「梅雨時はアジングに最適な季節です」と話すのは、アジングの名手であるトミー敦さんだ。この時期は、アジが群れをなして港周りに寄るのが特徴。アジが捕食するベイトを見極め、適材適所の攻めを繰り出せば、夢のような大釣りも体験できちゃうのだ。そこでトミーさんに初夏のベイト別ワームセレクト術&操作法を教えてもらった。
●文:ルアーマガジンソルト編集部
解説アングラー紹介
トミー敦(とみー・あつし)
富山県出身で現在は大阪在住。ルアマガソルト名物企画「アジング王バトル」では初代王者に輝くなど、釣りの腕もセンスもピカイチ。多彩なテクニックをメディアで披露しつつ、アジングの楽しさを追求&啓蒙し続けている。ティクトの”顔”として知られているが、SAMARブランドではプロデューサーとして活躍している。
ワーム選びの基本は、シルエットと波動!
今回の実釣、テーマは梅雨から初夏にかけてのアジング。このタイミングは、アジングにおいて釣りやすい時期でもあると解説するのは、ティクトのトミーさん。
トミー「梅雨から初夏になると、沖から回ってきたアジが港内に溜まります。さほど遠投せずとも簡単に群れを捉えられるんです。ビギナーがアジングを始めるのにぴったりだし、数釣りだって狙えちゃいます」
トミー敦さんが訪れたのは、瀬戸内海に浮かぶ周防大島だ。これから夏にかけて20〜25cmの群れがよく接岸するという。魚影が濃いので、とりあえず1尾釣るのはとても簡単だ。
しかし、コンスタントに釣果を得るのであれば、魚の状況を読み、的確な攻めを繰り出す必要がある。トミーさんいわく、数釣りにはと「アジのベイトを探り当てる」ことがキーだという。
とはいえ、難しいことは一切なし。①おおまかにアタリを付けてワームを選び、②基本的な誘いを試し、③アタリが増えるように誘いをアレンジするだけ。
中でも注目したいのはワーム選びだ。アジングにおいてどんなワームを使うかは釣果に直接的な影響を与える。意識すべきはシルエット、そして波動の強さ。この2つに留意してルアーチェンジを繰り返せば、おのずと当日の最適解ワームにたどり着けるはず。
初夏のある日。トミーさんは日没の2時間前に現場に到着。明るいうちに付近を下見し、ポイントの状況を頭に叩き込んでおく。
トミー「視界の利かない夜間でも、釣り場の状況をイメージできれば、釣りを有利に展開できます。実際にリグを投げ、キャストの距離感をつかんでおくことも大切ですね」
いざ準備万端。さっそく梅雨のベイト別ワーム選び&基本的な操作法を解説してもらおう!!
タングステンジグヘッド『アジスタ! TG』を活用! 発売は9月頃!
トミー「高比重タングステンジグヘッドの利点は、ヘッドのサイズを小さくできること。水の抵抗を受けにくいので、操作感が大幅に高まるんです。鉛製だとヘッドがデカいから、水の抵抗でラインが伸び(あるいはサオ先が曲がり)、操作感がボヤけることがある」
トミー「でも、ヘッドの小さなタングステンジグヘッドならよりダイレクトに操作できる。それでいて、アジスタ!の特徴でもある、ジグヘッド正面に水受け用の面を作ってあるので、軽いウエイトを使ったときにも操作感が失われにくい」
2年半の開発期間をかけ、ついに完成直前まで漕ぎ着けたアジスタ!のタングステンモデル。遠投による沖狙い、沈降速度&高感度性能を活かした深場&ボトム狙いでも活躍。発売は9月頃を予定しているとのこと。
梅雨アジング用 対近距離タックル
梅雨時はアジが岸際に寄るので、近距離戦用のショートロッドがおすすめ。ソリッドティップ採用の高感度モデルならば小さなアタリも明確に感知でき、瞬間的なアワセや送り込みといった動作もしやすい。
リールはライトゲーム対応の1000番クラス。ラインは、エステル0.3号+フロロリーダー0.8号を組み合わせる。リーダーの長さは、トップガイドに巻き込まないくらい(今回は20〜30cm)が目安となる。
【スラムUTR-55 プロト(ティクト)】
ティクトのアジング用フラッグシップモデルが待望のリニューアルを果たす。全長は5ft5in。堤防や岸壁沿い、常夜灯周りの小場所を探るのに最適。
極細ショートソリッドティップ(約20cm)を採用し、ガイドにはトルザイトリングを搭載。まさに異次元の高感度を実現している。トミーさんいわく、現在の完成度は約8割。来春には店頭に並ぶ…かも!? アジングファンよ、刮目して待て!!
トミーさん実践!ベイト別ワームセレクト例
梅雨時の主なベイトはアミ、小魚、多毛類の3種類だ。アミパターンを基準としつつも、カタクチイワシやイカナゴが寄っているときは小魚パターン、月明かりの夜はバチパターンも試したい。トミーさんに実績ワームを挙げてもらったので参考にしよう。
なお、ショートバイトが多発するとき、どうしても小さなワームを選びがちだが、逆に大きなワームを付けることで「深い吸い込みを誘発する」という作戦もある。この時期に覚えておきたい技だ。
ワームセレクト◎小魚パターン
トミー「アジが小魚を捕食しているときは、2.5inクラスのワームが効果的。エサとなる小魚の種類には地域性があり、瀬戸内であればカタクチイワシやイカナゴなど。これはシーバスなどの他の釣りと同じ。ソルトルアーの経験があれば、その地域で、その場所で、アジが何を食べているかイメージしやすいはず」
その場合の、ワームのアクションはどんなイメージですか?
