【シマノ23ヴァンキッシュ】軽さを超えたその先の「最高度の正統進化」バスプロ・黒田健史が語るハイエンド「ステラ」との違いとは?

2023年、シマノスピニングリールにおいて、バス、ソルト、トラウトとルアージャンルを超えて圧倒的な支持を集める大人気モデル「ヴァンキッシュ」が5年ぶりとなるフルモデルチェンジを果たす。今モデルで4代目となるヴァンキッシュはどのような進化を遂げたのか? JBトップ50プロであり、シマノインストラクターを務める黒田健史プロに語って頂いた。

●文:ルアマガプラス編集部

2024 新製品情報

語っていただくのは国内最高峰トーナメンターにして大人気ブロガー!

黒田健史(くろだ・けんし)
1985年生まれ。国内最高峰カテゴリーJBトップ50メンバーであり、昨季は第2戦で初優勝を飾り、第3戦で4位、第4戦で3位と連続お立ち台入りし年間ランキングも13位フィニッシュ。長年の経験と高度な技術、そして豊富な知識に裏付けられたタックルに対する造詣の深さは特筆すべきもの。バスのみならず、ソルトゲームにも精通している。シマノインストラクター。

23 ヴァンキッシュ(シマノ)

【スペック】

品番ギア比自重
(g)
スプール寸法
(径mm/ストロークmm)
最大巻上長
(cm)
ハンドル長
(mm)
BB数価格
1000SSSPG4.614540 / 13.5583511/164,000
C2000S5.115043 / 13.5694011/164,500
C2000SHG615043 / 13.5814511/164,500
C2500S5.115044 / 13.5704511/164,500
C2500SXG6.315044 / 13.5874511/164,500
2500S5.116547 / 17755011/165,000
2500SHG5.816547 / 17865511/165,000
C3000SDH5.117547 / 17754513/166,000
C3000SDHHG5.817547 / 17864513/166,000
C3000MHG5.817047 / 17865511/165,000
C3000XG6.417047 / 17945511/165,000
3000MHG5.718547 / 17845511/166,000
4000MHG5.725052 / 19935511/166,000
4000XG5.720052 / 191015511/166,000
C5000XG6.222052 / 191015711/167,000

バスだけでなく、ソルトアングラーからも圧倒的な支持を得ているシマノが誇る大人気スピニングリールであるヴァンキッシュ。

MGL(マグナムライトローター)搭載のクイックレスポンスシリーズの頂点であり、圧倒的な軽さを備え、ボディ剛性やギア耐久性などの強さ、ロングストロークスプールによる遠投性などハイエンド「ステラ」と比肩する代表的な存在となっている。

ルアーマガジンのT.O.Y(タックル・オブ・ザ・イヤー)においても2017年、2018年、2020年、2022年と歴代モデルも1位を獲得しており、バスフィッシングスピニングリールにおいても不動の地位を固めている。

前作がリリースされたのは2019年、5年の時を経て、3度目のモデルチェンジを果たし「4代目」となるヴァンキッシュはどのような変化を遂げたのか。

22ステラの機能が「全て」盛り込まれている

――多くのシマノファンが待ちわびていた「ヴァンキッシュ」のモデルチェンジ。今モデルはどのような進化をしたのでしょうか?

黒田「ズバリ!昨年リリースされた『22ステラ』のテクノロジーが全て備わっています! 皆さんもきっと予想はしていたと思いますし『それだけ?』と思う方もいるかもしれませんが、ハッキリ言ってステラのテクノロジーが全部載るって相当凄いことですからね!」

黒田「ルアマガのタックルオブ・ザ・イヤーを見ても分かるように、現状ヴァンキッシュは『日本で最も支持されているスピニングリール』と言っても過言ではないです。2022年のルアマガT.O.Yはバスだけでしたが、間違いなくソルトアングラーからの支持も多い。そんな1番人気のリールに『最先端テクノロジー』が搭載されているということです」

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――確かに、とてつもなく高度な「正統進化」を遂げたわけですね!

