エリアトラウト低活性~高活性時の水深別クランクベイト選択を伊藤雄大さんが解説

クランクベイトは、エリアにおける最重要ルアーのひとつ。一定レンジを引きやすく、しかも中低速巻きに完全対応する。クランクベイトを使いこなせば、大幅な釣果アップが見込めるのだ。ここでは伊藤雄大さんに有効なクランクベイトの操作法&適材適所のルアー選びを解説してもらった!!

●文:ルアーマガジン編集部

2024 新製品情報

マスの活性&水深別対応ルアー参考一覧表

活性状況水深0~30cm水深30~150cm水深150cm以深
【高活性】パタパタ泳ぎ、視覚にアピールエルフィン・シケイダーF(タックルハウス)エルフィン・グラスホッパーF(タックルハウス)
ティモン・フラパニ(ジャッカル)
【中活性】高浮力ボディで水押しが強いミディアムクラピー(ラッキークラフト)ディープクラピー(ラッキークラフト)
モカDR-Fv(ロデオクラフト)
ティモン・パニクラDR(ジャッカル)
【低活性】浮力が抑え気味 or ワイド+弱波動ティモン・ちびパニクラSR(ジャッカル)
プチモカSR-SS(ロデオクラフト)
ココニョロ インジェクションF(九重ルアーズ)モカDR-SS(ロデオクラフト)
  • 高活性:スプーンでは取り切れなかった放流/高活性魚狙い。
  • 中活性:通常時。しっかり誘えばちゃんと食ってくる状態。
  • 低活性:最後の1尾を絞り出すような釣り。ハイプレッシャー時も含む。

伊藤「今回は9つのカテゴリーに分類しましたが、実際はこれほど明確な境界線があるわけではありません。状況に応じ、中活性系のルアーを低活性時に使うことはあるし、その逆もある。このあたりの感覚的な使い分け or 流用は、多少の慣れを要するかも。また『高活性+水深150cm以深』は空欄になっています。その理由は、放流魚や高活性魚がディープに落ちるのはまれであること。そして、この局面ではスプーンで探ったほうが効率的だからです」

高活性なのに食わない!? そんな魚はクランクで釣れ

伊藤「放流魚はスプーンで釣るのが効率的です。ただ、どれだけ高活性時であっても、スプーンに興味を示さない魚は一定数いたりする。放流時の水温が合わず、魚がスプーンのスピードに追いつけないことはよくあるし、1度釣られた魚は反応が落ちていく。活性そのものは高いのに、『キラキラしたスプーンは危ない……』くらいの学習はしている。ちょっとだけスレているんですね。こんなときはクランクベイトを投げましょう。高活性時は、パタパタ系の派手なアクションが効きます。定番はグラスホッパーのちょい速巻き。めちゃくちゃ釣れますよコレ!!」

【水深0~30cm】エルフィン・シケイダーF(タックルハウス)

伊藤「飛距離が出るので、ビギナーも使いやすい。潜行深度は30cm以浅で、ボディの振りがめちゃ強い。魚を表層に呼び込んで釣れるのが魅力。水面で引き波を立てるバジングも効果的です」

【水深30~150cm】エルフィン・グラスホッパーF(タックルハウス)

伊藤「放流魚を意識したセレクト。水押しは強くないものの、アクションが派手で、魚の視覚にアピールする。使い方は(放流魚狙いなので)水深1~1.5mをちょい速巻きで通します」

【水深30~150cm】ティモン・フラパニ(ジャッカル)

伊藤「同じく放流魚狙いで実績あり。全長28mmの小粒ボディは、魚が小さいときに活躍する。フィルムメッキ系のキラキラカラーを選べば、パタパタアクションと相まって明滅効果も期待できる」

中活性時は使用頻度の高い万能型強めの水押しで寄せる

伊藤「1日のなかで、もっとも出番が多いのがこのタイプ。高活性時は派手なアクションが有効だったのに対し、中活性時は強めの水押しに反応することが多い。水押しによって(=波動が生まれる)、魚にルアーの存在を気づかせるんです。『食わせる』というより『寄せる』イメージに近い。そのため、丸み(浮力)のあるルアーが効く。代表的なのは、ミディアムクラピーやディープクラピーあたり。これらはいかにもクランクベイトらしいクランクベイトといえるでしょ!? ほかには、ちょっとスリムだけど、モカDR-Fなんかも中活性魚を狙うのに最適だったりします」

【水深0~30cm】ミディアムクラピー(ラッキークラフト)

伊藤「エリアフィッシングを代表するクランクベイトのひとつ。高浮力ボディの採用により、水深30cmまでの表層攻略であっても、強めの水押しを伴って確実にアピールしてくれます」

【水深30~150cm】ディープクラピー(ラッキークラフト)

伊藤「水深30~150cmの広いレンジを探れるのが強み。同じ中活性時でも、活性が多少残っている状況で活躍する。これに反応がなくなったら、お次はモカDR-FやパニクラDRを投げたい」

