昨年4年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたDAIWAの最高峰スピニングリール「イグジスト」。トッププロをはじめ、多くのアングラーにも支持を受けているのは言わずもがなであろう。そんな大人気スピニングリールをリリース後、1年間シーバスゲーム中心に酷使したのがDAIWAきっての釣りウマ営業マン・岡本さん。昨年はメーターオーバーを2本、ランカーサイズも複数、さらに20kgクラスのアカメと、ランカーハンティングに明け暮れた岡本さんがNEWイグジストを使い続けて見えた「真価」をガッツリ語って頂きました!
●写真/文:岡本隆治
解説はDAIWAの凄腕釣りウマ営業マン!
岡本的!22イグジストの1年インプレを語っちゃいます♪
2023年も早くも3月、今年は3年ぶりに各地のフィッシングショーも復活し、各社から魅力的な新製品も発表されて盛り上がっていますね。DAIWAも、23エアリティ・IMZ・レーザーインパクト等、話題の新製品がモリモリの年度です!
新製品の情報は既にSNSやウェブ媒体、動画、ブログなどで沢山記事がでていますが、今回はあえて、昨年2022年に発売された「22イグジスト」に改めてスポットライトを当てたいと思います。
「何を今更…」と言われそうですが、新製品の話は、スペックや構造・日の浅いインプレの話しか出来ません。
しかし22イグジストは去年の春から1年間、シーバスやアカメ等でゴリゴリに使い込んでその「真価」が見えてきました。1年間共に闘い抜いた今、皆様に伝えたいことが沢山あるんです!
岡本が伝えたい!22イグジストのお話
- ①イグジストの強さ!!
- ②強さの対極の“感度“を支える軽量ローター・ボディー
- ③飛距離性能とトラブルレス性能
- ④ 案外知られていないチューンアップ!?
- ⑤新たな番手体制について
- ⑥23エアリティはどーなのよ!?
今回はこの6つ項目の内の①~③ついてお話しさせて頂きます! 22イグジストの購入を検討されている方だけでなく、すでに使用しているというユーザーの方にも是非チェックしていただければと思います。
22イグジストの「強さ」について
22イグジストを1年使用し、最も印象に残ったのはその「強さ」。ちょうど九州に移住したタイミングから22イグジストの使用を始めたのですが、様々な魚と出会わせてくれました。
100㎝を超えるシーバスを2匹、更に9kgに迫る個体もキャッチ。高知遠征等でアカメも数匹キャッチしましたが、MAX20kgクラスもこのリールが引き寄せてくれました。
こういった魚と対峙した時「圧倒的な剛性感」による巻き上げ力がいくつものピンチを救ってくれました。20kgクラスのアカメを、橋脚の際で掛けた瞬間、竿で寄せるのは不可能だと感じ、とっさの判断でロッドを倒して、壊れるのを覚悟で22イグジストの力だけでゴリ巻きを試みました。ジャンプした魚体がこちら側に倒され、引きはがしに成功したのです。
その後のロングタイムのファイトも乗り越え、このアカメをキャッチできたのですが、その後も、涼し気な顔で何一つ巻き心地が変わらなかったことに衝撃を受けました。
ちなみに、私は九州に来てから年間を通して、PE1.5号~2号のドラグフルロックという、リールにはかなり負荷がかかるセッティングで使用しています。そのような高負荷にも耐えられる強さの理由とは何なのか解説していきましょう。
イグジストの強さの秘訣「フルメタルモノコックボディ」
強さの要因として大きく挙げられるのがズバリ!フルメタルの「モノコックボディ」です。マグネシウムのボディにアルミエンジンプレートで構成された22イグジストは、小型スピニングリールとして破格の強さを誇ります。
従来のスピニングリールはボディと、ボディカバーの二つのパーツを3点の小さなビスで保持するものでした。たとえボディ素材が強くても、大きな負荷がかかった時に3点でしか固定されていないボディには歪みが生じ、結果的にギヤの噛み合わせが悪くなり、巻き上げが重くなったり、最悪ギヤが空転し、破損に繋がります。
しかし、ボディ自体が一つのネジであるモノコックボディは強い負荷がかかっても、歪みとは無縁で、巻き上げてくることが出来るんです。
イグジストの強さの秘訣「大口径マシンカットタフデジギヤ」
モノコックボディはビスが無い分、ボディサイズに対して大きなギヤを積めるため、更に巻き上げ力・ギヤの耐久性が上がっています。大きな魚の強力な負荷を大きなギヤで受け止めるってことです。
さらにギヤの歯面も横に大きくなっているため、負荷を分散し、ギヤの歯が破損するリスクを減らしています。
歯面が大きいと何故そうなるのか?
