房総半島のアジングで30cmを超えれば立派なでかアジ。「それを狙って獲るなら夜のシャローエリアです」というのは、房総アジングといえばこの方、渡邉さんだ。房総半島の尺アジ攻略法を、実釣でぜひ!
●文:ルアーマガジンソルト編集部
実釣エリア
マルチに活躍するライトゲームエキスパート
渡邉長士(わたなべ・たけし)
房総半島をホームにショアから旬のターゲットを追い続けるソルトルアーのエキスパート。房総アジングの先駆者で、現在は全国各地のアジを釣り歩き、サーフアジングなど新たな釣法にも積極的に取り組んでいる。DAIWAのフィールドテスター。
夜、捕食のために岸に近づく大型アジを狙え!
実釣取材当日は、北寄りの風が強めに吹くアジングにはあいにくの天候だ。
渡邉「風裏の釣り場を選べば、問題なく実釣できると思います」
という言葉に記者もひと安心。実釣のテーマはでかアジ。外房ででかアジといえるサイズは?
渡邉「外房に限らず、関東のアジングで尺を超えたらでかいといえます」
目標30cm超を掲げ、最初に選んだ釣り場は漁港。足場の良い場所で明るい時間にタックルなどの撮影を終えるという取材側の目論見もある。ところが……。
渡邉「きました!」
という声とともにアジを抜き上げる渡邉さんの姿が! 22、3cmの良型だ。魚を撮り、タックル撮影に戻ると、再び渡邉さんのコール。タックル撮り、ままならぬ連発。
渡邉「今日は曇天で暗いせいか時合いが早いですね(笑)」
時刻は15時をすぎたばかり。またしても20cmオーバーを釣獲。外房アジングは20cm前後がアベレージということが多い。今日は型が良いですね?
渡邉「ここは深場に隣接するエリアにある漁港で、サイズの良いアジの群れが接岸しやすく、漁港の場合、群れが入るとしばらくの間、滞留することがあります。外房エリアででかいアジを狙うなら深場に隣接した場所が必須条件の一つです」
でかアジ攻略の重要ポイントですね。
渡邉「そう。房総半島沿岸は遠浅が多く、大きいアジは水深20mを超える沖の深場に居ます。アジングで狙うには、アジから来てもらうしかない。沿岸の射程範囲内に入るタイミングを狙います」
外房でかアジ狙いは、アベレージサイズとは釣れるタイミングが違う?
渡邉「違うというより、タイミングと場所が重要になります。夜に深場が隣接するシャローエリアに居るベイトフィッシュを捕食しにきた大型のアジを狙う。ベイトフィッシュの存在もキーになります」
ナイトゲーム+深場隣接シャロー+ベイトフィッシュ=でかアジ。これが渡邉さんの長年の経験でつかんだ外房でかアジ捕獲の鉄則。実釣でさらに詳しく教えていただきましょう。
【鉄則1】シャローエリア
房総半島沿岸は比較的遠浅の地形が多い。
渡邉「漁港内で釣っていると20cm前後のアベレージサイズしか釣れないことが良くあります。なぜかというと、でかいアジは水深20mを超える沖の深場に居るから。狙うには深場に隣接したシャローという地形的な条件がマストです」
その一例がイラストのような地形。
渡邉「鴨川から勝浦エリアにかけてはそういうところが多い。さらに北側の九十九里エリアに入ると遠浅のサーフが続き、アジング自体が成立しにくくなります」
【鉄則2】ベイトフィッシュ
でかアジを狙う場合に意識する必要がある要素がベイトフィッシュだと渡邉さんは考える。これは、アジが大型になると、魚食性が高まると考えられるからだ。
渡邉「外房に限らず、20cmくらいまでの小型、中型のアジは、どちらかというとプランクトンイーター。大きくなるほど魚食性が強くなります。外房のアジのベイトフィッシュはハク、チアユ、シラウオ、ギンイソイワシ、トウゴロウイワシなど様々です」
【鉄則3】ナイトゲーム
渡邉「小さなベイトフィッシュは、夜、外敵から身を守るためにシャローに上がる。それを捕食しにでかいアジが接岸。外房ではアジングの射程圏内に入ります」
小魚がシャローに上がる夜にでかアジ狙いが成立。
ベイトフィッシュの動向をチェックし、それに合わせてゲームを組み立てることで、でかアジとの遭遇率はさらにUPする。魚食性が強まる大型のアジは特に、ベイトフィッシュの動きに支配されやすいのだ。
ベイトフィッシュを追う良型アジを横引きで攻略
当日は、夕マヅメの漁港でも良型のアジが連発した。深場隣接シャロー、ベイトフィッシュ、ナイトゲームという、外房でかアジ捕獲の鉄則とは違いうのだが、こういうパターンもある?
