日本……否、世界に誇る日本のルアーブランド「メガバス」いつの時代も話題に事欠かないメガバス製品は、世代を問わず多くのアングラーを魅了してきた。それは、トーナメンター、メディアプロ、メーカー代表など、様々な立場にある、プロアングラーも同じ。みんなが夢中になったメガバスとのエピソード、今回は伊藤巧さんに語っていただいた。
●文:ルアーマガジン編集部
伊藤巧さんのプロフィール
伊藤巧(いとう・たくみ)
地元の利根川水系でバス釣りのイロハを学び、師と仰ぐ田辺哲男さんからも釣りのエッセンスを吸収。メディアへの露出が増え始めると一気に才能が開花。2019年からはアメリカに本格進出し、最高峰の舞台エリートシリーズで活躍中。メガバスオタクと公言している。
メガバスとの出会い
小学校高学年くらいの時に物凄い人気で、とにかく買えなかったし、憧れたブランドです。本当の最初の出会いは、亀山湖に行く途中にあった釣り具屋。F4-71Xがたまたま売っていたんだけど、なぜかスルーしたんですよね。でも次の日やっぱり欲しくなって買いに行ったらもう売り切れてたんですよ。そのあと、柏のROOTSという釣り具屋で父が中古のF4-66Xを買ってきて、自分もいつか欲しいとお年玉を貯めるようになりました。
メガバスルアーを手に入れるまでも相当苦戦して、ROOTSで5,000円以上買うと購入権が与えられるコーナーに、X-80トリックダーター、ライブXリバイアサン、X-30などがあって、それらを買った記憶がありましたね。
同時期に伊東社長のVHS「X-Bites Stage2」を見て、超ドハマり。しぐさ、話し方、テクニックを真似してました。なかでも、ロケットキャッチをマスターするためにコイで練習して何本も竿を折りましたね(笑)。
友達とオカッパリしてても「気配を感じるな……」とか、「カメラマンさん、歯食いしばってくださいね」というセリフを真似したり、ロッドを口で加えたり、完全になりきって釣りしてました。当時はいつでも心の中に伊東社長がいましたね。
記憶に残るメガバスアイテム
F5-66Xベアリングダウンです。「グラコンポシステム(グラファイトフレーム・コンストラクション・コンポーネンツ・システム)」という、バイトが増幅されるシステムが組み込まれていたり、トップガイドのゴールドサーメットとかも本当にかっこよくて、とにかくほかのメーカーのロッドとは、ひと味もふた味も違ってましたね。
ルアーはタイプX。意味不明すぎて、最高に当時の僕を魅了しましたね。パッケージもカッコよかったし、デザインも湾曲が凄すぎて、特にスキーターボートの「パワードハル」を彷彿させる脚には震えましたね。
タイプX
メガバスに言いたいこと
やっとメガバスのルアーを沈めることが怖くなくなるくらいにまで成長することができました(笑)。だから、ワンテンやディープX300の名作感を今になってようやく感じることができましたよ。
今僕が主戦場としているアメリカでは、ワンテンはほぼすべてのプロが愛用しているし、アメリカのどのショップでもメガバスのルアーは見かけます。
僕が子供の頃に夢中になったメガバスのルアーが世界で認められていることを嬉しく思う一方で、自分もアングラーとして認められるよう頑張らなければいけないなと思いますね。
メガバスのブランド、ルアーへの印象
あくまで当時の印象ですが、僕は本当のメガバスオタクで、結果的にかなりの量をコレクションしていたんですけど、当時は好きすぎてボトムにつく可能性のあるルアーは一切使いませんでした。なぜなら、根掛かりが怖すぎたから(笑)。
だから、よく使っていたのはポップX、ドッグX、グリフォンゼロなどのトップからサブサーフェイスまで。今だから言えますが、そんなんだからなかなか釣果には結び付かなかったんですけどね。
でも1度だけ、何を血迷ったのか、父とバスボートで利根川へ出た時にMR-Xグリフォンを投げてしまったんですよ。そしたら案の定、1投で根掛かって、5時間くらい回収を試みましたが結果、回収できず、翌日にウェーダーを履いて父と回収しに行きました。もう絶対に沈むルアーは投げないと心に誓いましたね。
やっと手に入れたデストロイヤーも、ゼッタイに傷つけたくないから地面に直置きなんかとてもできなかったし、ルアー変えるときもグリップエンドは地面ではなく、靴の上に置くようにしてました。グリップも汚したくないから、透明なラバーを巻いて使っていたんですけど、雨の日に使ってそのままにしていたから、コルクが腐って泣いたこともあります。
それくらい、当時の僕からすると宝物みたいな道具がメガバスで、本当に夢中になりました。でも僕はここまで徹底するのが本当のオタクだと今でも思っています(笑)。
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