
でかバスハンターとして世に広く知られる奥田学さん。実はその一方で、国内外を問わず、海や淡水の大物ゲームにも造詣が深い。いわば『フリースタイル』。そこで氏の釣行を深堀りすることで、新たなバスフィッシングの可能性を模索していく。
孤高のでかバスハンター四国を制す!
超濃密スキルが、悪条件を完全打破
奥田「予想通り、厳しそうやね……」
三寒四温の春。その三寒目に当たる日が今回の釣行初日。結果的には五寒へと続く最中、諸条件を加味して向かった愛媛・新宮ダム。バックウォーターを眼前に、奥田学さんはこう語り始めたのだった。
奥田「最高気温10度……下がり過ぎでしょ。ちょっと前まで20度越えてたのに。しかも、今日から雨。余計に釣りづらくなるやろね」
最上流に差す魚がいないどころか、小魚さえ皆無の生命観ゼロ状態。季節の進行としては、産卵後で回復し始めたバスが果敢にベイトを追ってもいい頃ではあるが……想定外の現実がそこにあった。
奥田「経験値の少ないフィールド、かつ日程も制限されている中で、ひとつひとつじっくりと探っていく時間はない」
次の釣り場として選んだのはやや下流側のシャローフラット。効率重視でまずはアーマジョイント190SFで広く探り、魚のコンディションを確認する戦略だ。
するとファーストブレイク周辺で食い上げバイト。その刹那、複数尾の姿を確認した。
奥田「この急激な気温変化で元気のないバイトやったね。でも、魚は季節的にいるべき場所にいることがわかった」
すかさずフォローで投入したコブシのジグヘッドリグが奏功。だが、しかし、その後が続かない。
奥田「彼らはただ者じゃない……。ルアーを投げた瞬間に見切られる。気付かれないようにアプローチしても、今度はラインを見て人間を察してしまう……。スーパー天才級や……」
移動した先は、普段から攻め続けられているであろう場所だった。ディープ隣接のシャローフラット、フィーディング場として理想の地形には50cm前後のスクールが見えた。だが、人間からも見やすい分、魚からも察知されやすいのは必然だった。
奥田「今をモノにしんかったら、ほかはもうない」
何かを感じた奥田さんは、バンタム1711MH+-SB/2にセットしていたクローラーベイトを高比重ノーシンカーのマンバへスイッチ。2.4gのネイルシンカーを挿入して、ラインをよりボトムへ密着させたドッグウォークを開始。
そして、遂にそのときが来た!
「サーチ&バイト」希薄な土地勘を覆す読みとワザ
季節が逆戻りする冷雨……サーチ&バイトで活路を!
奥田「昨日47を釣った場所に1番可能性を感じている。あのタイミングが時合だったとしても、地形の条件は整っているだけにチャンスはあるはずやと思う」
2日目がスタート。こう道中で語った奥田さんだが、現場に着くと期待を裏切られたことに気付く。
奥田「シャッドキルウェザーや……。夜中に降り続いた冷たい雨でシャローは壊滅やね……」
生命観ゼロと見るや、大きく進路を変更。前日は上~中流を見て回ったが、この日は「より天候変化の影響を受けにくい」中~下流へとエリアのシフトを決断した。
地形の条件としては前日と同様に、ディープ隣接のシャローフラット。パターンフィッシングと言って良い。季節の進行がより早いエリアはさらなる数が見込めると踏んだのだった。この読みは、誌面をご覧いただいている通り、見事に奏功したことは言うまでもないだろう。
奥田「サーチ&バイト。ビッグベイトで魚を見付け、獲り切れない個体はフィネスでフォロー」
冠水ブッシュカバー周りで50cmに肉薄する40cm台後半を3連発。実に見事な展開。



最後に奥田さんから〆の言葉。
奥田「午後には大雨で釣りは続行不可能な状態に。ダムは増水や足場の悪化という危険性もあるので、早めの避難を」
残った時間はご当地グルメを存分に楽しみ、帰路へと向かった。
奥田学さん使用タックル
『道の駅・霧の森』でご当地グルメを堪能
奥田学さんのプロフィール
※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
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