レッドモンスター捕獲作戦in沖縄も、ついに最終章へと突入です！ 前編ではアオリイカの種類やレッドモンスターの生息場所、中編では最適なタックルについて、それぞれ釣り船YAZAWAの船長・矢沢賢人さんに解説してもらいましたが、今回の最終章では皆さんが一番気になる『釣り方』について“隠しゴト一切ナシ”で教えてもらいました。その内容とは…一体!?
●文:ルアマガプラス編集部
登場アングラー&船長紹介
【プロフィール】
片原 恵麻（左）
かたはら・えま スタイルやジャンルは問わず、どっぷり釣り三昧の日々を過ごす、慶応大卒の釣り才女。マルキユーのアンバサダーを務める。第13代（2022年）アングラーズアイドルのファイナリスト。
金澤 美穂（右）
かなざわ・みほ ルアマガ女子部所属。年間釣行200日以上、沖釣りを得意とする本格派アングラー。数年前レッドモンスターに魅了され、以後毎春沖縄に通う。今回は恵麻さんの良き指南役として同行。
釣り船YAZAWA 矢沢 賢人（やざわ・けんと）
1990年1月19日生まれ 33歳 埼玉所沢出身 大学入学に伴い沖縄へと渡る。在学中に大物釣りで有名な釣具店＆遊漁船『YOSEMIYA』でアルバイトを始めた結果、沖縄の釣りにドップリとハマリ込んでしまうことに。遊漁船業を始めて9年目。釣りは小学校時代からで父親の影響大。
可能な限り糸フケを出さずにエギを『垂直に真っ直ぐ』落としていく
100m超の深海を探ることもあるということで、モノスゴイ屈強なタックルが必要になるのでは？ なんて不安だらけの私、恵麻でしたが、意外とライトなタックルでOKということで拍子抜けというか、安心しました（笑）。
【沖縄レッドモンスター実釣 前編・中編はコチラ】
昨今、沖縄で注目されているエギングスタイルといえば、バーチカルティップラン。そのターゲットはずばり、レッドモンスターとして名高いアカイカ系の巨大アオリイカだ。今回、アカイカ未体験の釣りガール・片原恵麻[…]
アオリイカの王様・レッドモンスターが沖縄ではイージーに釣れる？ ということで、毎年沖縄への遠征エギングに行っている先輩・金澤美穂さん（写真右）と急遽同船釣行と相成った私（写真左・片原恵麻）。前編では釣[…]
でも、そんな深い場所の釣りをしたことないのは確かなので、ボトム着底がわかるのか、アタリがわかるのか、やっぱり心配です。
矢沢｢前回でも触れましたが、もっとも大事なコトはレッドモンスターが生息するレンジにエギをステイさせ続けることです。本州のティップランのようにドテラ流しでエギをスイミングさせるのではなく、バーチカルでボートの真下を狙うのがレッドモンスター狙いの沖縄ティップランです」
ボートの直下
矢沢「波や海流がある中でも狙ったレンジにエギをステイさせ続けないと、狡猾なレッドモンスターにはすぐに見切られてしまいますし、仮にエギを抱いたとしても横抱きになったりしてバレやすくなる原因にもなります｣
エギを深場でステイさせているときの構え。しなったティップのイレギュラーな動きを注視しながら、エギを不用意に動かさないように静かに待つ。シャクリアクションの『動』とアタリを取る『静』のメリハリが対照的な釣り方だ。
ただ、どんなに重くてもエギ＆マスクシンカーで80g(※中編のエギ解説を参照)じゃないですか。風や波、海流の影響を受けると、そのウエイトだと真下までスムーズに落ちてくれないかも。
写真のようにスプールエッジに指を添えることで、ラインが放出されるスピードをコントロール。こうすることで余計な糸フケが出にくくなり、エギが真下へと落ちやすくなる。
矢沢｢その不安を抱く気持ち、正解です。100g超のメタルジグですら、海況によっては真っ直ぐには落ちてくれず、その後の操作に支障が出ることもあります」
その場合、どうすればうまくボートの真下を狙えるんですか？
矢沢「だからエギを沈めるときも漫然とボトムに着くのを待っているだけではなく、まずはライン放出時に風を受けて余計なラインが出ないように、リールのスプールに軽く指を添えたりしてラインにテンションを掛けながら落としていくのがコツです。こうすることで水中の糸フケも可能な限り抑えることができ、着底がわかりやすくなるだけでなくシャクリの操作もよりダイレクトに伝わりやすくなります｣
「着底→シャクリ→ステイ→再び着底」の繰り返しが鉄板パターン！
では、エギ着底後のシャクリからステイまでの一連の流れを教えてください！
矢沢｢ビギナーでもイメージしやすいように表現すると、ボトムに着いたら、まず糸フケを取って3～4mシャクリ上げた後にステイ、ですね」
どれくらいステイさせますか？