渡邉「夕マヅメはアジの活性が上がる時間帯で、深場隣接エリアにある漁港はアベレージサイズが大きめのアジの群れが入ってきやすいです」
水面下3mの一定層を保って、シェイクしながら横引きにヒット!
【ヒットルアー】
夕マヅメ前の連発劇も入ってきた群れ?
渡邉「か、しばらく居着いている群れかもしれません。ただ、ベイトフィッシュを追っているのは間違いないです」
その確証はどこから?
渡邉「カゴ釣りの人がウキを動かして誘うとアジが喰ってました。カゴのコマセに集まっていると、仕掛けを入れるだけでウキがズボッと入ります。今日は雨交じりの曇天で暗い。夕マヅメも近いからアジはベイトフィッシュを追ってウロウロしているんだろうな、という感じがしたんです」
なるほど。カゴ釣りの人の釣果は出ているので、アジが居るのは確か。
渡邉「そう。ベイトフィッシュを追っているなら横引き。何尾か釣ってわかってきた反応の良いアクションが、バス釣りのミドストのようにジグ単をシェイキングしながら巻く横引き。それで釣れたのが28cmです。1.5gのジグ単で」
夕マヅメがらみの漁港で28cmを筆頭に良型のアジが連発。渡邉「一番反応が良かったのが水面下3mくらいの中層でシェイキングしながらの横引き。1.5gのジグヘッドで浮きも沈みもせずレンジキープできる速さです」。横引きで中層を泳ぐ小魚を演出。フックサイズはでかアジ狙いなので#8。
わりと重めですね?
渡邉「風も強いし、居ても喰わない魚に口を使わせる釣りじゃないですからね。相手はベイトフィッシュを追っているアジですから」
活性が高く、喰わせるのは簡単! 深場隣接エリアにある漁港でもでかアジ狙いは成立するということですね?
渡邉「ただ、外房で尺アジの可能性を高めるなら、やっぱりニアディープのシャロー。暗くなったらそういうエリアを回ります」
対でかアジ、ワームチョイス
渡邉さんが良く使うジグヘッドは月下美人アジングジグヘッドTG。
渡邉「ヘッドがタングステンで1.5g以上でもヘッドが大きくなりすぎず、細いワームを装着しても違和感なくバランスがとれます。オープンゲイブでかかりが良く、バラシも減ります。漁港などでアタるけどかからないシビアな状況は、サクサスフック搭載でツルッと刺さってくれる月下美人SWライトジグヘッドSSも使います」
①月下美人アジングビーム2(DAIWA)
②月下美人アジングビーム バチコンカスタム3.0in(DAIWA)
渡邉「3inは単純にボリュームを出したいときに選択。あと同じジグヘッドでもワームが大きいほうが水の抵抗が増えて浮遊感を出しやすい。遠投系のリグでフワフワ流したいときにも活躍。でかいアジなら問題なく喰ってくるサイズです」
③月下美人アジングビーム バチコンカスタム2.2in(DAIWA)
渡邉「サイズはアジングビーム2と0.2inしか変わりませんが素材が塩ビ。エラストマーより高比重で、テールの振動に重量感が出ます。速く巻くとブリブリッとイレギュラーに動く。アクションの質の違いと、若干のサイズ感の違い。あと塩ビにしかないカラーがある。この3要素で使い分けています」
④アジハンターワームシラス(DAIWA)
渡邉「アジング入門におすすめのストレートタイプですが、自分は好んで使います。ラウンド型のテールでリトリーブするとブリブリ動く。でかいアジが好むベイトフィッシュのような動きで、速度を落とすとフリーズ。メリハリのあるアクションがつけられます」
ジグヘッドは月下美人アジングジグヘッド1.5g(DAIWA)
魚食性が強いアジはバイトが深い。
磯でもジグ単で届く範囲にアジがいれば釣りが成立。この日は20cm強のアジをキャッチ。サイズは伸びないがジグヘッドが見えないほどの深いバイト。これが深場隣接シャローエリアでベイトフィッシュを追うアグレッシブなアジの喰い方だ。
【ヒットルアー】
房総エリアで活躍するアジングエキスパート渡邉さんの、でかアジ狙いの鉄則、いかがだっただろうか? 房総エリア以外でも活用できるネタは多いハズなので、是非、冬の大型アジ狙いにチャレンジしてみてほしい。
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