例えば、指でお腹を押さえると痛いですが、手の平で抑えても痛くない。接地面が大きいと、その分負荷が分散しているからです。
それはギヤも全く一緒!なのです!モノコックボディはギヤに優しく、魚に優しくない作りになっているということです(爆)。
ちなみに上記の内容は18イグジストも同じで非常に優れた物になっていましたが、22イグジストは、ギヤの表面に特殊表面加工が施されており、耐久性は更に上回っています。特になめらかな巻き感の「持続性」は驚愕の一言に尽きます。
強さの対極の感度を支える「軽量ローター・ボディー」
さて、強さについてお話しましたが、やはりイグジストは軽さと感度も最高級です。数年前までは、「ある程度リールが重い方が、ロッドの持ち重りが無くなる」という解釈が広がっていましたが、リールだけでなく、ロッドも飛躍的に進化しており、強度を保ちながら、軽量なモデルが増えています。特に私が愛用しているモアザンブランジーノEXは、まるでバスロッドを持っているかのような軽さです。そうなれば、リールも軽い方がアドバンテージが大きいのです。
22イグジストとモアザンブランジーノEXの組み合わせは、明らかにキャストフィールが上がりますし、飛距離・キャスト精度両方がアップするのを感じます。
また、軽量なエアドライブローターが、惰性で回転し続けるということが無く、軽く巻きだせて、ピタっと止まる。ルアーを操作する際も非常に役立ちます。正に操作性が上がるリールであると思います。
次に「感度」について触れようと思います。感度というものは、タックルバランスや、環境で様々な面を持っているため、一概には言いにくい部分ではあります。そのような中でも、リールがつかさどる感度は大きく分けて2つの感度があると思います。
『巻きの感度』と『刺激の感度』です。
では「巻きの感度」と何か。ずばり巻き重り、ハンドルに伝わる負荷です。22イグジストは、新型のエアドライブローターを採用しており、強度を維持したまま、ローターが非常に軽量になっています。ローターは軽ければ軽い程、ラインから伝わる負荷を邪魔すること無く手に伝えてくれます。
この点が重いローターとの決定的な違いです。
「シーバスを釣るなら流れを読め」という名言がありますが、22イグジストはもはや「流れの翻訳機」です。ルアーが水を噛む重みの変化がバシバシ手に伝わってきます。
重いローターだと慣性が働いてしまい、シーバス釣りで非常に重要な「水流変化」を感じられにくくなってしまいます(慣性が強い=重いトラックが急に止まれないとの一緒!)
ハンドルを回して手を放して、回転の良し悪しを確認する人も多いかと思います。実は、回転時間が短ければ短いほど軽量で良いローターなんです!
先述したようにシーバスで重要なのが「水流変化を捉えること」です。リップ付きのミノーの場合、リップが水を噛んでくれるので、水流変化を感じやすいですが・・・。最近主流のシンキングペンシル、ジグヘッドワームなど、水噛みが良くないルアーに関しては、感度がかなり鈍ります。
「水流変化を見つけられない=シーバスに近づけない」ということです。
軽量=慣性が低いのですが、軽いローターは上記のような水の抵抗を感じにくいルアーを使っていても、水流変化をみつけやすい!
「水流変化をみつけられる=シーバスに近づける=もっとシーバスが釣れるようになる!!」22イグジストの軽量ローターは釣りが上手くなるローターなのです!
さて、軽量&高剛性なローターの重要性を理解していただいたところで、さらに巻き感度を簡単に更に上げるコツがあります!超重要です。テストに出ます。
それは「ハンドルを短くすること!」
イグジストはシーバスだけでなく、ライトジギングやショアジギング等も視野に入れた、汎用小型スピニングリールです。様々な高負荷な釣りに対応するために、他メーカーや旧モデルよりも、ボディサイズに対してハンドルが長めになっています。長いハンドルを付けることは非常にリールへの負荷が上がり、それに耐える強いリールである証明なのですが…
4000番で純正で60mmハンドルが付いています。しかし私のシーバスの釣りにおいて、60mmは少し長すぎます。
なぜならハンドルは短ければ短いだけ、負荷を感じやすくなります。そう、巻き感度が上がるのです。これはテコの原理と同じ。したがって私はハンドルを55mmもしくは50mmまで落としています。シンキングペンシル等、巻き重りが少ないルアーの流れの感度が圧倒的に上がります。
ただ、普通のリールの4000番に50mmハンドルなんて付けた日には、巻き重りしすぎて、不快で使えなません。
だがしかーし!先述した、超軽量エアドライブローターのお陰で、巻き感度を上げつつ、全く不快では無く、サクサク使えるのです!! これはもはやDAIWAスピニング・ひいては22イグジストでしかなしえない芸当と言えると思います。是非、皆さんも試してみて下さい!
