身近なフィールドで楽しもう!リバーシーバスゲーム![ゴーセン・薮木 尚弘]

テクニカルでとっつきにくいイメージのある、東京湾奥のシーバスゲーム。しかし、シーズンやタイミングを外さなければ、短時間で比較的イージーにキャッチできる場合もある。そこで、東京湾奥のシーバスを通年で狙い続けるエキスパート薮木尚弘さんに、1尾が遠い人へのアドバイスを中心に、実釣解説をお願いした。

●文:ルアマガプラス編集部 ●取材協力:ゴーセン

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薮木 尚弘(やぶき・なおひろ)

シーバスやライトソルトゲームを得意とする、ゴーセンフィールドスタッフ。東京湾奥を主戦場としており、日々フィールドに立ち、ターゲットを追い続ける。SNSでも積極的に情報を発信中。レッド中村さんが立ち上げたルアーメーカー、ポジドライブガレージのテスターもつとめる。今後の活躍が期待される若手アングラーだ。

シーズン中でも、平日の夜なら意外と人は少なめ?

秋から晩秋にかけて、シーバスゲームが盛り上がるタイミングだが、イマイチその波に乗り切れていないというアングラーもいるかもしれない。また、興味はあるのだが、ちょっととっつきにくさを感じて、一歩を踏み出せずにいるという人もいるかもしれない。

東京湾に流れ込む河川の河口周辺はオープンなスポットが多いため、ポイント選びに迷うという面もある。

今回は、湾奥の河口周辺や橋脚の明暗などを中心に、誰にでも釣果を出しやすい、実釣のコツを、通年このフィールドに通う薮木さんに解説してもらおうという企画だ。

薮木「今日は、実は潮回り的にはあまり良くないんです。撮影の都合でこの日になったんですが、そこがちょっとね、心配ですが」

この、潮回りを選ぶというのは、ビギナーにとって難易度を上げている要素かもしれないが、実際には、タイドグラフを見て中潮や大潮のタイミングなど、流れがしっかりと出る日を選ぶのがオススメ。

大潮や中潮などの満潮からの下げのタイミングで実釣を行えると、活性の高いシーバスに巡り会える可能性が高まる。

薮木「今日は小潮なんで、流れはほとんど期待できないレベルです。それでも、夜の20時半頃の満潮から、下げの潮は少し効いてくれそうな期待はあります。シーバスの喰いが上がってくるのも、このタイミングでしょうね」

薮木さんと、ポイントで合流したのは夜18時ころ。本命となるタイミングまではまだしばらく時間があるのだが…。

夜の実釣前に、夕方にも少し狙ってもらったのだが、反応はなかった。日中は魚が広範囲に散るため、なかなか狙いを絞るのが難しい。そのため、活躍するのはバイブレーションなど、広範囲に探ることができるルアーが効果的だ。

【シーバスゲーム必携のアイテムを紹介!】

ウェーディングをしない場合は、スパイクシューズなどで対応可能だが、今回は、夜は橋脚周りを攻めるために、ウェーディングを行った。初心者の場合、単独のウェーディングは避けた方が良いだろう。ライフジャケットはマストアイテム。他にも、交換用のフックやネット、プライヤーなど、どれもシーバスゲームでは欠かせないものばかりとなる。

【薮木さん使用メインライン】ROOTS PE×8 0.8号(ゴーセン)
幅広い釣りに対応する、ゴーセンのPEライン。扱いやすく、トラブルが少ないことから、薮木さんも愛用。カラーは、視認性の良いライトグリーンを選択。長期間の使用でも色落ちが少ないところも気に入っている要因の1つ。

【薮木さん使用リーダー】ROOTS FC LEADER 20lb(ゴーセン)
それぞれ、サイズに合わせた設計を採用しており、強度と伸度、そして柔軟性のバランスに優れたリーダー。初期の仕様フィールが長く続くという優れた特性を持つ。

時合いの読み方は?少し早めにポイントに入って、状況をチェック!

本命となる時合いよりも2時間も前にポイントに入ったのには理由がある。

薮木「小潮の満潮前なので、今はほとんど潮は動いてないと思います。でも、ベイトが入っているか、実際の流れはどうかなど、事前に状況をチェックするために、少し早めに入ってみようかと思います。あとは、竿出してないと他のアングラーさんに場所取られちゃう可能性もありますからね」

18時過ぎ、橋脚の明暗を狙うためにポイントへ入る。足元がフカフカな泥底のため、ウェーディングスタッフを使用。後続者に存在を知らせるためのライトも装備。

少しでも条件の良いポイントに、他のアングラーよりも先に入る必要があるというのは、都市部のシーバスゲームの現実的な側面でもある。ただ、今日は小潮で条件が悪い日なので、周りを見ていても、ほとんどシーバスマンの姿を見ない。

18時過ぎから、約1時間半ほど橋脚の明暗を狙うも、やはり、事前の読み通りほとんどシーバスからの反応がない状況。レンジを変えたり、ルアーを交換してアピールを変えたりしても、めぼしい反応はない。時折流れが効くタイミングもあるのだが、シーバスの活性を上げるようなものではない。

薮木「やっぱダメっすね…。時合いまで一旦、休憩しましょう」

あまりやりすぎても、シーバスにルアーを見せすぎることになりかねないため、一旦休憩を入れて、ポイントを休ませる意味も含めて、下げの時合いを待つことに。

薮木「タイドグラフだと20時半が満潮です。ただ、小潮なんでガンガン下げの潮が効くという状況は期待薄ですが、シーバスの活性が上がるとしたら、21時くらいからじゃないかと思ってます」

下げの流れが効き始めた!その直後に待望のシーバスのヒット!

