《どう見てもほぼ玩具》ルアーってこんなでも釣れるんだぁ……フロッグプロダクツのこだわり過ぎたルアー達の歴史

「原点」。国内オールドタックルショップとしてスタートした『フロッグプロダクツ』が、トップウォーターブランドとして初めて制作したルアーが、ヘドンの『ファーストフロッグ』のレプリカだった。フロッグプロダクツ代表の荒井謙太さんが1個ずつハンドメイドで仕上げた『ファーストフロッグ』。そして『ファーストフロッグ』のデザインテイストを踏襲しつつ、機能性も兼ね備えた第2弾のルアーが、ご存じ『スーズーン』。やがてこだわりは釣りの面白さへと向かっていく。ギミック系ルアー、トイブリックシリーズ、ビッグサイズルアー。荒井謙太さんにフロッグプロダクツの歴史を紐解いていただいた。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 イカメタル特集

ギミック系ルアーへの挑戦【2010年頃】

パタパタ・ガンディーニ&コンペティション PATA-PATA GUN-DEENI & Competition

パタパタ・ガンディーニ&パタパタ・ガンディーニ コンペティション。

トイフロッグ・モーター TOY-FROG MOTOR

ギミック系ルアーとコラボ企画への挑戦

キャスト時に生じる抵抗力でゼンマイ駆動が引っ張られて、着水と同時にゼンマイが起動。その結果、ルアーテール部が水面でパタパタと動く。これがパワーパックというルアーの大まかな仕組みだ。パワーパックはアメリカの古いトイルアーだが、よく釣れるルアーとしても有名。このパワーパックはトップウォーターの世界では、2つの理由で『いわく付き』のルアーとして知られていた。第1にパワーパックを発売したアメリカのメーカーが次々と倒産していた。第2に自らアクションさせて釣ることを美徳とする、日本のトッパーたちにとってパワーパックは邪道との声も強かった。

荒井「邪道扱いをされる上に、会社倒産という呪いまであるパワーパックですが、とても面白いルアーであることは間違いありません。そして良く釣れる。だからこそ、イチから自分の手で作ってみたいと思いました」

パワーパックを発売したアメリカのメーカーが相次いで倒産しまった理由は、故障の多さではないか? と荒井さんは分析していた。

荒井「水面で使う精密機械、故障が多いのも頷けます」

荒井さんは数え切れないくらいの数のパワーパックを分解して、ゼンマイ構造を徹底的に研究。その結果、約5年の歳月を掛けてフロッグプロダクツ独自のゼンマイ仕掛けのルアーを完成させた。

荒井「ゼンマイは長い距離巻いた方がパタパタの持続力が長くなります。それにはボディが長い方が有利です。であれば、いっそのこと世界一短いボディで長時間パタパタが持続するルアーを作ってみたくなりました。それがトイフロッグモーターです。この世界一に、なんの意味があるのか分かりませんが、どうせ作るなら存在しないルアーを作りたい、という自分のこだわりですかね(笑)」

フロッグプロダクツ製のゼンマイ仕掛けルアーは、万が一ゼンマイ部分が故障しても、ゼンマイを簡単に交換できる構造になっている。

コラボ企画ルアーへの挑戦【2015年頃】

人造人間キカイダーコラボシリーズ

『人造人間キカイダー』『人造人間ハカイダー』は、フロッグプロダクツ代表の荒井さん世代が夢中になった特撮ヒーローだ。昆虫やスーパーカー、バイク、音楽などの、世の中の少年が愛することは、ほぼすべて大好きな荒井さんが、キカイダー、ハカイダーが好きでない訳がない。

荒井「キカイダー、ハカイダーの放映元である東映さんから、コラボカラーのお話をいただいたときには本当に嬉しかったです。キカイダーが映画公開された2014年頃に製品化しました。今でも思い出深いルアーです」

