春こそカレント『ビッグエスケープツイン』城ノ上巧さんロクマル狙い3大ルアー

50cmオーバーですら夢のまた夢、というアングラーが大半を占める関東のプレッシャーレイク亀山湖において驚くべき頻度で「ロク」を手にしている男がいる。その磨き抜かれた理論とノウハウを春の亀山湖で追った。城ノ上巧さんの春のロクマル狙い3大ルアー、今回はノリーズ『ビッグエスケープツイン』を使ったカレント狙いの極意をレポート。

●文:ルアーマガジン編集部

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城ノ上巧さんのプロフィール

城ノ上巧(じょうのうえ・たくみ)

1974年千葉県出身。二十歳を過ぎてからバス釣りをはじめ、高滝湖で開催されているNBCチャプター南千葉では初年度で年間チャンプに。その後ホームグラウンドを亀山湖に移し、「ロクマル」だけを念頭においた独自のパターンを構築。2018年に釣った64cmを皮切りに、これまでに7本の60cmオーバーをキャッチしている。

尊敬する田辺哲男さんに「もはや次元が違う」と言わしめるほどの実力で、今日もでかバスを求め湖上へ繰り出す。好きなビールの銘柄はエビスビール。

ロクマルねらいは朝寝坊でもOK!?

まずはじめにお伝えしておきたいのは、城ノ上さんが「サンデーアングラー」である、ということだ。平日は会社勤めだから釣行日はほとんど選べない。今日はエックスデーだ! などと、絶好の日並みを選んでフィールドに通っているわけではないのだ。

それでも――過去に手にしたロクマルは7本。レンタルボートひしめく土日の亀山湖で、である。

ごくごく一般的なアングラーとなんら変わらぬ条件のもとで、ここまで抜きん出た結果を残せるのはなぜなのか?

それを教わるために、4月上旬の日曜日、サクラの散りはじめた亀山湖・のむらボートハウスへ向かった。

レンタルボートの開始時間は5時半。しかし城ノ上さんから指定された集合時間は6時半、すっかり明るくなってほかのボートは出払ってしまったタイミングだった。

城ノ上「普段のプライベートの釣りならもっと遅いです。9時よりはやくスタートするのは珍しいくらい(笑)」

デカい魚は朝は食わない、昼からが本番です、と城ノ上さん。セオリー的には「朝マヅメ」「モーニングバイト」が気になってしまうが、特に春は日が昇って温まりきったタイミングが重要なのだという。

亀山湖のなかでもモンスター級を捕捉しやすいエリアだと城ノ上さんが考えている「よりとも島」。昨年4月10日にはYoutubeロケの最中にロクマルをトップウォーターでキャッチ。

「春こそカレント!」の理由

桟橋を離れてまず最初に向かったのは、のむらボート対岸の岩盤だった。5gのフットボールヘッド+ビッグエスケープツインで、水中に沈んでいる崩落カバーにアプローチしていく。ボートの真下の水深は7~8m、カバーのトップは3m前後といったところ。

……ここで「ん?」と思った人がいるかもしれない。もっとぜんぜん浅い「シャローフラット」や「ワンド」こそが、春のセオリーじゃなかったっけ?

城ノ上「もちろんロクマルも産卵のときにはシャローに差す個体がいますし、捕食行動のためにワンド内をクルーズすることも多い。ただ、そういう場所で常に陣取っているわけじゃないんです。むしろボディーウォーターがしっかり通っている『アウトサイドの一等地』に、産卵直前までスタンバイしているイメージです。この崩落は、その条件に合致する典型的なスポットです」

のむらボートハウス対岸にあるアウトサイドの岩盤。壁がむき出しになっている部分が崩れ落ち、水中で大きなカバーを形成している。「壁際の枝などは時間が経つと流されてしまって、少し沖側に残っていることが多い」

流れの効く岩盤はサマーパターンのイメージが強いが、城ノ上さんの考えは「春こそ、カレントが重要」ちなみに亀山湖の場合、こういったアウトサイドの岩盤にあるちょっとした張り出しなどを利用して、そのまま産卵するビッグフィッシュもいるらしい。

なお、この崩落では4~5投しただけで移動。カバーの規模こそ大きいが、ねらうべき勘所は意外に狭いのだという。

ビッグエスケープツイン(ノリーズ)

リグ構成

  • 5gフットボールヘッド(リューギ)
  • ダブルエッジ#4/0(リューギ)
  • ビッグエスケープツイン(ノリーズ)

崩落や立ち木など、水中に沈んだカバーへアプローチするときに欠かせないのがこのリグだ。

複雑に伸びた枝に軽くスタックさせた状態でロングシェイクして誘い、ポロッと外して、フリーフォールさせたときにバイトが出やすい。

この操作を的確に行なうため、シャローでも水深10mでも原則として5gのシンカーを合わせる。

かつてはテキサスリグやビフテキなどで使っていたが、フットボールヘッドが登場してからはこれ一択。ワームの姿勢が安定してフッキング率を高めてくれる。

エレキを水中のカバーに見立てたところ。宙ぶらりんに吊るしたままシェイクすると食わせづらい。かならずヘッドが接した状態で誘ってやること。

ワームこそデカいが、城ノ上さんのアプローチは繊細そのもの。特にシェイクの時間はかなり長く、冬にドラッギングしながら沈みものを探っていくときはワンキャストに2時間(!)近くかけることも。
規模の大きなカバーのなかでも、バイトが出やすいのは「トップ」の部分。特に一等地では最初の一投で勝負が決まることが多い。

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