黒田「具体的に備わったテクノロジーというと『インフィニティドライブ』『インフィニティループ』『インフィニティクロス』この3つのテクノロジーが備わっています」

黒田「特に推したいのは『インフィニティループ』と『インフィニティドライブ』。

インフィニティループは昨年22ステラリリースの際にも解説させて頂いたように、スーパースローオシュレートの現代版。ローターがゆっくり上下動し『超密巻き』にしてくれます。そうすることでキャスト時やラインを送り出す際の放出が超スムースになります」

黒田「この機構を促進させるため、スプールエッジとドラグノブまでの距離が短いニュー ARC形状も採用しています」

左が23ヴァンキッシュ、右が19ヴァンキッシュ

黒田「スピニングリールにおけるライントラブルの多くはスプールエッジとドラグノブの間の引っ掛かりだったのでここが低くなればトラブルは大幅に低減されます。

さらにラインローラー部にある『アンチツイストフィン』も搭載していますので、ここでもラインの無駄なたるみをしっかりと抑えられる。かなり高度なトラブルレス性能がステラより引き継がれています」

――去年黒田さんが解説された22ステラの「推しポイント」ですね。

黒田「インフィニティドライブに関しては実際各フィッシングショーの会場で是非実物を巻いてみていただきたいのですが、ハイギアでも重くない、前作のローギアに匹敵するような軽やかな巻心地を実現しています。

インフィニティドライブは単純にいうと減速ギアが入ることなんですが、減速させるということはギアを増やさなければいけない。実は加速させるよりも減速するほうが大変なのですが、ギアを増やしているにも関わらず、重量は旧モデルと変わらず。厳密にいうと少し軽くなっています。これは開発陣が血の滲むような努力の証です」

――ギアを増やして重量が変わらないのはホントスゴいですね…ハイギア=重い巻心地は過去になるんですね。

フラッグシップ「ステラ」との違い、そして使い分けは?

23ヴァンキッシュ

22ステラ

――おそらくステラの技術がそのままヴァンキッシュに入っているというなら「フラッグシップ」という位置づけになるのでは?と思うユーザーもいるかもしれません。なので改めてステラとヴァンキッシュの違いを教えてください!

黒田「なるほど、確かに釣り歴が浅い方だとそう思ってしまうかもしれませんね。ざっくり説明すると、まずステラはメインボディやローター部なども含めて全て『金属』パーツで形成されています。

22ステラ

ヴァンキッシュは初代から掲げられているのが、圧倒的な軽快性を求めた『クイックレスポンス』なので金属パーツ以外にも『マグナムライトローター』など軽量カーボン素材を採用したパーツが搭載されています」

23ヴァンキッシュ

――剛性のステラ、軽量性のヴァンキッシュ。バスではスピニングロッドも6ftクラスと短いレングスのものを多用するのでヴァンキッシュのほうが向いてますよね?

黒田「バス釣りにおいてはほぼ『ヴァンキッシュ』で良いと思います。ユーザーの皆さんも気づいているとは思いますが、一般的に使われるULやLクラスのスピニングロッドに対しても、軽量なヴァンキッシュのほうが使うルアーやリグのストライクゾーンが広いんです」

――ではステラはどちらかというとバスフィッシングよりハードな釣りに有利!?

黒田「単純に言ってしまえばそうかもしれません。強さが欲しいときはステラですね。例えばC3000クラスでランカーシーバスを釣りたい、シーバス狙いで不意に掛かる5kgクラスの青物にも負けないコンパクトリールが欲しい…となったときはステラのほうが優位性は高いですよね。

あとはリールの重量が『軽すぎる』という問題。例えばエクスプライドの7ftクラス(610ML、2610MLなど)とヴァンキッシュと合わせるとどうしてもバランスが悪い。他にも使い方やリグにもよりますが、ある程度長くて硬いロッドや、重たいロッドはステラのほうがバランスを合わせやすいと思います」

――「軽さ=正義」ではないということですね。

黒田「分かりやすい例だと巧くん(伊藤巧)はアメリカだとステラですよね。パワーフィネスロッドなど長くて硬いスピニングを使う機会も多いので。でも国内で活動するときに64Lなんかを使う際はヴァンキッシュにしている。彼は明確に言語化していませんが無意識にやっているのではないかと思います」

――なるほど、後番手のほうがステラ、前番手のほうがヴァンキッシュに優位差が明確になりやすいという認識でいいんですかね?

黒田「そうですね!あとローターが重たいから重厚感があるしっとりした巻心地を求めるならステラとか、釣り物にもよるし、ルアーやリグにもよるし、好みも人それぞれ違うと思いますので迷われているのであれば自分のスタイルに合わせた選択をして欲しいと思います」

黒田「僕個人としてはトーナメントシーンなんかも含めてほぼヴァンキッシュになります。ですが先述した7ftクラスのスピニングやソルトの釣りではステラをチョイスしますね」

ステラに次ぐハイエンドモデルとしての頂点を極めた「ヴァンキッシュ」。今年度は全国各地でのフィッシングショーがリアルにて開催されるので、是非とも各会場に足を運んでいただき、シマノブースで触れてみていただきたい。

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