《B.A.S.S.ってなんぞ》バスマスタークラシックの楽しみ方情報まとめ&2023戦況リポート

バスフィッシングの本場、アメリカ。何もかも最先端を行き、「バス」という魚を取り巻く環境さえも変えてきた団体、それがB.A.S.S.。ここではその歩みと取組み、そして今年も日本人選手がクオリファイした、バスマスタークラシックの様子をお届けしよう!

●文:ルアーマガジン編集部

2024 イカメタル特集

B.A.S.S.創始者レイ・スコットさん

Photo by B.A.S.S.

創始者:レイ・スコット

1968年にB.A.S.S.を設立した、バスフィッシングの父。釣りのイメージを変えるべく、自身でメディアを立ち上げ「バスマスターマガジン」を刊行。B.A.S.S.に所属する選手とトーナメントの宣伝にも活用した。

スコットは業界の発展だけではなく、将来を見据えた保全活動などにも早くから取り組んでおり、魚を保護するためにキャッチ&リリースの概念を提唱したり、選手の安全を守るためにライフジャケットの着用やボートへのキルスイッチ標準装備化、水質浄化法などにも貢献。

現在におけるバスフィッシングの礎を築き、2022年5月8日にこの世を去った。享年88歳。

B.A.S.S.とは?

「Bass Anglers Sportsman Society」の略称。世界で初めてバストーナメントを開催し、バスフィッシングをスポーツとして確立させた団体。タックルやルアー、ボートやエレクトロニクスなどの進歩を促し、現在に至るバスフィッシング産業の発展に大きく貢献している。

今日に至るまで刊行されているバスマスターマガジン。所属する選手やトーナメントの情報はもちろん、試合が開催地である街の様子なども取り上げられている。

B.A.S.S.の歩み

1960年代

1968年レイ・スコットが立ち上げた組織を、テネシー州ナッシュビルのボブ・スティーバーがB.A.S.S.と名付ける。組織に加入した最初のメンバーはオクラホマのドン・バトラー。当時年会費が10ドルに対し、彼はスコットに100ドルを支払った。
同年春、バスマスターマガジンを創刊。スコットは2年間編集に携わった。
1969年ボブ・コブがバスマスターマガジンの編集を務め、以降B.A.S.S.を成功に導く役割を果たす。

1970年代

1970年ローランド・マーティンがB.A.S.S.で初めての釣果を上げる。1月、トレドベンドインビテーショナルにて、2位と言う成績を収め、プロアングラーとして最も印象的なキャリアを積み上げる。
1971年24人のプロアングラーと同数のメディア関係者が、第1回バスマスタークラシックのため、目的地不明の飛行機へ乗り込んだ。その機内で初めて、ネバダ州レイクミードでの開催を告げられた。
1972年スコットは「Don’t Kill Your Catch」プログラムを導入。トーナメントで釣り上げたバスをケアするために大型のライブタンクに入れ、計量が終わったあとにリリースした。これが後のキャッチ&リリースに繋がる。
10月、スコットとB.A.S.S.は産業による水質汚染に反対し、水質浄化法が可決される。
1975年ブルショールズレイクで開催されたアーカンソーインビテーショナルでカリフォルニア出身のディー・トーマスが「フリッピン」で一躍有名に。

1980年代

1983年アルフレッド・ウィリアムズがアフリカ系アメリカ人として、初めてのバスマスタークラシック出場権を獲得。試合の成績は10位。
1984年リック・クランがバスマスタークラシックで優勝。各日、首位の釣果を記録し、最終スコアでは2位の選手を25lb(約11kg)以上突き放した。最終日のウエイインステージでは、副大統領のジョージ・H・W・ブッシュとアーカンソー州知事のビル・クリントンが来賓。
1986年長年の従業員であったヘレン・ゼビアを中心に投資家がB.A.S.S.を買収。
1988年ジョージ・H・W・ブッシュが大統領に選出。ニューヨークタイムズでは、彼のお気に入りがバスマスターマガジンであることを報じた。
1989年より広く情報を提供するために、B.A.S.S.Timesをタブロイド紙に変換。

