【バチ抜け開幕!】東京湾序盤のバチパターン攻略とルアーローテーションを【DAIWAの釣りウマ営業マン】が徹底解説!

バチとはイソメやゴカイなどの多毛類のこと。このバチが産卵のためにいっせいに水中に出てくることを「バチ抜け」と呼び、春シーバスの有望な攻略パターンとして知られている。シーバスの盛んな東京湾でもこれから徐々にハイシーズンへと移行していくが、序盤は通称「長バチ」と呼ばれる遊泳力に乏しいタイプのバチを攻略する必要がある。釣り方の基本からとっておきのルアーローテーション、タックルセッティングなどを、DAIWAの凄腕釣りウマ営業マン・岡本隆治さんに解説してもらった!

●写真/文:岡本隆治

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解説はDAIWAの凄腕釣りウマ営業マン!

岡本隆治

岡本隆治(おかもと・りゅうじ)
三度の飯よりシーバス釣りが好きな、DAIWA営業マンきってのシーバスジャンキー。これまで転勤先である、大阪湾、北陸、東京湾などで釣りを楽しんできたが、現在のメインフィールドは九州。2020年にはMAX98cm、2021年にはMAX99.9cm、2022年には2本のメーターオーバーをキャッチした実績を持ち、ビッグベイト「モンスタースライダー」の開発にも携わる。 [写真タップで拡大]

そもそもバチ抜けって何?

今回の講師はDAIWAの営業マン、岡本隆治さん。前回の記事では「晩秋のコノシロパターン」と必釣ルアー「モンスタースライダー」について解説してもらった。

そして今回のテーマは「バチ抜け」。そろそろシーズンインとなるシーバス釣りのパターンのひとつだが、そもそもバチ抜けって何なのか?

岡本「ゴカイやイソメなど、泥の中や貝類の殻の中に生息する多毛類のことを『バチ』と呼びます。そして、そのバチが起こす産卵行動を『バチ抜け』と呼びます。ひいては、抜けたバチをシーバス等の魚類が捕食し、そのシーバスを狙う釣りがいわゆる『バチ抜けパターン』になりますね」

ヤマトカワゴカイ

1月に川で抜けたヤマトカワゴカイの仲間。 [写真タップで拡大]

――シーバスにとっては恰好の捕食対象かもしれないが、苦手な人も多そう…。

岡本「ウネウネした虫が水面下で大量に蠢く様子はなかなかにグロテスクで、気持ち悪いと感じる人が大多数だと思いますが、これは彼らが命を掛けた一世一代の恋のイベント。見方によってはロマンチックで、『儚い』という言葉が似合うのではないでしょうか。

産卵を行うバチは、捕食しやすい上に栄養価も高いようで、シーバスにとっては格好のエサ。活性も上がり、釣りとしても比較的イージーな釣りになるのも、この釣りが人気の理由ですね」

――バチにもいくつか種類がいると聞きます。

岡本「地域によっても違いますし、とにかく多毛類の種類は多岐にわたり、そのバチの大きさ、動き、産卵行動をとる時期はバラバラです。私がこれまで見てきたバチは、大きく分けると3つのパターンに分かれます」

  1. 10~20cm程度で細長く遊泳力の弱い『長いバチ(ヤマトカワゴカイの仲間)』
  2. 1~5cm程度で短く遊泳力の高いバチ『クルクルバチ』
  3. 10~20cm程度で若干の遊泳力があり、引き波を作るバチ『引き波バチ』

岡本「上記はあくまでも、私が大阪湾・富山湾・東京湾・博多湾・有明海等で見てきたもので、他の地域ではまた違うバチもいるようです。場所によっては30cmクラスの個体もいるとか…!? 正直、気持ちのいいものではありませんね…」

東京湾のバチ抜け

岡本「今回は東京湾のバチ抜けを中心に紹介させていただこうと思います。まず、ほとんどのバチに共通して言えることが大潮の満潮からの下げ始めに抜け始めるということです。なので、釣りも、狙いの時間は夜中の満潮からの3時間程度。

東京湾では、11月後半~4月に河川上中流域で抜ける『長いバチ(ヤマトカワゴカイの仲間)』に始まり、4月~6月には、港湾域や河川河口域でアクティブに動く『クルクルバチ』や『引き波バチ』が抜けます」

シーズン序盤の長バチ攻略は「満潮前からルアーをキャストせよ!」

まずは、シーズン序盤の「長いバチ」の釣りについて。

岡本「ヤマトカワゴカイは東京湾では冬~初春に河川の上中流域で抜けるバチです。時期的には産卵を終えたアフターの魚が対象となり、年間を通しても魚の比較的サイズ(長さ)が狙える釣りになります。とくに1月~2月はアフター第一陣が絡み、そのアベレージは群れによって80㎝を超えることも多々あります。

他のバチよりも大量に抜けることが多く、大潮ではバチまみれになり、ルアーが埋もれて中々釣りにならないこともあったりします。そういった日はバチが湧き出す満潮前からルアーをキャストしていると、ヒット率が上がるケースが多いです」

水面を埋め尽くすヤマトカワゴカイの仲間。大潮ではこのようにバチまみれになり、釣りにならなかったりする。 [写真タップで拡大]

上げ止まり前に飛び出したランカーシーバス! [写真タップで拡大]

では序盤の「長バチ」はどう攻略すればよいのか?

――長いバチ(ヤマトカワゴカイの仲間)の特徴は?

