうとは言い切れない(笑)。巻きを止めれば沈むし、速く巻きすぎると浮き上がる。操作に多少の慣れが必要なんです。しかし、いったん操作法を覚えると、その手返しのよさから、爆発的な釣果を叩き出せる。エリアの釣りの奥深さを味わえるルアーだといえる。やっぱり使っていて楽しいんですよね」
池谷「放流や朝イチなど魚の活性が高いときは、巻くだけで釣れるミュー。次第に魚の活性が落ちてきたら、自然な安定アクション+レンジキープしやすいパル。この2つの使い分けを覚えれば、どこの釣り場でも楽しめるはず」
それでは、スプーンの有効な操作法、そして伝説的スプーンであるミューとパルの基本的な使い分けを解説してもらおう!!
フォレスト2大レジェンドスプーン『ミュー』&『パル』
ミュー【フォレスト】
表層付近を引くのに最適なエリアトラウト向けスプーン。ただ巻きすると自動的にイレギュラーが交じる設計。高活性(放流を含む)から中間活性の魚を攻略するのにおすすめ。速巻きにも対応する。
ミューの主な特徴
- 自動的に食わせの間が入る
- 浮き上がりやすい
- 速巻きが得意
- 放流や高活性魚に効く
サイズ | 使い方 |
---|---|
1.4g | 釣り場を選ばずに使える軽めの常用系。活性が落ちてきた魚にも口を使わせられる。 |
1.5g | 肉厚なので巻き速度の制御はシビアだがハマれば連発する。ボトム攻略にもマル。 |
2.2g | 放流攻略のスタンダード。浮き上がりやすいので表層攻めや巻き上げにもグッド。 |
2.8g | 同じく放流で有効。遠投で沖の魚を引き寄せるときや、スピードが欲しいときに。 |
3.5g | 加賀FAや東山湖FAなど大規模エリアの遠投に。沖の竿抜けが狙えるのも魅力。 |
ミューのスペック
項目 | 情報 |
---|---|
ウエイト (スタンダードカラー) | 1.4g(全20色) 1.5g(全26色) 2.2g(全16色) 2.8g(全25色) 3.5g(全26色) |
価格 | 528~550円(税込) |
パル【フォレスト】
ただ巻きによる安定アクションを基調とする万能系。イレギュラーが入らないため、警戒心が強い魚や、ややスレ始めた魚にも持続的に口を使わせられる。表層から低層まで攻められる。
パルの主な特徴
- 安定泳ぎで見切られにくい
- レンジキープしやすい
- 高速から中速巻きが得意
- 高活性から中間活性まで対応
サイズ | 使い方 |
---|---|
1.6g | レンジキープしやすいのが強み。沖のボトムに逃げた低活性魚を釣るのもあり。 |
2.5g | 中規模ポンドの放流攻略におすすめ。ミューよりもゆっくり引けるのが特徴。 |
3.8g | 沖攻略に最適。飛距離が出るのはもちろん、シルエットが大きく魚を寄せやすい。 |
パルのスペック
項目 | 情報 |
---|---|
ウエイト | 1.6g、2.5g、3.8g |
カラー | 全25色 |
価格 | 528~550円(税込) |
伝説のスプーンをいざその手にミューとパルの特徴をチェック
絶対に持っておきたい安定系とイレギュラー系スプーン
池谷「ミューは、入門者から競技者まで絶対に持っておきたいスプーンのひとつ。なかでも有効な場面は、放流を始めとする魚の活性が高い状況。放流魚を獲るにはある程度の速度が必要となる。得意のイレギュラー(アクションに交じる一瞬の不規則な動き)には、魚のバイトを自動的に引き出せる効果があり、高活性用スプーンの定番と呼べる性能を誇ります。浮き上がりやすい形状なので、中層以浅…特に表層付近を探りやすい」
池谷「そしてパルは、安定したアクションがウリ。魚によってはミューのイレギュラーを嫌う…不規則な動きが入った瞬間にルアーを見切ることがある。そんなときはこれを投げたい。セカンド、サードと活性が落ちていくときに有効なほか、ウエイトを落とせばスローな展開にも対応できる。いずれにせよ、釣り場や魚の状態に合わせてスプーンを使い分けることが大切です。そのためにこれだけ種類があるわけですから」