トミー「重めのジグヘッドを使い、ルアーの存在感をアピールしながらキビキビと操作しましょう。夕マヅメはアジが活動的になるので、まずはこの小魚パターンから試すとといいかも!!」
トミー「ブリリアントは、ティクトのアジング用で最も波動が強い。リングボディ+大型パドルの組み合わせは強烈な水押しを生む。僕が自己記録の51cmを釣ったのもコレ。他にも40cm以上をたくさん釣ってます」
トミー「アジボッコは、松ぼっくりような凹凸ボディが面白いでしょ!? ボディが空気をはらみ、水の抵抗を受けることで強く、しかもスローに見せられる。それでいてテールは細いので、喰わせ効果はかなり高め」
トミー「ルアーの存在感を強調すべく、クイックな操作を意識します。『このときはこのアクションが有効……』という決まりはないので、ただ巻き+シェイク、リフト&フォールなどを試してアジの反応を見る。時折ピタッとアクションを止め、喰わせの間を取るのも効果的だったりしますよ!!」
ワームセレクト◎アミパターン
アミパターンは、アジングにおける定石。この時期も、まずはこれから試したい。なかでも基本となるのは、1.5in前後のピンテールワームを用いたカーブフォールの釣り。以下にて、トミーさんに基本操作を解説してもらったので、ぜひ習得してもらいたい。
アミパターンでは、ワームのシルエットや波動の強弱が釣果に大きな影響を与える。そのため、ルアー交換を繰り返し、当日の状況に合ったワームを探り当てよう。最適解を見つければ、それこそ1投1尾のペースで釣り続くのだ。
【アミパターンワームセレクト例】
トミー「メタボブリリアント1.5inは、メタボブリリアント2.5inのダウンサイジングモデルです。サイズは小型ですが、ボリュームのあるボディと幅広パドルの効果で、強めの波動が出せるのが特徴です。アミはもちろん、遊泳力のないエサを食べているときに有効なワームです」
トミー「ギョピンは梅雨時、特に使用頻度の高いワーム。通常の釣りであれば、まずはコレからゲームを組み立ててもいい。大きく曲がったボディとテールが魅惑的な微波動を生み、低活性アジにも口を使わせる」
トミー「アジボッコ1.5inは、メタボブリリアント 1.5inよりもさらに喰わせに寄せたモデル。アタリはあるのに乗らない、そんなときに投げてみたい。カーブフォール中でも、極細テールがしっかり誘ってくれます」
トミー「まずは軽めの縦トゥイッチで、フォールさせるための高さを稼ぐ。狙いのレンジまで沈めたら、サオ先で軽くトントン。そこからカーブフォールでスーッと沈める。これが基本です」
トミー「絶対ではありません。縦トゥイッチ(=気づかせ効果がある)の回数や強さを変えたり、カーブフォールの長さを調節したりと、魚がいちばん反応する方法を毎回探ってください」
ワームセレクト◎多毛類パターン
初夏から梅雨にかけて、忘れてはならないのが多毛類(バチ)パターンだ。活躍するのは、2.5in以上のロングワーム。トミーさんは主にフィジットヌード 2.7inを愛用する。多毛類パターンが特に有効になるのは、河川絡みの釣り場を攻めるとき。
リバーアジングをはじめ、河口や運河に近い漁港/港湾を探るときに試したい。月明かりの夜(大潮や中潮)にバチがたくさん湧くので、そんなタイミングを狙い撃とう。ボトムバンプ+ステイのほか、表中層をゆらゆら漂わせるのもあり。
【多毛類パターンワームセレクト】
フィジットヌード 2.7in[ティクト]
トミー「フィジットヌード2.7inは、喰わせの王道ロングワーム。でかアジ狙いに実績があります。2.7inと長さがあるわりに、リブもなく、ツルンとした形状で微波動を生む。ボトムステイ中は、テールのみが多毛類のようにふわふわと漂い、アジを誘います」
おすすめはボトムバンプ+ステイ。アジスタTGは硬度が高いため、ボトム接触時の感度に優れる。底質がわかりやすいので、水中でのアクションをしっかり頭に思い浮かべながら釣れる(もちろん、表中層のバチパターンが有効になることもあるので、念のためレンジチェックは忘れずに)。
梅雨から初夏にかけて、アジングが楽しめるシーズン。トミーさんが解説してくれたワームセレクト術を参考に、是非、さらなる釣果UPに挑戦してみてほしい。
ルアーマガジンソルト2023年8月号に記事掲載!
2023年6月21日に発売した、ルアーマガジンソルト2023年8月号には、今回の記事の後半部分も含めた全ての内容が掲載されている。続きが気になった方は、是非とも本誌でチェックしてみてほしい。
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