岡本「数あるバチの中でも、ヤマトカワゴカイの仲間は遊泳力に乏しく、ゆっくり泳いではいますが殆ど流されているだけなんです。

その頃シーバスはといえば、川上に頭を向け、流れてくるバチを待って捕食していますが、上流からゴミ等も流れてくる中、ほんの少しでもゴミとは違う挙動をする=流れに完全に同調しすぎない物体をバチとみなして、選んで捕食しているようです」

――シーバスにルアーを食わせるためには、そのバチのような動きを演出する必要がありそうですが、具体的にはどのような意識で狙うべきですか?

岡本「まず大前提として、遊泳力に乏しいバチは小魚のような激しい挙動は行わないため、ルアーが動きすぎると見切ってしまいます。そのため、ルアーをアップ(上流側)に投げて流れと同調させるような意識を持つことが重要です。

アップに投げたらバチと同じく動きすぎないよう、流速に合わせて緩んだラインを『絶妙なテンション』を保ちながら回収する。このような釣り方が基本となります」

――ラインテンションの保ち方が難しそうですね…。

岡本「まさにそのとおりで、ルアーによってラインテンションの保ち方が違うんです。この釣りの難しい部分でもあります。

たとえば、シンキングペンシルを使う場合は、ある程度速くリールを巻かないと尻下がりな姿勢になり、見切られる原因になったり、ミノーを使う場合は、巻きすぎると強くアクションしすぎて、これまた見切られやすくなってしまいます。

ある意味、ラインやルアーアクションをうまくコントロール出来る人はよく魚を釣ります。奥が深く面白いのですが…初めてバチ抜けに挑戦する方や、初心者の方には難しいと感じるかもしれません」

序盤の東京湾バチ抜けは【動きすぎないルアー】で攻略するべし!

小沼正弥監修の『モアザン ヒソカ』。2022年の発売当初からめちゃくちゃ釣れた! [写真タップで拡大]

岡本「ここからは一気に商売臭くなりますが、本気で釣っていただきたいからこその商品紹介を(笑)」

岡本さんは数あるバチ抜けルアーの中からどんなものをチョイスするのか?

岡本「『ルアーアクション、ラインコントロールをうまくやりたい!』という悩みを解決できるアイテムが、昨年(2022年)DAIWAから発売されています。すでに使ってその威力を体感された方もいるかと思いますが『ヒソカ120F-SSR(DAIWA)』です。

――DAIWAのフィールドテスターである小沼正弥プロが監修した、極細シルエットのシャローランナーですね!

岡本「このルアーは、ジャンルとしてはミノープラグなのですが、他のミノーと一線を画すものになっています。最大の特徴が『動くけど、どれだけ動かそうと巻いても、動きすぎない』。さらに、速く巻いても、超タイトアクションをキープしてくれます。

ある程度雑な使い方してもキープしてくれるところがすごいんです。つまりは、誰でも簡単に『釣れる流し方』が出来るということです。あくまでも私的に小沼プロの狙いを想像した意見になりますが…このアクションが出せるのは、フラット面が多いボディと、前後に分かれたウエイトが、頭と、尻尾の挙動を抑え込んでくれるからだと考えています」

――岡本さんが前述したように「流れている浮遊物より動くけど、動きすぎない状態」を演出しやすそうな性能ですね。バチ抜けってビギナーでも釣りやすいとよく言われますが、実際やってみると意外と繊細な釣り。釣れる動きや演出が簡単にできるのはありがたいです。

岡本「そうなんです。釣れるイメージだけが先行してしまっていて、実は繊細な釣りのパターンでもあるんです。さらに、ヒソカはそれだけではないんです! 他の性能もまとめてみましょう」

水面直下のレンジをキープできる!

水面の一枚下のレンジを絶妙にキープします。凪いでいると水面が良く釣れますが、荒れると水面に魚が出てきません。ヒソカは凪でも荒れでも食わせることが出来る水面一枚下! 素晴らしいレンジです。

飛距離も出せる!

一般的にバチ抜け用ルアーは軽量なので飛距離が出しにくいものが多いんです。このヒソカもスリムな形状で一見飛ばないような見た目ですが(笑)…重心移動機構を2つ内蔵しているのでしっかり飛びます! 飛距離は大きなアドバンテージになりますし、風が吹きやすい早春は重要なポイントになってきます。

リップがあることで絶妙な使用感(引いている感)を感じられる!

リップのあるルアーは「ルアーが動きすぎてしまう」特性を持ったものが多いのですが、バチ抜けの場合はあまり動かしたくないシーンが多いため、リップがないものがほとんど。でもヒソカにはリップを採用しています。その上で絶妙なアクションを実現しているのですが、そのおかげで「なにやってるかわからない」となりがちなバチ抜けの繊細な釣りでも、比較的巻いている感じが伝わってくるというメリットがあります。釣りのイメージも湧きやすくなりますよ!

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飛距離を出しにくいスリムミノーという形状でありながら、「磁着W重心移動システム」を搭載することで絶妙なバランスを実現。遠投性能も抜群となっている。

「モアザン ヒソカ120F-SSR(DAIWA)」にヒットしたランカー。ボイルした場所に投げると高確率でヒットする。 [写真タップで拡大]

岡本さんがパイロットルアーとして、長バチ攻略の軸としているのが「モアザン ヒソカ120F-SSR(DAIWA)」だ。汎用性に優れ、マッチするシチュエーションも幅広いが、繊細なバチ抜けゲームでは他ルアーとの使い分けも釣果のカギを握る。なお、この写真の4色は1月発売の新色となる。

〈次のページは…〉ヒソカを主体としたルアーローテーションの紹介