メガバス2023年新ロッド『デストロイヤーオロチX10』は天然由来素材が人類の化学を凌駕する1本

高い意匠性のみならず、アッと驚く構造と仕掛けでアングラーを魅了し続けるメガバスアイテム。2023年にリリースが予定されているNEWアイテムをロッドとルアーからひとつずつピックアップして、エンジニア的観点から伊東さんにたっぷりと語ってもらった。今回は新ロッド『デストロイヤーオロチX10』をご紹介する。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 イカメタル特集

デストロイヤーオロチX10 F3-610XT ラピッドバイパー

スピード感のある中~小型ルアーのファーストムービングに最適なベイトロッド。エルゴノミクス設計に基づくIAS(ITOエンジニアリング エアリーフィットエルゴノミクス シート)を採用している。

項目スペック
全長6ft10in
適合ルアー1/4-5/8oz
適合ライン8-18lb
アクションミディアムファスト
継数1
価格44,000円(税込)

デストロイヤーオロチX10 F7-72XT ブッシュアダー

カバー攻略のためのジグ&テキサスロッド。リールシートにはIASではなくパワーフィッシングに最適なITS(ITOトリガーシステム エルゴノミックキャスティング シート)と、適材適所の使い心地を追求。

項目スペック
全長7ft2in
適合ルアー1/2-2.1/2oz
適合ライン12-30lb
アクションファスト
継数1
価格46,200円(税込)

デストロイヤーオロチX10 F3st-611XTS メデューサ

鋭利なソリッドティップとX10ブランクのトルクが融合したパワーフィネスロッド。スピニングモデルには全機種IES(ITO エルゴノミックコンタクト シート)が採用され、フィネスを深化させている。

項目スペック
全長6ft11in
適合ルアー1/8-1/2oz
適合ライン4-12lb
アクションEX.ファスト
継数1
価格44,550円(税込)

F0.1/2からF9までの全16機種

河辺裕和プロ監修のベイトフィネスロッド、クリフハンガー(F1.1/2-65XT)をはじめ、ベイト11+スピンニング5機種の多様なライナップ。

さらに可変テーパーモデルと、セルロースミクロフィブリルのロッドへの高い適合性とメガバスファクトリーの技術力を反映している。

また、ジャバウォック(F4-68XT)やベアリングダウン(F5.1/2-69XT)など、往年のデストロイヤーのサブネームが復活しているのも嬉しいところだ。

化学では生み出せないパフォーマンスが自然の中にある

伊東由樹さん語りおろし「ロッドの高みを別のアングルから極める」

日本では6代目となるオロチだが、ヒュージコンタクト、ピークパフォーマンスのようにデストロイヤーシリーズの一環としてカムバックする。

もともとオロチはデストロイヤーの攻撃的な掛け調子の補完、ハイテンションだけではできないハイトルクの部分をまかなってきた。

そしてオリジナルデストロイヤーは5Dグラファイト構造を導入する。環境面を考慮してもオーバーレイヤーを必要としない必要最小限のカーボンファイバーで構成できるようになった。それにより軽量化がもたらされロッドパフォーマンスも向上してはや5年、わずかな余地こそあるが、大きな変革は起こりえない、カーボングラファイトロッドのひとつの完成形をみたといっても過言ではない。

もともとメガバスは、ソフトマテリアルのVIOSがアメリカFDAの認可を取得し、ハードルアーではリサイクル樹脂を使うなど、環境適合生産性が高い。いわゆる環境ブーム、SDGsよりも以前から、環境的にもパフォーマンスにも優れた製品をどう生産するべきかに向き合ってきた。きれいごとで釣りを語るつもりはないが、パフォーマンスを追求した結果、環境への適合性や環境負荷の低減化を達成できるのであれば、それは未来へ向けてやり続けるべきだろう。しかし、第一義は獲るため。我々はあくまでも破壊者だ(笑)。しかし結果として環境適合性があれば、メガバスが本気で取り組むべきプロジェクトとしてふさわしい。

デストロイヤーが目指す頂へのアプローチ

研究の末、ロッドの強度を出すためのブランクのレインフォースとしてセルロースミクロフィブリルを導入。同量のカーボンファイバーと比較すると、20%の軽量化、耐衝撃性能の20%アップ、制振性能の30%アップ、二酸化炭素排出量は95%減と、高次元のパフォーマンスと環境適合性能を生み出した。

そこで行き着いたのが、カーボンは人類が生み出した化学繊維だが、逆に化学では生み出せないパフォーマンスが自然の中にあるのではということだ。メガバスではスーパーナチュラルと呼ぶが、そうした素材を研究してきた。そうして発見したのが、自然素材から採取されるセルロースミクロフィブリルという植物系天然繊維(オーガニックファイバー)で、従来の化学繊維(カーボンファイバー)のロッドにこれを導入したのが新しいオロチX10だ。

X10(エックステン)とはオーガニックファイバーのことで、Xはデストロイヤーの末尾コードでもあり、10の0(ゼロ)はO(オー)、つまりオーガニックファイバーを使ったバスロッドのファーストストエディション(1st)で、X10でもある。

環境的テクノロジーと破壊者の融合

歴代のデストロイヤーを想起させる色使いのスレッド。オロチ独自の高強度アルミ切削フードには緑をベースにしたトルマリンベルゼカラーを採用している。

X10はオロチのハイトルクの継承はもちろんだが、これまでデストロイヤーでアプローチしてきたダイレクタビリティ(直感性能)と軸ブレのないパリっとした張り、いわゆる制振性能ももちろん引き継いでいる。

デストロイヤーは高弾性カーボンによるそれらへのアプローチだったが、X10はオーガニックファイバー、スーパーナチュラルでそこを目指す。登り方こそ異なるが、到達すべき頂に相違はない。だからオロチがデストロイヤーに戻ってきた。

もともとオロチは八岐大蛇(ヤマタノオロチ)、日本神話におけるスーパーナチュラル的存在も意味している。畏怖すべき自然が育んだ力でビッグバスと対峙する、そこにひとりのエンジニアとしてロマンを掻き立てられたところはあるだろう。

しかしそれは簡単ではなかった。セルロースミクロフィブリルという素材を3年間研究し続け、ロッドシャフトとして使えるレベルに持っていくのがひとつの山だった。しかし素材としてはとても魅力的で、比重や強度、感度でも優れてはいるが、特筆すべきは制振性能で、サトシン(佐藤信治)をして『ビタ止まり』するという、まさにスーパーナチュラルな存在だったのだ。

そしてもうひとつの山は、どこにどうコンポジットするか。使いどころを間違えるとバスロッドとしての性能を出すことはできない。シャフトは見ためこそ単純だが構造は複雑で、縦繊維のコアに使うのか、その外殻に使うのか、レインフォースに使うのか、あるいはファイバースクリームの繋ぎに使うのか。すべてのパターンと機種で実験を繰り返し、最適な部位として判断して使うまでに至るには膨大な検証力が必要になる。さらにそれを安定した品質で継続的に生産できるか、ファクトリーの能力も問われるだろう。

なんとか公式に発表し、量産までこぎつけたが、5D製法と同様に難産だった。そこも含めてやはりデストロイヤーだ。デストロイヤーにおけるスーパーナチュラル的存在、破壊王の守護神、それがオロチX10だ。

伊東由樹さんのプロフィール

伊東由樹(いとう・ゆき)

メガバスCEO。伝説のロッド『アームズ』をはじめ、バスフィッシング界の歴史に幾度も名を残す正真正銘のレジェンド。35年という、国内を代表するルアーメーカーを経営する手腕はもちろん、アングラーとしての腕前も超A級。

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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