おもちゃ? ルアー? フロッグプロダクツの新境地

2015年頃トップウォーターの世界では、個性的なデザインのルアーで釣ることに喜びを感じるアングラーが増えていた。

荒井「ルアーらしからぬルアーで釣りたい! そんな思いを抱く方が多い時代でした。フロッグプロダクツでも、そうした方々の思いに少しでも応援できるように……なおかつほかにはない、唯一無二のルアーを作りたいと考えていました」

その結果誕生したのが『トイブリック・シリーズ』。

トイブルックシリーズ【2016年頃】

トイシップ Toy-Ship

ウッドドール Wood-Doll

ウッドベアドール Wood-Bear-Doll

トイカー Toy-Car

木製おもちゃの『モンキー』の産みの親として知られている、デンマーク出身のデザイナー『カイ・ボイスン』のデザインにインスパイアされて荒井さんが制作した『ウッドドール』や『ウッドベアドール』は、木の温もりを感じる暖かさがある一方で、多関節ジョイント構造という、ルアー的には複雑な動きを実現。これで釣れたら楽しい……という枠を超越して、ウッドドールの細かくジョイントされた手足のナチュラルな揺らめきが、ナーバスなバスにほどよくアピール。とにかく良く釣れるルアーとして有名になった。これまでのフロッグプロダクツの個性とは異なる『トイブリック・シリーズ』。

荒井「自分の中でも、ルアーデザインという側面だけではなく、おもちゃとしての側面も本気で追求した、新しいタイプのルアーでした。もちろん釣れるのは大前提ですけど(笑)」

ビッグサイズルアーへの挑戦!【2018年頃】

マッドラッド MAD-RAD

ホワイトファルコン White-Falcon

サイズへのこだわりを再認識

全長22cm。重量24g。テールまで含めると10連結の壮大なルアーが『マッドラッド』だ。テールだけで8連結あるが、このテールの動きの生命感が凄い! と発売当初から話題になっている。テールの完成なくしてマッドラッドの誕生はなかったと言っても過言ではない。

荒井「多連結のテールの中には特殊なPEラインを通しています。テールの素材は発泡ですが、強度を出すために外側はインジェクションの特殊加工が施されています。動かすと艶めかしく泳ぎます。生命感が抜群ですよ」

だが、荒井さんにとってマッドラッドの冒険は、10連結の多関節ジョイントだけではないという。

荒井「開発技術的には多関節は確かに苦労しました。ですが精神的にはリップ付きのトップウォータールアーを発売する……ということのハードルが高かったです。リップ=トップではない! という風潮も当時はありましたので、発売の決断はかなり悩みました。フロッグではマッドラッドの前にクレイジーウォブラーというリップ付きのルアーを発売していて、ご好評いただいていたので、その進化バージョンのイメージでマッドラッドを開発しました」

目論み通り、マッドラッドは発売当時のユーザーの心をがっちりとつかむことに成功した。そして、次に誕生したのがホワイトファルコン。

荒井「ホワイトファルコンはマッドラッドの派生系ルアーです。リップ系のマッドラッドに対して、ホワイトファルコンは羽根モノ系です。マッドラッドのフロントボディだけをホワイトファルコンに交換して、ドッキングさせることも可能です。ウイングでのクロールアピールに加えて、着水音、フラッシング効果、大きなシルエットなどのすべてが、3月頃のシーズン初期のビッグフィッシュハントに激効きするルアーです。ぜひ試してください」

荒井謙太さんのプロフィール

荒井謙太(あらい・けんた)

洗練されたデザインと完璧な機能性を兼ね備えた、タックル&ルアーを開発する日本屈指のトップウォーターブランド『フロッグプロダクツ』の代表にして、全アイテムのデザイン&開発を担当。開発したルアー&タックルの実釣テストのために、ほぼ連日フィールドへ出かけている。そのためトップウォーターゲームの実釣データが膨大。

ルアー付きムック『フロッグプロダクツ The KICK BACK』2023年4月24日発売!


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