「時速10枚・15枚」驚異的な釣れっぷり!冬爆の正体とは?【もりぞー的 アーバンチニング 第5回】

アーバンチニングエキスパートもりぞーさんによるチニング連載、第5回目は冬場の低水温期がテーマ。温かい水を好むイメージのあるクロダイ・キビレだが、果たして、冬場の攻略法はあるのだろうか?

●文:森 浩平(もりぞー)

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【森 浩平(もり・こうへい)】

大阪府在住。アーバンチニングの第一人者で、クロダイ・キビレの年間キャッチ数は年間2000枚を越すことも。ベイトタックルスタイルとフリーリグの有効性にいち早く着目し、この釣りを普及させてきた。愛称はもりぞー。

今回のお題は冬チニング。低水温期の攻略法

ルアマガ+をご覧になっている皆さま。ダイワフィールドテスターとして大阪の淀川をホームに活動中のチニング伝道師”もりぞー”こと森浩平です。今回のお題は冬チニング。低水温期の攻略法について少し語ります。

チニングといえば、5〜8月頃が最も釣れる夏の釣りというイメージが強く、冬は釣れない、釣りにくいと思われがちですが、そんなことはありません。実は冬は(適切な条件に最適化されたタックルバランスを基にした、適切なアプローチを重ねることで)時速10枚15枚という勢いでボコボコに釣れまくる「冬爆」と呼ばれる爆釣を味わうことも可能な激アツシーズンなのです。

冬っていつからいつまで?

12月〜2月、冬至から春分、旧暦10月〜12月、立冬〜節分。一言で「冬」と言ってもその定義は、気象庁、国立天文台、暦(月切り・節切り)でそれぞれ異なっており、どれを基準にするかで時期が変わってしまうんですよね。

チニング的、冬の定義

水温が15℃を下回っている時期(12月初旬頃〜3月下旬頃)
あくまで私の見解ですが、晩秋水温18度を境に速い釣りへの反応が悪くなり、15℃を下回るとそれが顕著になるため「スローな釣りに分がある水温15℃以下の時期が冬」と定義付けしています。

【大阪湾水温速報】
私のホームフィールドである大阪湾の水温はこんな感じ(2022年)。平年およそ10℃位まで下がります。
※リンク先:大阪府立環境農林水産総合研究所 水産技術センター

冬チニング【場所のチョイス】

冬は水温の変動が大きい浅場からチヌは姿を消し、水温の安定している海の深場に落ちてしまうというのが定説でしたが、実際のところ厳寒期でも普通に浅場で釣れます。

皆さんがお住まいの地域でも冬にフカセや前打ちでチヌを狙っているエサ釣りの人達はいませんか? 冬でも身近な場所、キャストすれば届く範囲にチヌは居るんですよ。

また、冬は水温変化の少ない穏やかな場所を狙え、温排水を狙えとも言いますが、ぶっちゃけ気にしなくてOK!

冬チニングのポイント選びでキーとなる要素

◆エサが豊富で、チヌ・キビレが留まる要素が揃っている場所
◆水の透明度の高い冬場でも、風波や濁りなど人間の気配が消えやすい条件が整いやすい場所

場所の選定に際し、優先すべきは水温ではなく餌の有無と、透明度の高い状況にあって警戒心を解いてルアーを喰ってくる条件が整う場所かどうかの2点です。

エサが存在しない場所にはチヌ・キビレも付きません。極めてシンプルな話です。
エサとなるエビやカニ、ハゼ、バチ、アナジャコといった動的ベイトと、フジツボやミジガイ、パイプ虫、海藻など障害物に付着している静的ベイトの両方が存在している場所はかなり有望。

そういった場所であっても、日中ベタ凪どクリアという条件だと警戒心が高く、口を使わせにくいのですが、風波や濁りが入って気配が消えると警戒心が解け、ガンガン口を使ってくれることが多いです。夜に狙うのも有効ですね。

ちなみに、冬シーバスのストロングパターンの一つ、激荒れ北西風パターン同様に爆風風表でボコボコに釣れるパターンもあるので固定観念を取っ払うことが大切です。

低水温期は積極的に動き回ってエサを食べることはせず、水温の安定した場所でジッとしていてエサが目の前を通った時だけ口を使う…なんて言うのは、我々人間の勝手な想像に過ぎません。

彼らの環境適応能力は想像しているより遥かに高く、水温が低いなら低いなりに環境適応して捕食しているんですよね。なんなら水温5℃でも釣れますし、10℃もあれば問題なく釣れます。もちろんベースとなる水温が高いに越したことは無いですが。

