今江克隆さんの「メガバスと私」機能的性能的な面で負けたと思ったことは1度もないがデザイン性と趣向性で勝てない

日本……否、世界に誇る日本のルアーブランド「メガバス」いつの時代も話題に事欠かないメガバス製品は、世代を問わず多くのアングラーを魅了してきた。それは、トーナメンター、メディアプロ、メーカー代表など、様々な立場にある、プロアングラーも同じ。みんなが夢中になったメガバスとのエピソード、今回は今江克隆さんに語っていただいた。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 シーバス特集

今江克隆さんのプロフィール

今江克隆(いまえ・かつたか)

無類の強さで日本のトーナメントシーンを牽引し、今もなお最前線で活躍するザ・バスプロ。ルアーの造詣も深く、代表を務めるイマカツからは時代を先取る名作を多く輩出。メガバスとの共作・IXIシャッドのアドバイザーを務め、業界を騒然とさせた。

メガバスとの出会い

メガバスというか、伊東由樹氏との初めての出会いは、2016年に出願中の特許のことで相談という名の文句を言いにメガバス本社に乗り込んだときだね(笑)。そこで伊東さんと初めて出会った。詳細はシークレットだが、そのときにメガバス社内を見学させてもらったり、夜に一緒にご飯を食べに行ったりして、なぜか意気投合してしまって。翌日にロドリの企画で伊東さんとの対談があったんだけど、前日に散々話し尽くしていたので対談ではなにも話すことがなくて編集長を困らせたという伝説も作ったね。

実際に会った印象は意外に腰の低い人だった。雑誌でフンガー言ってるイメージはまったくなかったよ。奥村和正くんに会ったときとよく似ていて、彼も雑誌ではフンガーだったけど、会うと腰が低くてまともな人だった(笑)。

こっちが文句言ったろうとテンションアゲアゲで行ったのに、思いっきり肩透かしを食らった感じ。そのことがひょうたんから駒のきっかけとなりIXI開発へと進展して行ったんだから、実際に会ってみないとわからんもんだね。

メガバスのブランド、ルアーへの印象

うちもルアーを作ってるからよくわかるが、根本的なところでの造形美が飛び抜けている。メガバスのルアーっていうのはこれは失礼な言い方かもしれないが、釣れる釣れない以前の問題で、芸術の域に達している。釣り道具というよりも『作品』やね。

記憶に残るメガバスアイテム

ロッドについては全部や。機能的性能的な面では負けたと思ったことは一度もない。しかしロッドのデザインと趣向性において、勝ったと思ったことは一度もないな。もし俺が何も関係ない純粋な釣り人だったら、コンバットスティックとデストロイヤーどちらを選びますかと言われたら、100対0でデストロイヤーって言いますわ。繰り返すがデザイン面で勝てたと思ったことは一度もない。

ルアーではVフラットが印象に残っているね。メガバスのルアーで試合で勝ったときに使ったと記憶しているのは、唯一Vフラットだった。スピナーベイトのドラッギングをやりはじめたころで、琵琶湖全勝したときの1勝がそれだった記憶がある(1991年ごろ)。Vフラットは浮き上がりにくくて使いやすく、俺の中では好きなスピナーベイトのひとつだった。

Vフラット

メガバスに言いたいこと

やはり「メガバスらしさ」という独自性がすごい。メガバス独自のLBOシステムを搭載しても、飛距離10m伸びるかと言われれば伸びないわけで、タングステン磁着システムよりもよくて1~2m程度の伸び。その1~2mのために恐ろしいコストを掛けている。その思想がいかにもメガバスらしいなと思う。

やっぱり「メガバスは違う」ね。

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