春の桜前線と共に南から北上してくるのが「マダイの乗っ込み」だ。産卵のために浅場に入ってきて釣りやすくなるマダイを狙って、船釣り師の気持ちはソワソワと浮ついてくる。春は大型が期待できるからだ。なお、味の旬は産卵が絡まない秋である。春は白子や卵に期待が持てる。マダイの調理法をご紹介。
●文:ルアマガプラス編集部
ニッポン人を虜にする美味しくめでタイ縁起物
マダイは、その鮮やかな真紅の魚体と名前の響きから、おめでたい縁起物として日本人にとっては最も馴染み深く、そして特別な存在となっている魚だ。
味の面でも、そのクセがなく上品かつ繊細な白身は日本人の味覚に余程マッチしているようで、お造り、塩焼き、煮つけ、鍋物、鯛めし、さらには残った骨までアラとして使い切ってお吸い物を作るなど、「鯛は捨てる所がない」と料理人に言わしめるほど。
唯一天ぷらだけが、かつて徳川家康公が食あたりを起こしたという逸話から敬遠されがちだが、あっさりとした白身は揚げ物との相性もよく非常に美味しい。
ちなみにマダイは諸外国でも獲れるが、その上品な味が薄味と感じるのか意外なまでに評価は低い。日本人としては複雑に感じる反面、自らの舌の繊細さを誇らしく感じるところでもある。
マダイについて
マダイの生態
スズキ目スズキ亜目タイ科マダイ亜科マダイ属沖縄を除く日本全国の沿岸部に分布し、水深の深い場所の岩礁帯などに生息。産卵期になると沿岸の浅場へと入ってくるが、産卵期は地方によってズレがあり、暖かい場所ほど早い傾向がある。
春の桜前線と共に産卵期を迎える地域が多く、その頃に獲れたマダイは桜鯛と呼ばれ、特に美味で旬とされている。しかし冬に備えて脂を蓄える晩秋も格別に美味い。
マダイってこんな魚「稚魚と成魚で体色が異なる理由」
マダイの成魚の体色は、背中を中心に鮮やかな赤が広がり、その中にコバルトブルーの斑点がいくつか浮んでいるのが特徴。ただし稚魚は若干異なり、褐色の横縞模様が目立つ。これは棲んでいる環境に合わせた色だと考えられ、稚魚は浅瀬の藻の中で、成魚は赤外線の届きにくい深場で目立ちにくい。
マダイと無関係のタイも結構いる
日本近海にはタイと名が付く魚が多数いる。写真のハナダイ(チダイ)のようにマダイに外見も種も近い魚もいるが、マダイにあやかって赤い魚や平たい魚なら積極的にタイと呼ぶ。中にはタイ科どころかスズキ目ですらない魚もいる。例えばアコウダイはカサゴ目、キンメダイはキンメダイ目の魚である。
代表的なブランド
マダイの名産地としては明石海峡をはじめ、鳴門海峡、関門海峡など、いずれも潮流の速い海峡部が多い。急流にもまれて育つため、身が筋肉質で締まるからだ。また潮流の速い場所では網での漁が難しく、1本釣りで水揚げされるものが多くなる。これも味の良さに貢献しているだろう。
おすすめ料理 | 旬 | 全国の主な産地 |
---|---|---|
刺し身、塩焼き、煮付けなど | 春、秋 | 陸奥湾、常磐、伊豆、瀬戸内、玄界灘、錦江湾 |
マダイのレシピ集
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