1990年代

1991年ヴォジャイ・リードが女性初のアングラーとして、B.A.S.S.トーナメントをトレイル。ミズーリインビテーショナルのトルーマンレイクにてデビューした。
1993年ケンタッキーレイクで開催された、ケンタッキーインビテーショナルで田辺哲男がB.A.S.S.史上初の外国人選手として優勝。
1994年ノースカロライナ州ハイロックレイクで開催されたバスマスタークラシックでブライアン・カーチャルが優勝。その5ヶ月後、飛行機の墜落事故が発生し、23歳という若さで亡くなった。
1999年4月、マーク・テイラーがカリフォルニアデルタで開催されたウエスタンインビテーショナルにて、B.A.S.S.史上最大魚となる14lb9oz(約6.6kg)のラージマウスを釣り上げた。

Photo by B.A.S.S.

2000年代

2001年フロリダ州レイクトホで開催された、バスマスターTOP150の初日、ディーン・ロハスは5本リミットの最重量記録となる45lb2oz(約20.4kg)のウエイトを持ち込んだ。ロハスは4日間合計で108lb12oz(約49kg)のスコアで優勝。4月 ESPNがB.A.S.S.を買収。
2002年7月、ケビン・ヴァンダムがアングラーとして初めて、ESPYベストアウトドアスポーツアスリートを獲得。
2004年8月、大森貴洋が外国人選手として初めてバスマスタークラシックを制覇。
2006年バスマスターエリートシリーズが発足。初戦はイッシュ・モンローが優勝した。サンティークーパーレイクス戦では、プレストン・クラークが4日間のウエイト記録である115lb15oz(約52kg)を打ち立てる。
2008年バスマスターエリートシリーズにマーシャルプログラムを導入。

Photo by B.A.S.S.

2010年代

2010年ジム・コープランド、ドン・ローガン、ジェリー・マッキニスがESPNからB.A.S.S.を買収。
2011年7月、スティーブン・F・オースティン州立大学のアンドリュー・アップショーがカレッジB.A.S.S.ナショナルチャンピオンシッププログラムから、初めてバスマスタークラシックの権利を得る。B.A.S.S.がアラバマ州バーミンガムへ拠点を移す。
2012年バスマスタークラシックとエリートシリーズにて、複数のルアーが付いたリグを禁止にする。B.A.S.S. Nationに組織名を変更。
2014年ポール・ミューラーがガンターズビルレイクで開催されたバスマスタークラシックの2日目に単日レコードとなる、32lb3oz(約14kg)を記録。
2016年セントジョンズリバーで開催されたバスマスターエリートシリーズで、リック・クランが優勝。69歳3カ月30日という最年長記録を打ち立てる。クランは2019年に再びセントジョンズリバーで優勝し、自身が持つ記録を更新した。
2017年ジョーダン・リーがバスマスタークラシックで逆転優勝。翌年も優勝し、史上3人目の2連覇を成し遂げる。過去に2連覇したアングラーは、リック・クラン(1976、1977)とケビン・ヴァンダム(2010、2011)。
2018年B.A.S.S.設立、50周年を迎える。

2020年代

2020年バスマスターB.A.S.S. Nationカヤックシリーズがスタート。初戦はアラバマ州レイクローガンマーティンで開催された。
2021年バスマスターエリートシリーズ9戦とバスマスタークラシック、カレッジクラシック、一部オープン戦がFOXスポーツのプラットフォームで生中継された。12年間開催を休止していた、バスマスターレッドフィッシュカップチャンピオンシップが復活。
2022年5月 B.A.S.S.創業者、レイ・スコットが死去。
※敬称略

遥か先を行く、本場の凄み。アメリカの進化は止まらない。

世界で最も歴史があり、今現在も最先端をひた走るバストーナメント団体、B.A.S.S.。

最先端が指すのは、選手やトーナメント自体のレベルの高さはもちろんのこと、エンターテインメント性や地域貢献、環境保全活動など、そのすべてが高水準かつ、合理的に行われていることも含んでいる。初めてB.A.S.S.のトーナメントを見た人は恐らく誰もがスケールの大きさに圧倒されたはずだ。