満潮の少し前に実釣を再開。ポイントも、1つ下流側の橋脚に移動。下流への流れに対して、クロス気味にキャスト。リトリーブしながら流れに乗せて、端の下の明暗部へとルアーを送り込むという釣り方だ。

徒歩で約5分ほどの、1つ下流側の橋脚へポイントを移す。この判断が、この後の展開を大きく左右するのだが…。

橋脚部の明暗に潜むシーバスを釣る上で、このテクニックは必須となる。ここに、レンジの変化やルアーのアクションの変化などを絡めることで、ゲームを組み立てていく。

ところで、1つ下流側の橋脚の明暗にポイントを変更したのは、ナゼなのだろうか?

最初のポイントから1つ下流側のポイント(歩いて5分ほど)へと移動。

薮木「シーバスの遊漁船が1つ下流側の橋脚に入って行くのが見えたんですよ。何もなければそこでやらないと思うんで、恐らく、魚探などに何かしらの反応があるのかなって」

ポジドライブガレージのフィンバックミノーを軸に、バイブレーションのクリスタルサリーなどをローテーションしながら、シーバスの反応を探る。

こういったこともヒントにして釣果を上げていくのが、都市部湾奥のシーバスゲームの面白いところだ。そして、再開して約2時間がが経過した22時20分頃、ついに最初のシーバスが反応! しかし…釣れたのはセイゴサイズのかわいい魚…。これが最初に反応してくるとは、薮木さんも思わず苦笑いだ。

ヒットルアーはポジドライブガレージのフィンバックミノー。そして、この可愛いセイゴが、次の魚を呼び込むことに…!

あまりの小ささに、撮影もそこそこにして即リリース。ただ、ここまで反応が乏しかった状況が、明らかに良い方へと変化しつつあるのは確かだ。すぐに、実釣を再開し、小潮の短いチャンスを狙う薮木さん。すると、何と続けさまに2尾目からの反応が! 今度は、1尾目よりもサイズアップしているのが、ロッドの曲がりでもわかる!

上がってきたのは、1尾目よりも一気にサイズアップしたシーバス。しかし、惜しいことにスレ掛かり。ただ、シーバスの活性は上がってきているのは確かなようだ。

1尾目とは明らかに違う竿の曲がり!これがシーバス釣りの醍醐味だ。

先程までの沈黙がウソのように次々と反応が返ってくるのだが、釣れるのはいずれもセイゴサイズ。今日は、セイゴの日なのだろうか? あまりにも金太郎飴状態だったため、再度、1つ目のポイントへともどってみることに。

薮木「レンジは完全にボトム付近です。フィンバックミノーを通すと、かなりの確率で反応があります。ただ、サイズが伸びない…! これはこれで楽しいから、ついついやり続けてしまうんですけどね(笑)」

ルアーを換えても、ヒットするのはセイゴサイズ。ちなみに、このルアーはバイブラマレット(ポジドライブガレージ)。

1つ目のポイントに戻って実釣再開!この判断が吉と出た!

1つめのポイントに戻ってみると、そこにはベイトの姿があり、先程とは違って生命感がある。これは、サイズアップも期待できるかもしれない!ルアーをフィンバックミノーライト(ポジドライブガレージ)に付け替えて、キャストを再開する。

薮木「ボトムレンジでやる気のある魚を探っていきます」

何度かルアーチェンジを行い、再びフィンバックミノーに戻る。リフト&フォールで探っていくと、明確なアタリが! しかし、フッキングには至らず。また、セイゴサイズがじゃれてきているのかもしれない。

沖の方には鳥がベイトを求めて待機している。良型シーバスの時合いが近いのか…!?

そんな状況が続く中、ふと流芯部を見ると鳥の姿が。また、橋の上にも鳥が複数とまっている。

薮木「スタンバってるのかな。ベイトフィッシュを探しているんだろうな…」

時刻は12時前。フィンバックミノーをリトリーブしつつ、リアクション的に巻き速度を上げた瞬間、これまでとは違う強めの反応に、薮木さんは即反応! フッキングを入れる!

フッキング後、一気に間合いを詰め、流れるようにネットインまで持ち込んだ。

全く危なげのないファイトから、一気に魚との間合いを詰め、差し出したネットにスムーズに魚をエスコート。上がってきたのは、今回最大のシーバスだ!

ヒットルアーは、今回、ローテーションの軸となったフィンバックミノー。

薮木「いいサイズですね! 良かった! 完全にリアクションです。1キャスト前に、同じように反応があったので、リトリーブ速度に変化をつけてバイトを誘ってみたら、狙い通りに反応してくれました! 」

潮が小さかった影響か、それとも、たまたま当たった群れの個体が小さかったのかは不明だが、それでも、時合いの読みやボトム中心のレンジ設定、そしてルアーローテーションをした上での、その日のアタリルアーの見出し方など、シーバスゲームの面白さがしっかりと詰まった展開を見せてくれた薮木さん。

薮木「今日は、ゆるい潮にやや苦しまされましたが、釣果がしっかりと出せたので楽しかったですね。こういう状況では、シンペンなどのゆるい動きのものよりも、フィンバックミノーのようにしっかりとアクションするルアーの方が強いということもお見せできたかと思います」

みなさんも、身近なフィールドで楽しめるシーバスゲームに、是非チャンレジしてみてほしい。


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