「ルアーはシンプルであるべき」実釣性能を追求した機能美の完成形『グランドエッジ190F(グラスルーツ)』

『GRASSROOTS』。読み:グラスルーツ。アングラーからアングラーへと脈々と伝わってきた釣りの文化。それは時代を超え、世代や国境さえも超えて生き続ける。グラスルーツとは、そんな人から人に伝わる輪廻の中で「作品」として誇れるタックルを作り込み、プロデュースしていくことを念頭に立ち上げられた新進気鋭のブランドだ。2023年、タックルメーカー・グラスルーツの歴史が動き始める。

●文:ルアーマガジン編集部

ルアーの本質を見極めた真・グライドベイト

グラスルーツ第1弾は、グライドベイト『グランドエッジ190SF』。ルアーデザインを担当するのは、ハンドメイドクランク界でその名を馳せる井佐知之氏。「すべての形に意味がある」氏の哲学を形にした機能美に溢れる作品。今こそ刮目せよ。

『グランドエッジ 190F(グラスルーツ)』

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項目スペック
全長190mm
重量2ozクラス
タイプSF(スロー・フローティング)
カラー未定
価格未定
発売2023年5月予定

井佐知之さんのプロフィール

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井佐知之(いさ・ともゆき)

グラスルーツルアーデザイナー。

MBXやLeafer、DATなどのハンドメイド作を始め、近年ではティムコとのタッグで開発したインジェクション作・MB1のデザイナーとして知られるルアービルダー。かつての本業はグラフィックデザイン業。1973年8月9日生まれ、新潟県出身・埼玉県在住。

ハンドメイドクランクを通じて立ち上がったクランクベイトイベント「WOBBLING(CDR・CDRW)」主宰など始め、活動の範囲は実に幅広い。

“ARTS”。4ワードに凝縮された4人の想い

釣りという文化はアングラーからアングラーへ伝わっていくもの。優れたタックルはいつしか誰にも愛され、長きに渡り文化という形で継承されていく。

『グラスルーツ』とは、時代を超えて生き続ける釣りへの情熱を意味したブランドネーム。世代や国境の垣根すら超え、伝統や歴史をリスペクトしながらも秀逸かつ卓越したモノづくりを貫く。そんな想いが込められている。

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グラスルーツを立ち上げた4人のメンバーは長年バスフィッシングと本気で向き合ってきたスペシャリスト集団。自分たちの知識と経験から生み出すプロダクトを「作品」として伝えていきたい。そんな思いから立ち上がったブランド。日々進化していくバスフィッシング業界に、新たな風を吹き込んでゆく。

井佐「想いをひとつにした4人の情熱をそこに込めています」

元フェンウィックロッドデザイナーの村中義明氏は静かにこう語り始めた。

ターコイズブルーを基調としたブランドロゴから浮き上がるのは“ARTS”のグラフィック。グレーで彩られた4つの英文字は、すべてのタックルが実釣性能を秘めた道具である前に、機能美を伴うアーティスティックな「作品で」あることをイメージしている。

井佐「釣り人に寄り添い、様々な想いを共に紡ぎ出す存在でありたい。我々にまだ色は付いていない。自分たちの世界観を感じていただくことで、(その4文字に)色を付けたいという願いも込めています」

当ページの画像、そして本文を読んで既にお気付きの通り、グラスルーツはロッド&ルアーを中心とするタックルメーカーとして発足している。立ち上げの経緯を含めた詳細はまたの機会として、今号ではまず第1弾作品となるルアー作品を公開することになった。

虚飾を廃した実釣性能追い求め続けた機能美

井佐「本業あってのルアーデザイナーではなく、専業としてのオファー。自分のタイミングもマッチして、良い機会だなと」

2022年春、グラスルーツのルアーデザイナーに就いたのは、あの高品質かつ釣れ筋のクランクベイトブランドとして知られるモンキーブレインベイツ(=MB)の井佐知之氏。OEM製品としての開発ではなく、飽くまでもグラスルーツ所属デザイナーという立ち位置。これでグラスルーツ立ち上げ4人のメンバーのうち2人目が明らかになったことになる。

井佐「『すべての形に意味がある』。機能ありきの造形。それがルアーの本来あるべき姿だと思う」

第1弾となる作品は『グランドエッジ190SF』。ボディ中程にジョイント部を介したグライドベイトで、一見しただけでもわかる無駄なく造形美に溢れたフォルムだ。だがしかし、各部をひとつひとつ見ていくと、井佐氏が強く訴える言葉の意味を自ずと理解できる。

