最近、需要が高まりつつあるボートアジング。ボートと聞くと、コストが気になってしまいがち、どうやって利用すればわからないという人も多いかもしれないが、実は慣れてしまえば、肩肘張らずに楽しめるのだ。魚もたくさん釣れて、サイズも大きい!? 尺アジ、ギガアジを釣りたければボートに目を向けよう。
●写真/文:ルアーマガジンソルト編集部
アングラー&実釣フィールド紹介
家邊 克己(やべ・かつみ)
アジングの人気メーカー、サーティフォーの代表。超実戦主義を標榜し、アジングを主軸としたライトゲームアイテムの開発を行う、アジングの名手。
陸っぱりだけじゃないアジングフィールド
アジングという釣りは、ある程度まとまったアジの群れを見つけ、そこからゲームを組み立てていく釣りだ。陸っぱりでもそういったポイントを見つけさえすれば、かなり面白い釣りが楽しめるのだが、昨今の釣りブームも相まって、陸っぱりでのポイントには先行者が!なんてことも多い。諦めることなかれ。
そういったときこそ、地元の港の遊漁船に目を向けてみるべし。意外なパラダイスが広がっているものです!
船釣りってお高いんでしょ? いいえ、意外にコスパがいい!
今回の釣りは新潟県の港から出るアジング船に注目。新潟は首都圏からもプチ遠征程度の距離。しかも、出船さえできれば、数もサイズも期待できる。
今回は新潟県の間瀬港から出船する『光海丸』さんを利用。実は新潟には光海丸さん以外にもアジングをさせてくれる船があるうえに、近年、新潟近海のアジは数が出る上に、型がいいのだ。尺アジ、ギガアジが比較的簡単に釣れる。家邊さんが勧めてくるのも無理はない。
首都圏から、数が釣れてサイズがいいフィールドに陸っぱりで出向こうとしても、それなりに交通費がかかってしまう。そう思うと地元近辺に良い船があれば利用するのも手だし、少々、遠征することになっても、グンと釣果の確実性は上がるのだ。
今回のボートアジングでは、ベイトロッドのGUIDEPOST EMR-58bを使用
普段、陸っぱりで使っているジグ単のロッドで十二分にボートアジングは楽しめる。今回はグリップエンドが長く、ボートアジングでの操作感が良いガイドポストのボート用モデルを使用。
【使用タックルデータ】
- ロッド:GUIDEPOST EMR-58b(サーティフォー)
- リール:17カルカッタ・コンクエストBFS-HG(シマノ)
- ライン:サーパスPE.0.25(サーティフォー)
- リーダー:ジョイントライン1.2号
ARメソッドはなぜ、船のアジングの強い味方なのか?
ARメソッドはいわゆるウエイト誘導式のキャロライナリグ。サーティフォーの家邊さんが多用するリグで、エキスパート用のリグだと勘違いされることもあるが、実は初心者でも非常に使いやすい。
家邊「基本の使い方は、底までオモリを沈めて、数回巻いて止めるだけ。レンジを調整するための巻き数は、リールの1回転がどれくらいの水深を巻けるか理解しておけばいいんです。船長の指示棚まで巻いて止めるだけで魚が釣れます」
だいたい、遊漁船の船長は、現在のポイントの水深と、魚が群れている層をアングラーに知らせてくれることが多い。なので、オモリを一度沈めて、リールのひと巻きが約70cmの機種なら5回ハンドルを巻けば3.5m底から上がった位置に仕掛けがドリフトすることになる。
家邊「ジグ単の釣りで使っていたタックルをそのまま利用できますし、操作感もジグ単の釣りに似ています。オモリが誘導式になっているので、バーチカルに落とす際にもトラブルが少ないのもビギナー向きだと思いますよ」
サーティフォーから発売されている専用のアタッチメントを使用する必要はあるが、システムを組んでしまえば使い方は単純なリグなのだ。
トラブルレスなARメソッド
システムにはSタッチ(サーティフォー)と呼ばれる専用のアタッチメントが必要になるが、装着方法はマニュアルを見れば簡単にできる。船の場合、数が釣れるのでグリップエンドが長く手返しが早いベイトロッドのタックルがおすすめだが、基本的に普段、陸っぱりで使っているスピニングロッドが流用できる。
【アジング用仕掛け ARメソッドの特徴】
- ジグ単のような操作感
- 幅広いレンジ攻略が可能
- 操作が簡単。誰でもできる
- 状況に合わせて素早くリグを調整できる
- 誘導式なのでトラブルが少ない
アジの泳ぐ水深は刻々と変わっていくのだが、その水深をくまなく簡単に探っていける点がこのメソッドの最大の特徴。狙う水深にリグを止めるだけでアタリが出る。
ボートに乗れば釣れるチャンスは増える…が!
今、好調だと言われるフィールドに出向き、ボートに乗船すれば、グッとアジを捉える確率は上がるわけだが、ゲーム性が薄くなるということはない。より数を釣る、より大きな魚を釣るということを意識して釣りを組み立てる必要がある。
今回の取材では、ほぼ30cmを超えるアジが一投ごとに家邊さんの竿を曲げたが、これに至るまでには様々なテクニックを駆使する必要があった。
【ワームのカラーローテや種類のローテで調整】
例えばアジだけでなくサバが群れに混じってるために、そのサバを避けてアジを釣るなんてのも、フィールドの状況から見極めてやってのけたのが家邊さんだ。こういった釣れる状況の中でも最適解を求めていくことでアジングのスキルがあがっていくのだ。
尺もギガも抜きあげて時間短縮!
家邊「数が釣れだすと、タモ入れの時間も縮めたい。そんなときは、リーダーを敢えて太く長めにして、抜きあげる時にそこを手で持ってたぐるようにすれば、簡単に抜きあげられます。ギガアジでも抜きあげれますよ(笑)」
他魚種(サバ)の猛攻をかわしてアジを釣る
入れ食いモードになったのはいいが、サバの活性が異常に上がってしまい、アジが狙って釣れないということもしばしば。
家邊「そういうときは、仕掛けのフォールスピードを意識して遅くすること。あと、アジを釣り別けるなら、狙ったレンジに到達したら無駄な動きをせず止めること。これはセオリーのひとつです」
ジグフックのウエイトを状況に合わせて調整
家邊「タックルのバランスも大事です。今回も夕方0.5gのジグヘッドを使っていたら、魚のノリが悪かったのですが、0.3gに変えた途端に喰いがよくなりました。これを比重の軽いゼログラヘッドにすることで更に精度があがりました。こういった状況に合わせた調整にジグヘッドの重さを変えていくのは有効です」
ルアーマガジンソルト2023年8月号に記事掲載!
2023年6月21日に発売した、ルアーマガジンソルト2023年8月号には、今回の記事が掲載されているので、気になった方は、是非とも本誌でチェックしてみてほしい。
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。