フックはまめに交換しよう
池谷「エリアの釣りは、かなり頻繁にフックを交換します。というのも、使用するフックが細いうえ、魚が釣れる頻度が他の釣りと比べものにならないほど多いから。見た目はまだまだ使えそうでも、大物を釣ったあと、あるいはリリーサーでフックを捉えたときに魚に暴れられると、ハリ先が曲がることがある。こうなると刺さるものも刺さりません。大会に出るような人はもっと早い頻度で交換するのですが、ビギナーはまず10尾くらいを目安に新品と交換するといいですね」
ハマる=釣れるカラーを探せ
池谷「その時々でハマる色が絶対ある。カラー選びとは、それを見つけ出す作業です。例えば、放流時に地味な色を投げても釣れるけど、定番のオレキンに比べるとやはり爆発力がない。都度魚の興味を刺激する色を選ぶことができれば、それだけ釣果は伸びていく。ベテランは1発で当たりカラーを選んだりしますが、慣れないうちは、手間を惜しまずどんどん交換しましょう。1つのスプーンにつき…そうだなぁ…効果の異なる色を5つも用意すれば、どんな釣り場でも対応できるはず」
フォレスト・ミュー&パル注目の限定色がドドーンと登場
ミュー第22弾カラー
第22弾カラーは、放流直後から中間活性までを網羅する注目色がそろう。活性が高めな魚を効率的に誘えるミューとアピール系のカラーは相性ばっちりだ。
パルリミテッド2022
恒例のパル限定カラーが今年も登場。第11弾となる2022年度は、セカンドからサードで活躍するカラーが中心。期間限定発売なので、この機会を逃さずにゲットしたい。
釣れるテクニックを習得し、エリアの華「数釣り」を堪能せよ
目視&巻き上げで魚の居場所を探そう
ではどのレンジから探るのか。
池谷「まずは周囲を観察しましょう。今日の加賀FAのように、魚が水面でポチョポチョやっている(群れの位置:水深を目視できる)ようなら、いきなりそこを攻めちゃいましょう。対して魚が見えない、あるいはマッディな釣り場ならとりあえず表層を攻めます」
表層から順に攻めたほうが、沈める時間が省けるため釣りが効率的なのだ。それで反応がない場合は、今度は巻き上げという技を使う。その方法は以下のとおり。
池谷「スプーンを投げたら、カウントダウンで水深をチェックし、そのまま巻き上げに移行する。沖のボトムから手前(表層)に向かって水中を斜めに引くんです。巻き始めでアタリがあれば底付近、ある程度巻いてからバイトがあれば中層…という感じで、魚のレンジや居場所を大雑把に探れる。投げる方向(隣りに注意)や距離を変えてこの巻き上げを試せば、どこかで魚に当たるはずです」
魚が当たったら、最初にチェックした水深(カウント数)を参考に、そのレンジを重点的に探る。この方法を繰り返すことで、基本的にはどの釣り場でも、どんなスプーンを使っていても魚の居場所を探り当てられるのだ。
リリーサーを使いこなせば、釣りのテンポが上がる。釣ってすぐにリリースできるので、わずかな時合いであってもキャスト数を増やせる。
スプーンでマスを釣るためのTIPS
スプーンの泳ぎをチェック
池谷「タックルやルアーを換えたら、いきなり沖に投げるのではなく、毎回足元で泳ぎを確認しましょう。そのときに浮きも沈みもしない速度があるはず。それが最もきれいに泳ぎ(=釣れる)、レンジキープもしやすい速度です。これを覚えておき、その巻き速度を沖で再現しましょう」
ラインを水に浸ける
池谷「キャストして糸フケを巻き取ったら、竿先を下げ、ラインを水に浸ける。この動作を入れることで風の影響を受けにくくなるほか、ラインが濡れてその視認性が高まります」
一定のスピードで巻くのがコツ
