小森嗣彦さんが選ぶメガバスルアー『エックスダッド』『ディープX200』『ビジョン ワンテン』

36年間にわたる歴史のなかでメガバスという名のゆりかごに産み落とされてきた数々の名作ルアーたち。このページでは、数々のメガバスルアーから3つのテーマ「好きなルアー選ぶなら:偏愛」「メガバスを象徴するなら:真髄」「これは釣れる:卓越」に沿って私的な観点にて唯一無二のアイテムを選んでもらった。今回は小森嗣彦さんのセレクトをご紹介。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 シーバス特集

小森嗣彦さんのプロフィール

小森嗣彦(こもり・つぐひこ)

日本最高峰トーナメント、JBトップ50を4度制した唯一のアングラーであり、紛れもなく国内最強の一角。裏表のないまっ直ぐな性格で愚直にコンペティションと向き合い、他人以上に自分に厳しく、鋼のメンタルで勝つための日々を過ごす。

魚と同等レベルで、選手たちを観察しており、試合でのプランニングやメンタルワークを行っているという話も。レッグワームと言えば、真っ先に浮かぶ選手であり、使わせたら右に出るものはいないだろう。

【偏愛ルアー】エックスダッド

タックル

ロッドデストロイヤー F2.1/2-611X“カスミシックスイレブン”
リールアルカンセ HS(ZPI)
ラインフロロカーボン 12lb

近年になって凄さを知ったアイテムですね。遠賀川の試合にはかならず持っていくルアーでもあります。

とにかく根がかりやすいところに投入するんです。ハードボトムのハンプとか、起伏の激しいブレイクまで潜らせて、さらにロッドワークでゴリゴリゴリ! と当ててやる。ライトリグには反応しない、だけど絶対にバスはいる。そんなシチュエーションに強いアプローチです。意外なほど引っかからないし、今の時代でもこんな攻め方がトーナメントで通用するんだと感激した覚えがあります。

ちなみに「ヒゲ」のようなパーツは、甲殻類のイミテートにも見えますが、実はアクションを抑制する役目があるんじゃないかと思ってます。もともとウォブル主体の泳ぎで、「ヒゲ」をカットするとさらに強めることができる。説明書では触れられていないのですが、メガバスのルアーって、そういうギミックをこっそり仕込んでいることがよくあるんです。

【真髄ルアー】ディープX200

タックル

ロッドデストロイヤー F3.1/2-70X“Zクランクエルザイル”
リールアルカンセ NS(ZPI)
ラインフロロカーボン 10lb

僕にとっての「メガバスルアー」は、間違いなくディープX200。最初期のモデルです。

大学生のころ、フィッシングショーでメガバスブースに行ったんです。だけど超満員で入れなくて、蛍の光が流れている閉館間際に潜り込んだら、ランディ・ブロウキャットがいて。ピッチングの的当てゲームで勝負してくれたんです。僕が勝って、景品としてもらったのがこのクランクでした。

ランディ「早春などに冷え込んだら死にかけの小魚がレイダウンの下などに潜り込む。そういう場所でディープ-X200をトゥイッチして、キックバックさせながら誘うんだ。試してみなよ」

詳しく説明までしてくれたんですが……実際にそのアプローチで釣れるまで3年ぐらい掛かりました。亀山湖で普通に巻いたほうが釣れた(笑)。

ブリブリ水を動かして潜らせるのが普通だったディープクランクの世界に「シャッドクランク」という概念を持ち込んだという意味でも、画期的なルアーだと思います。

【卓越ルアー】ビジョン ワンテン

タックル

ロッドデストロイヤー F4-65Xワンテンスティック
リールアルカンセ HS(ZPI)
ラインフロロカーボン 10lb

実釣性能でいえば圧倒的にワンテンでしょう。ハードルアーの最高峰のひとつだと思ってます。このルアーの凄さは、説明しても伝わりにくいかもしれません。影響を受けたアイテムがたくさん存在するので、今となってはすべて当たり前になってしまっている。

たとえばボディーにフラット面を作ってしっかり水を押すように計算されている点だとか、左右だけでなく3Dに跳ぶシステムとか。110mmというサイズ感も、今でこそスタンダードですが、定番化したのはワンテン以降ですよね。

ミノーといえば、かつてはトラウトやソルトウォーターと兼用しているものが大半でした。「バスはこれで食わせるんだ」と明確に打ち出したのは、ワンテンかラトリンログぐらいでしょう。それぐらい際立った存在だと思います。

写真のカラーは、2013年のトップ50旧吉野川戦で準優勝に貢献してくれたもの。個人的にはGG(グアニウムゴースト)系も大好きです。

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