「ヘビのおもちゃではない」メガバス2023年新ルアー『スパイン-X』

高い意匠性のみならず、アッと驚く構造と仕掛けでアングラーを魅了し続けるメガバスアイテム。2023年にリリースが予定されているNEWアイテムをロッドとルアーからひとつずつピックアップして、エンジニア的観点から伊東さんにたっぷりと語ってもらった。今回は新ルアー『スパイン-X』をご紹介する。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 新製品情報

スパインエックス SPINE-X190

リアルにジョイントさせることに意味がある

ジョイントパーツとは別に、形状記憶ワイヤーを背骨に見立てて貫通させ、ナチュラルな動きを演出する。状況によって本数や線径を変え、動きをアップデートできるライブワイヤードシステムが最大のキモ。リップレスやディープダイバーなど、別ジャンルのルアーにも導入してテストをしているとか。

項目スペック
全長190mm
重さ2.0oz
タイプフローティング

ジョイントベイトの違和感をなくす背骨

ジョイントベイトは以前から研究してきたが、なぜすぐにスレるのか疑問だった。あのクネクネとした動きがベイトライクで食ってくるという人もいるが、そうは思えなかった。

クリアウォーターのようにバスがルアーを観察できる環境では、スッとボディに口先だけ触れたりと、食べるべきか確認にくる個体もいる。つまり、バスにとってはリアルではない。通常のソフトベイトであれば普通に食うことは多いのにだ。

その差は何かというと、間違いなく各ブロック間で見せる不自然さだろう。フレキシブルイコールナチュラルではない。人間がそう見たいだけで、魚にとっては違和感でしかない。となれば本物の硬骨魚類が見せる背骨と筋肉による動きと連動性、自然な遊泳形態を再現すればいい。そのためにスパイン、背骨を入れた。連結のリアルをとことん追求するために。

1度スパイン-Xの泳ぎを見れば、それまでのジョイントベイトのフレキシブルさが逆に不自然だと分かるだろう。「あぁ、こいつは単なるヘビのおもちゃだったのか」と(笑)。

形状記憶ワイヤーのスパインがナチュラルな追従性を演出する。第1のブロックが動いた時に第2第3第4と違和感なく追従する動き、反転した時の絶妙なディレイ感。メガバスではそれをひとつのルアーだけにとどめず、チューニングの概念で拡大させ、ライブワイヤードシステムを構築した。

なまめかしくアクションさせたい時には1本、トゥイッチ、ジャークで軽快なドッグウォーク、フラッタリングをさせたいなら2本、超高速巻きでリアクションさせたければ3本と、状況により動きを変えられる。

そこまでやる? と揶揄されたりもしたが、ひとつのフィールドで1発でかいのを狙って粘るときにはやる価値はあるだろう。

ビッグサイズのルアーにはその破壊力はまだ残っているが、見切られることが残念だった。それを解消するためのライブワイヤードシステム。そこにはまだ獲れる魚がいる。

伊東由樹さんのプロフィール

伊東由樹(いとう・ゆき)

メガバスCEO。伝説のロッド『アームズ』をはじめ、バスフィッシング界の歴史に幾度も名を残す正真正銘のレジェンド。35年という、国内を代表するルアーメーカーを経営する手腕はもちろん、アングラーとしての腕前も超A級。

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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