次に『刺激の感度』。これは、魚のバイトや、ボトムノックした際等の「ゴンッ」「コンコン」といった、刺激の部分です。基本的には竿がこの感度を得る役割をしているのですが、竿に取り付けられているリールもある意味「竿の一部」でもあります。そこで「軽量性」がモノを言うのです。
僕の愛用する「モアザンブランジーノEX AGS 97ML/M(126g)」+「22イグジスト LT4000-XH(205g)」はタックルトータルで331g。…いや軽っっ!(笑)。
想像して下さい。大きな鉄の塊を動かすのと、同じ大きさの発泡スチロールを動かすの、どちらが簡単ですか?発泡スチロールですよね。
そう、魚のバイトも同じです。軽いタックルは軽い力で動きます。ゆえに手に伝わります。バチ抜けやマイクロベイト時のモゾっとした繊細なバイトも手に伝える高感度タックルに仕上がるのです。
飛距離性能とトラブルレス性能
先ほど書いたとおり、軽量タックルはキャストフィールが上がり、飛距離も伸びるとありますが、22イグジスト…というより、ダイワのスピニングリールには、それだけでない素敵な特性があります。
LC-ABS(ロングキャストアンチバックラッシュシステム)というテクノロジーです。ズバリ、スプールエッジの形状です。
二段のスプールエッジになっているのですが、これは、キャストの際、最小限のラインとスプールエッジの接触点でトラブル無く整流効果を持ってラインを放出する効果を持ちます。
ともかく飛ぶ!そしてトラブルが少ない!雨の日等のラインがスプールエッジにべた付くような環境下では劇的に効果を体感できると思います。18イグジスト以降の機種に搭載されていますが、当時、18イグジストを使い始めた時、最も衝撃的だったのが、この部分です。
そしてドラグも22イグジストから「ATD TYPE-L」という新ドラグを採用しています。
ドラグ性能はグリスの素材はもちろん、スプール内側のドラグ発音機構の形状(ラチェットと呼ばれる部品)にも左右されます。ATD TYPE-Lはドラグ作動時の抵抗が少なくなるような新形状を採用しているなど、見えないスプールの内側、細部までこだわりがあるのです!
私は基本的にフッキングまではフルロックで使用し、ある程度距離を詰めたらラストダッシュやジャンプに備え、ドラグを緩めます。正直従来のATDは個人的にあまり好みではなかったのですが、ATD TYPE-Lは出て欲しい時に糸が出てくれる、しかも滑らか!
個人的にはこれ以上無く満足していますし、胸張ってオススメできます!沢山のシーバスを釣る中で、本当に22イグジストで良かった…と都度感じています。
さらにローターに関しても正直な話、従来のエアローターは、強度と軽量化の両立のために、独特の凹凸デザインになっており、強風時に絡んでしまうことがありました。
しかし、新しい「エアドライブローター」は球体形状になっているため、本当にトラブルが少ない!
そして、ラインローラーも新型のツイストバスターIIIになり、こちらもライントラブルが少ないです。
ベールの角度がついてラインローラーに落ちやすくなったのも良いですね。
ともかく「全てがトラブルレス」ということなんです。
よくSNS等で「ライントラブルが起こるなら釣り人のテクニックを上げるべき!」といったコメントを目にします。確かにそれも一つの解決法だと思います。でも私はそのテクニックを持った人が「トラブルを起こさないリール」を使えば、更に釣りの世界が広がるのではないかとも思っています。
特にシーバスは、あえてラインスラッグを出すこともテクニックの一つです。そういった釣りがリールのトラブルを気にして出来ないようでは、元も子もありません。こちらのワガママを全て請け負ってくれるリールが「22イグジスト」だと思います。
こちとら1年越しで狙っているメータークラスのXデイの時合いがあります。その瞬間にバックラッシュなんてしたらもう発狂もんですから!22イグジストを使って以降、本当にもう他のリールには戻れなくなりました。
ということで、今回の22イグジストインプレはここまで!後編では22イグジストの感度をさらに高めるマル秘チューンやラインナップの解説、話題の23エアリティについてもお話出来ればと思います!
乞うご期待を!
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
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