水温に関して考える事があるとすればそれは、実釣のタイミングの水温が、ベースとなる水温から下がるタイミングか、上がるタイミングかでしょう。

冬チニング【低水温期のストロングメソッド】

1.スローなただ巻き
シンプルにゆっくりボトムを感じながら巻く所謂ズル引き。シーズン初期(秋から冬へ変わる時期)とシーズン末期(冬から春へ変わる時期)の水温18℃〜15℃の境界で有効なことが多いです。

2.ストップ&ゴー
水温が15℃を下回ると一定速度で動かし続けるよりポーズを入れたほうが反応が良い傾向に。スローなただ巻きからの止めが基本ですが、シェイクを入れてからの止めや、クイックな巻きからの止めなどバリエーションでその日のヒットパターンを探すのが吉です。

3.ボトムワインド(ジグヘッドスタイル)
クイック/スローのイレギュラーアクションからの着底ポーズでバイトを得るメソッドで、2シャクリからの着底ポーズが基本動作。ワインド=ビシバシしゃくってキレキレダートで左右に飛ばすイメージを持たれる方が多いですが、ミスバイトにも繋がりますし大きく飛ばす必要は無いです。

チニングのそれは所謂スローワインド(バス釣りの人は冬バスのメタルバイブ釣法をイメージして下さい)に近いイメージ。自分的には左右というより上下のイメージですね。ラインスラックのコントロールがキモで、アクションで喰わせるのではなく、着底で止めている時に喰わせるという意識を持つことが大切。

自分の場合はオープンゲイブ気味のラウンドジグヘッドに3in程度のスティックベイトやストレートワームを組むのが基本です。

4.ボトムバンプ
リアクションで喰わせるのではなく、止めているときに喰わせるなら、ストレートワームよりも止めている状態でも各部パーツがユラユラ動いてバイトを誘えるクロー系やホグ系、シュリンプ系が良い。

そしてジグヘッドリグである必要も無い。タンクステンシンカーなら飛距離も出せるし感度も良い。掛け重視のストレートフックだけではなくオフセットフックも使えるから根掛かり回避性能も圧倒的。組み合わせるワームのサイズやフックサイズも自由自在。

そういった経緯で生まれたのが、ペグ止め半固定式フリーリグでのボトムバンプメソッド。ボトムワインド(ジグヘッドスタイル)と同じく、着底で止めている時に喰わせるという意識を前提にした2シャクリからの着底ポーズが基本動作。

シンカーの形状・重さ、ワームの形状でアクション時の抵抗を変えることができるので、状況に応じた調整が容易で当日のヒットパターンに合わせやすいです。

冬チニング【ルアーの操作方法】

【止めて喰わせる】
長く止めると見切られ…ません!
チニングの定説として、止めるとチヌに見切られることが多いので、常に動かし続けて追わせて喰わせましょうとありますが、そんなこと無いです(断言)

低水温期、深いバイトが出るタイミングはリグが着底した瞬間/着底後にワームがゆら〜っと倒れ込んだタイミング/ポーズ中の3パターンが多いです。スローな展開が良い場面では5秒10秒と止めていてもバイトが出るので、ビシバシアクションさせることに夢中にならず、しっかりと止めて、喰わせの間を作ってあげる意識を持つのが釣果UPの秘訣。

【リアクション狙いでは無い】
ボトムバンプ系の釣りで良く誤解されるのが、ジッとしている魚の鼻先でパパッと動かすことで反射的に口を使わせるリアクションバイト狙いですよね?って。これ、間違いです。

透明度の高いところで観察していると、アクションでルアーの存在に気づいたチヌがどこからともなくやってきて、着底して止まっているワームを躊躇無くパクッと咥えるシーンを何度も目撃しています。リアクションと言うより、シャクリで気付かせて、フォールで抱かせるエギングの誘いに似ていると自分は思います。

と、いうわけで、バイトを得るためにどう動かすかではなく、止めたタイミングで深いバイトを得るためにはどう動かすか、どの程度動かすかという逆算の思考でアプローチするのが大切です。

余談ですが、水槽等でエサを捕食するシーンを観察していると、ハサミを振り上げて威嚇しているやる気満々の蟹に対しては一気にパクッと行かず、まずハサミを攻撃して無効化の後に本体を食べているのに対し、エビやハゼのようにピピッとクイックに上昇して逃走の後に、ゆら〜っ、ふわ〜っと落ちてきて着底する動作をする獲物には躊躇せず一気に吸い込みバイトで捕食しているんですよね。