矢沢「ステイの時間は10～15秒ほどで、活性が高いときにはすぐに反応があります。逆に低いときには20秒ほど待ちますが、いずれにしても反応がなければ再びボトムまで落としてシャクリ上げるの繰り返しです｣
ボトムまで落として着底後に3～4mまでシャクリ上げて10～15秒ステイ。これを何度も繰り返すことで、ボトム付近でうろついているレッドモンスターを誘い出すのだ。
こういう言い方もどうかとは思いますが、結構単純ですよね（笑）。
矢沢｢そうなんですよ！ この単純作業を繰り返すことが、レッドモンスターへの一番の近道です！ これまでの経験上、レンジを上げてみたりとか余計なことをやり始めると、逆に釣れなくなってしまうので、反応があるまでひたすらやり続けるのがキモです。ただ、アオリイカならではの特長を活かした誘い方というのもありますよ｣
特徴を活かした誘い方ですか？
矢沢「そうです、前々回のアオリイカの生態の部分でも触れましたが、海中に生息する生物の中でもアオリイカは視力がとても良いんです。例えば、水深60mでボトム3～4mのレンジにいるアオリイカに向けてエギを真上から落としていくと、20mくらいまで落ちた時点でアオリイカの方から勢い良く上昇してきます」
アオリイカは基本的には『上目線』のようで、落ちてくるものに対して反応を示しやすい。実際、オカッパリエギングでもイカがエギを抱く瞬間というのはエギが動いているときではなく、安定した姿勢でフォールしているときがほとんどなのだ。
矢沢「そして、エギがボトムまで落ちていくのに“同行”して、着底後にシャクって初めて抱くんです。つまり、離れているモノもよく見える視力の良さに加えて、エギが落ちていく姿にも執拗に反応するという習性を利用して、通常のシャクリアクションを5回やったとすると、その中で1回くらいは一気に中層あたりまでわざと巻き上げてエギを目立たせ、そして再び落とすという、イレギュラーなアピールを織り交ぜることもあります｣
ドラグはシャクリ時に｢チリッ｣、ファイト時に｢ジリジリ｣と鳴るくらい締める
ちなみに、リールのドラグ設定はどうすればいいですか？ どのくらい締め込めばいいのか、逆にどのくらい緩めればいいのか見当がつきません…。
矢沢｢まず、イカを掛ける前のセッティングとして、やっておくことがあります。沖縄のティップランはエギを沈める水深が深いだけに水圧も相当掛かるので、シャクるたびにラインがジャージャー出るようではエギがまったく動いていません。要は、でかイカということでビビって緩めではダメということです。シャクったときに｢…チリッ｣っとドラグが鳴るくらいまで締め込むのが目安ですね｣
レッドモンスターと格闘中の図。ラインを巻き取りながらもイカがダッシュするときにはラインが出されるくらいのドラグセッティングでOK。大事なのはラインテンションを抜かないことだ。
となると、ファイト時のドラグ設定は？ とにかく大きいレッドモンスターなだけに、ラインブレイクが心配なんです。
矢沢｢エギに掛かったあとのイカは、基本的に後ろへ下がって逃げることしかできません。根などの障害物に向かうこともほとんどないので、ラインのテンションが抜けてイカがエギを離してしまわないように気を付けていれば大丈夫です」
ラインのテンションが抜けないように気をつけることが重要なんですね。
矢沢「イカの大きさにかかわらず、ダッシュしたときにラインが「ジリジリ」と出ていくくらいに調節できていれば、余程のことがない限りモンスターでも獲ることはできますよ。掛ける前の締め込みからドラグをどれくらい緩めれば「チリッ」から「ジリジリ」になるのか、自分のリールの特性をあらかじめ把握しておいてくださいね」
そっか、自分が使っているリールのドラグ特性も把握しておいた方がいいんですね。
矢沢「とにかく、ドラグの緩め過ぎには注意です！ あとはファイト中に青物やサメのエサにならないように祈ってください（笑）｣
南国ならではのモンスターゲームを気軽に楽しもう！
今回の釣行では波がまあまあ高かったが、レッドモンスターの活性は高かった。美穂さんはもちろんのこと、初めての恵麻さんも、そして写真のように3杯ほぼ同時にゲットなんてことも。例年通りならば梅雨明けくらいまでは充分に楽しめる。
全3回に渡ってお送りしてきたレッドモンスターin沖縄、いかがでしたか？ 写真でもお分かりのように矢沢船長＆モンスタークイーンの美穂さんのアドバイスのおかげで、ビギナーの私でもレッドモンスター獲れちゃいました！ 沖縄に来ればこんな楽しい釣りを気軽に楽しむことができるので、ルアマガプラスをご覧の皆さんもぜひチャレンジしてみてください!!
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