ボディ上下に深く刻み込まれ、エッジの立った構造。2段階にシフトできるジョインド部。フックアイやテールなど各部に込めた性能。繰り返しになるが、すべての形に意味があるのだ。

「ルアーはシンプルであるべきだと私は思う」

井佐「過剰なギミックやパーツは要らない。『ルアーはシンプルであるべき』。そう思う」

形状のディテールで用途を変えるクランクベイトを主軸にハンドメイドを重ねてきた井佐氏のルアー哲学。複雑な構造は使い手の意図しないトラブルを招きかねない。機能を追い求めたシンプルかつ完成された型に仕上げられた。

手削りで仕上げたモックアップからデータを吸い上げ、インジェクション化へと進む開発工程。ひとつひとつ仕上げていくハンドメイドビルダーには、時に戸惑う瞬間もあったのだという。

自らがプロトを手に全国のフィールドでテストを敢行。 [写真タップで拡大]

井佐「ウッドはボディ全体に均一な比重を与えられる。ところが、今回のようなABS樹脂と金属の組み合わせは、思いもよらぬ比重の変化がある」

ウッド製でうまく機能していても、ABS製にした途端にバランスが崩れる。でもそのデザインの癖はウッドで作っても理解を深められる。ウッドをハンドカービングしてプロトタイプの制作を重ねる工程は、そのデザイン・コンセプトを学ぶ工程であり、3Dデータに移行してからは調整と精度を求めていく工程と捉えている。

井佐「グランドエッジ190SFは私のルアー作りの哲学が最も反映されたモデル。私の試行錯誤の数と同様に、じっくりと付き合っていただきたいですね」

製品のリリースは2023年5月を予定。

なお、今後MBを始めとするハンドメイド関連の活動は、井佐氏個人として継続する模様。インジェクションとしてのグラスルーツ作品との対比も興味深いところだ。

次回作を含め、すべてが順調な仕上がりを見せている。発表が今から楽しみだ。 [写真タップで拡大]

シリコンテール

厳選マテリアルシリコンテール3FA5B5採用

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シリコンマテリアルは高耐久性で発色がよく、成形の自由度が高いソフトマテリアル。癖がつきにくく、他素材を侵さないことから保存時の取り扱いにおいて優れた利便性を持つ。シリコンはやや比重の高いマテリアルなので、設計段階からその特性を鑑みてベストバランスを追求している。

テールはイモネジで固定。小型のマイナスドライバーで付け替えが可能だ。フラットな側面を保ち、デザインを邪魔しないワンポイトの金属感がそこに。

ジョイント部

フレキシブルモードとタイトモードで2段活用

ジョイント部のアルミパーツには、2段階調節が可能なホールを配備。前後のボディが近付いた状態で左右にボディを振るタイトモード、やや離れた状態となるフレキシブルモード。前者ならただ巻きでS字軌道や大きなスライドで緩急を付けた操作が可能。

後者はネチネチと細かな動きを可能にする小回りの効くアクションを実現。あらかじめ2モードをそれぞれ準備しておけば、現場のTPOに合わせて瞬時の対応も可能だろう。

なお、前後のボディは、このアルミパーツを介してスクリューで接続。設定変更はあらかじめ自宅や車内で済ませておきたい。

アクション

S字軌道から意図的なスライドアクションを可能にする上下スリット構造

ボディの背面とベリーには、エッジを立てたスリット。全てのアクションはこの構造がキーとなる。

尖ったノーズが水を切った後、水流をこのスリットが後方へと受け流してスムーズなスライドへとアクションを変換。また、左右からの水流は内側の壁に当たることで、過剰なロールを防いで、有効なアクションへと繋げている。

ボディのアールからエッジの厚みや高さ、そしてウェイトバランスに至るまで全てのベストを突き詰めたグライドベイトの究極がここに。

ブルーアイ

グラスルーツ作品全モデルに公式採用

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ブランドロゴのイメージカラーを彷彿とさせるブルーアイを全モデルに採用。今後発表される作品の全てに搭載される模様だ。

ローリングスイベル・フックアイ

主導権を与えず確実に仕留める

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ベリー側のフックアイにはローリングスイベルを採用。フッキング時には遊動して抵抗なくハリ先を貫き、ファイト時には相手の首振りによるテコの原理を封じ込める。絶妙な位置にセッティングが決まり、プロトによるテストでは現在のところ一度もミスがないのだという。


※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。

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