池谷「スプーンを投げたら、まずはラインの弛みを竿先で正します。余分なラインは巻き取る。軌道が真っすぐになれば、スプーンを泳がせるコースがわかりやすく、また弛みもないため、操作感度が大幅に高まる(魚のアタリが手元に伝わりやすく、しかもフッキングも決まりやすい)。基本操作はただ巻き。スプーンの泳ぎが乱れないように、一定のスピードで巻くのがコツです」
いま攻めているレンジを知るTIPS
池谷「ビギナーに何より意識してほしいのが、いま攻めているレンジがどこなのか、それを把握することです。『なんだそんなことか…』と思うかも知れないけど、これができるできないで釣果に歴然とした差が出る。レンジを確認する方法は、カウントダウンです。スプーンを投げたら、着底まで1、2、3……とカウントを取り、そのカウント数(秒数)によってスプーンを泳がせる水深をコントロールする。釣れないときは、まず『レンジが合っているか』をもう1度確認してください」
着底までのカウントは、タックルやルアー、流れの有無によっても変わる。ルアー交換時はもちろん、何か別のことをするときは再度カウントを取ろう。これによって釣りの再現性を高めていく。
ロッドの位置で巻き速度を微調整するTIPS
池谷「スプーンは、操作法(水の当て方)によって、アクションスピードを微調整できる。比較的簡単にできるのは以下のふたつ。それは平行巻き(横泳ぎ)と立ち泳ぎ。例えば、放流魚を釣るときは、スピードと波動がほしい。こんなときは、ロッドを寝かせた状態で、普通に巻いてやる。対して魚の活性がちょっと落ちたときは、相手の速度に合わせてゆっくり巻きたい。この場合は竿を立てた状態で巻くと、ちょっとだけ低速で引けるようになります」
主な特徴
泳がせ方 | 解説 |
---|---|
平行巻き(横泳ぎ) | きれいなアクション+理想的な波動が出る。高速から中速巻きが得意。 |
立ち泳ぎ | 中速から低速巻きに対応するが、竿を立てすぎるとイレギュラーが入るので注意。 |
スプーンを使い分けるTIPS
ミューとパルの使い分けに慣れてきたら、お次は手持ちのスプーンを少しずつ増やしていきたい。ミューとパルができない仕事を、別のスプーンに担わせることで、エリアの釣りはどんどん奥深くなっていくのだ。そこで、池谷さんに「最低限これがあればなんとかなる」という定番スプーンを挙げてもらった。
池谷「これらの4タイプを使い分ければ、およそどんな釣り場にも対応できる。あとは、自分がよく行く釣り場に合わせて種類や色を増やしていけば手持ちが固まっていくはず」
上から順番に巻き速度が早いスプーン
ミュー 2.2g【フォレスト】
自動的に食わせの間が入る傑作。速巻き+遠投対応で、ヤル気マンマンの高活性魚を狙い撃つ。
ファクター 1.8g【フォレスト】
オールラウンドな常用スプーン。速度域が若干遅めで、しかもレンジキープしやすいのが魅力。
パル 1.6g【フォレスト】
じっくり見せて釣るのが得意(速度域はさらに遅い)。表層から低層まで幅広いレンジを探れる。
フィックスマッチ 1.3g【フォレスト】
1.3gと軽量ながらあらゆる水深を攻略可。プリプリ系のアクションで、食わせにも使える。
定番リリーサーがリニューアル! 素早いリリースTIPS
2点リリースポイントを採用するなど、抜群の使い勝手を誇るトマホークリリーサーがブラッシュアップ。今秋発売された2代目は、握りやすい独自形状グリップを採用。「いちいち目視せずとも、握った瞬間に先端(リリーサー)の向きがわかる。それゆえに(持ち直したり、フックを掛ける方向を考えることなく)すぐさまリリースの動作に入れる。試合中はもちろん、普段の釣りでも使いやすい。僕はブルーを愛用してます」と池谷さんも満足の逸品だ。
トマホークリリーサーII【フォレスト】
項目 | 情報 |
---|---|
全長 | 345mm |
カラー | シルバー、ゴールド、レッド、グリーン、ブルー、パープル、ピンク |
価格 | 5,500円(税込) |
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