その理由として、合衆国憲法のもと、州政府ごとに統治が行われるアメリカの風土というものはたしかに大きな要因のひとつではあるが、目先の利益や発展だけに捉われず、将来を見据えたB.A.S.S.の働きが今日のバスフィッシングを支えていると言えるだろう。

2023年で、B.A.S.S.が発足して、56年。半世紀以上に渡って彼らが作ってきたバスを取り巻く環境は一種の成功例であり、見本でもある。

日本のトーナメントの歴史もまもなく半世紀を迎え、2025年には赤星鉄馬氏がブラックバスを日本に移入してからちょうど100年になる。

今改めて日本のバスシーンに何を感じるか? B.A.S.S.の歩みと比較して、なにかを感じ取ってほしい。引いては、多くの人がより良き未来のバスフィッシングについて考え、行動し、日本の発展にも繋がればと願う。

トーナメントの仕組み

その年の活躍者が集う祭典

バスマスタークラシックにはエリートやオープン以外からも、昨年のクラシックチャンプ、カレッジチャンプ、チームチャンピオンシップウィナーなど、総勢55名がクオリファイされる。

湖の規模、人数、すべてがビッグスケール!

B.A.S.S.が運営するトーナメント、それが「バスマスター」主要となるカテゴリーは最高峰の「バスマスターエリート」と、上位選手がエリートへ昇格できる「バスマスターオープン」の2つ。そのほかに、カレッジ、ハイスクール、カヤックなど、その他細かいカテゴリーが存在する。

最高峰カテゴリーへの登竜門である、バスマスターオープンは年間全9試合。1試合当たり200人強の選手が出場する大規模な大会だ。その中で、エリートへ昇格できるのは、オープン全戦に出場し、年間成績上位9人まで。非常に狭き門である。

そして、最高峰のエリートシリーズでは、その狭き門をくぐり抜けた100人の猛者たちが全9戦をトレイルする。1試合あたりの優勝賞金が1000万円を超えるビッグドリームだが、その道もまた熾烈である。

そして、最も権威のある大会「バスマスタークラシック」にはエリートシリーズ年間上位や各シリーズの大会優勝者などの精鋭が集う。ただ一つの頂点を目指して。

最高峰カテゴリー、エリートシリーズに参戦する日本人は4名!

ベテランから若手まで、日本人選手が世界で活躍!

木村建太

Photo by B.A.S.S.

伊藤巧

Photo by B.A.S.S.

松下雅幸

Photo by B.A.S.S.

藤田京弥

Photo by B.A.S.S.

現在エリートシリーズには4名の日本人選手が参戦。それぞれスタイルも年代も違う4名が猛者たちだらけの本場でサムライ魂を見せつける!

B.A.S.S.2023の最新状況

日本人選手の暫定ランキング

2023年5月31日段階では5戦目までが終了している。『ルアーマガジン2023年6月号』発売時の日本人選手の年間ランキングはこちらの通り。

順位日本人選手名
32位藤田京弥
45木村建太
71位伊藤巧
96位松下雅幸

2023 エリートシリーズスケジュール

第1戦2月16〜19日レイクオキチョビ(フロリダ州)
第2戦2月23〜26日レイクセミノール(ジョージア州)
第3戦4月20〜23日レイクマーレイ(サウスカロライナ州)
第4戦4月27〜30日サンティークーパーレイクス(サウスカロライナ州)
第5戦5月11〜14日レイレイク(アラバマ州)
第6戦6月1〜4日サビーンリバー(テキサス州)
第7戦7月27〜30日レイクセントクレア(ミシガン州)
第8戦8月17〜20日レイクシャンプレイン(ニューヨーク州)
第9戦8月24〜27日セントローレンスリバー(ニューヨーク州)

昨年に引き続き、今年も2人の侍がクラシックへ!

伊藤選手が3年連続クラシックへクオリファイ、そして木村選手が悲願の初クラシック! ルアマガprimeムービーでは木村さんの初日に同船。動画をお楽しみに!

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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