【水深30~150cm】モカDR-F(ロデオクラフト)

伊藤「スリムボディのパワー感が絶妙。ミディアム/ディープクラピーよりもちょっと弱めのアピールで誘える。魚の活性に合わせてしっかりルアーを刻めば、相手の反応を引き出しやすい」

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Rodiocraft(ロデオクラフト)

【水深150cm以深】ティモン・パニクラDR(ジャッカル)

伊藤「特筆すべきは遠投性能と潜行能力。水深150cm以深、あるいは底付近をずっと引けちゃう。長い距離を引けばそれだけで釣れる確率も上がる。中活性用に分類したが低活性時にも使える」

低活性時は小さくするか、弱くするか見慣れないシルエットを投入

伊藤「低活性時に有効なのは、以下の2タイプ。ひとつは、浮力を殺し……なんなら沈む系で……チリチリ泳ぐもの。具体例はモカDR-SS。これは、魚にわずかでも活性が残っている状態、あるいはシブくなりはじめに有効。ここからさらに活性が落ちたら、シルエットや波動をより小さくしたちびパニクラDR-SSなんかも選択肢に入る。そして、もうひとつ有効なのが、ココニョロに代表されるニョロ系。クネクネのワイドな泳ぎでありながら、波動はほぼ出ない。水の抵抗がかかるのを避けるように泳ぎ、しかも独特の細長いシルエットで誘える。絶対に持っておきたいタイプですね」

【水深0~30cm】ティモン・ちびパニクラSR(ジャッカル)

伊藤「低活性時ほど見せ方を工夫する必要があります。激シブ時は、ルアーを小さくするのも有効。小ささによって魚に見切らせない。それでも反応がなければカラーをまめに変えてみましょう」

【水深0~30cm】プチモカSR-SS(ロデオクラフト)

伊藤「低活性時の守護神的存在。シルエットを小さくする作戦で活躍します。SS(スローシンキング)ながら、リップが立っているので表層付近を引ける。魚に対して弱めにアプローチできます」

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【水深30~150cm】ココニョロ インジェクションF(九重ルアーズ)

伊藤「スレが進行すると、魚が水押しをきらうことがある。そんなときは、泳ぎは派手なのに水押しは弱めのニョロ系が有効。独特のシルエットにより、目先を大きく変えられるのも魅力です」

【水深150cm以深】モカDR-SS(ロデオクラフト)

伊藤「みんな大好き、モカDR-SS。このルアーはロングリップとSS(スローシンキング)を組み合わせてあります。水深150cm以深を弱い波動で誘える。絶対に持っておきたいルアーです」

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クランキングで連釣するには最適解ルアーセレクトがキモ

手持ちのルアーを再確認何が得意かチェックせよ

伊藤「どんなルアーも、それがいちばんハマる状態で投げたい。ルアーひとつひとつが、それぞれ特定の役割を担っているルアー釣りにおいてはなおさら。魚がそのルアーを欲している状況で投げないと効果は半減してしまいます。逆にいえば、魚の状態とアングラーの読み(=使用ルアー&操作法)が合えば、それこそ1投1尾の釣果が得られるわけです」

では、各ルアーの使いどころはどのように見極めるのだろう。

伊藤「前提として、手持ちのルアーの基本性能(得意とする状況)を知っておく必要があります。漫然とルアーを投げるのはNGです。そこでこんな表を用意しました。縦は活性(高活性、中活性、低活性)。横は潜行深度(表層、中層、低層を表します」

活性は、魚にどれだけ食い気があるか。潜行深度は、ルアーがどれだけ潜るか(どのレンジを泳ぐのが得意か)を意味する。

伊藤「みなさんもボックスをひっくり返し、手持ちのルアーがどのカテゴリーに入るかを考えながら読んでください。自分のなかでルアーを分類できれば、場面に応じて最適解を選びやすくなる。そうすれば釣りたい魚や攻めたいレンジをより効率的に探れます!!」

伊藤「クランクベイトはスナップで接続する。その理由は、魚の反応に合わせてまめにルアー交換したいから。ベテランはルアーごとにスナップの種類やサイズを変えますが、ビギナーがもし1つでやるならスミスのSPスナップ-BK #00がおすすめ。小さめのスプーンからちょい大きめのクランクベイトまで対応します」

伊藤雄大さんのプロフィール

伊藤雄大(いとう・ゆうだい)

ベルベットアーツ代表、バリバス、リヴァイブ・フィールドテスター。686アンバサダー。エリア界屈指の理論派で、緻密な戦術を組み、盤石の試合運びをすることから、「絶対王者」と呼ばれる。伊藤さんのTwitterアカウントでは、新製品情報のほか、スペースでラジオ配信「教えて雄大先生」が聞けたりする。今すぐフォローしよう!!

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  • 発売日:2022年11月16日

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