ですので、着底後にトンッと立ったワームがゆら〜っと倒れ込むというのが、弱ったベイトを演出しており、めちゃくちゃ有効だと思っています。

冬チニング【ワームのチョイス】

ワームチョイスは基本的に年間通じて同じことではありますが、冬においてもアーバンクローラー、アーバンシュリンプ、KJカーリーチニングカスタム、スティーズホグといった動きやボリュームの異なるワームを状況に応じて使い分けてヒットパターンを探るのが良いです。

そのなかでも特にオススメなのがアーバンシュリンプ。アーバンシュリンプはいわゆるクイックモーションベイトとしての能力を最大限引き出せるような形状で設計しているため、ボトムバンプのような緩急を付けるアクションとの相性が抜群に良いです。

腕をちぎってジグヘッドに横差し(縦差しでもOK)することでイレギュラーダートアクションもこなしますし、ズル引きにおいても低水温期に特に有効な微波動系のアクションなので是非、冬の釣りで使って欲しいです。

冬チニング【バイトの出し方で異なるフッキング】

【連続したズル引きやストップ&ゴー】
前当たりからの本当たりといったタイラバ的なバイトの出方が多いです。ジャレつくような前アタリのショートバイトには反応せず誘い続けて本アタリを待ち、しっかり喰っていることをティップで聞いて巻き合わせが吉です。

ただ、聞いてみてティップにもたれるようなバイトでも、口腔内に吸い込んではおらず、グッ…っと咥えているだけというパターンもあります。そういった状態で掛けにいっても掛け損ないや、浅掛かりによる口切れ、ファイトバレを招くので焦って合わせないことが大切です。…誘いとしては最もシンプルなのですが、合わせるタイミングが難しいですね。

【クイック&ストップ】
緩急のメリハリとラインスラックを利用して深いバイトを出すボトバンでは、止めたタイミング=ラインスラックが出てテンションが抜けているため、前当たりなしの一撃で深い吸い込みバイトを得られることが多いです。

これは迷わずフッキング一択。合わせのタイミングは簡単ですが、タックルバランスが割と重要で、フッキングの入力をロスせず針先に伝達可能な、掛けシロがあるベリーを備えたロッドとラインスラックを回収しやすいエクストラハイギアのリール、低伸度PEがマストです。

フックも、口腔内で滑らずたわまず、ガツッと針先を突き立ててくれるオープンゲイブ系のフックが有利です。(シルバーウルフフックのストレートとワイドオフセットはボトバンでの使用も想定しての針先角度設定です)

口先感度が高いと言いますか、経験上、クロダイ・キビレはブラックバスやロックフィッシュよりもワームを吐き出すのが早いので、吐き出される前に掛けられるかどうかの勝負になります。

冬チニング【釣果UPのためのタックルチョイス】

前当たりを弾かず本当たりに持ち込んでからしっかり掛けるパターンと、ラインスラックが出ている状態で得た吸い込みバイトに対し間髪入れずに掛けるパターンの両方に対応するには、しっかりとした掛けシロを備えたベリーと、丁寧なリグ操作を可能にしつつ、バイトを弾かないハードソリッドティップを備えた専用ロッドがマスト。

ロッド:シルバーウルフAIR76MLB-S
リール:シルバーウルフSVTW PEスペシャル
ライン:磯センサーSS+Si 0.8号150m
リーダー:タフロン グレイトZカスタムEX 3〜4号
※すべてDAIWA 

更に言えば、風表でもしっかりとリグを遠投&操作可能で、遠投した先で得たバイトをしっかり感知し、しっかり掛けきれる感度とパワーを備えているとGOOD。

冬チニング【トップでも釣れる!】

風が吹いて荒れ気味のボトムで爆釣の気配がするタイミング…は厳しいですが、穏やかな日の午後なんかは割とチャンス。とはいえ、他のシーズンと同様の速いテンポのドッグウォークでは追い切れず駄目なので、スローなテンポのドッグウォークに喰わせの間、止めを入れた誘いが吉。

スティーズペンシルなど垂直浮きのダイブ系ペンシルが実績大。過去には2月の水温8℃でも釣っていますし、水面を割った時の衝撃はもの凄いものがありますので、チャレンジしてみるのも面白いですよ!

冬でも十分可能性のあるチニング、是非楽しんで下さいね。ちなみに、詳細はお伝えできませんが、2023年に向けて、DAIWAと共に色々なアイテム開発のための実釣を重ねております。今後の展開と発表をお楽しみに!


※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。