アジングのデイゲームを成立させる「5つの条件」

アジングはジグ単でナイトゲームが王道中の王道だが、日中も、そして多彩なリグでアジングを楽しんでいるのが渡邉さんだ。「釣果を伸ばすには、今、アジがどこで何を食べているかを考えます」。その理論を初夏の東北、日本海で実釣解説。

>>アジングデイゲーム5つの条件<<

●文:ルアーマガジンソルト編集部

2024 シーバス特集

登場アングラー&実釣フィールド紹介

渡邉 長士(わたなべ・たけし)

千葉県房総半島外房エリアの出身・在住で、幼少期から海釣りに親しむ。10代でルアーによるアジ釣りを始めた房総アジングのパイオニアだ。旬の獲物を追ってサオを振るマルチアングラーでもあり、近年はサーフアジングやオオニベにも傾倒する。DAIWAフィールドテスター。

山形県
今回の実釣は山形県で行った。出羽富士の異名を持つ鳥海山を望む景観と庄内米の米どころとして有名。海に目を向ければ庄内平野を流れる最上川が日本海へと注ぎ、沿岸は魚種が豊富。アジをはじめ、シーバス、青物など様々なターゲットが狙える。

場所、時間帯、アクションの組み合わせで最適解を導き出す!

取材スタッフは、昼ちょうどに最上川河口付近にある酒田港で渡邉さんと取材陣は合流。

渡邉「ちょっと早めに到着したんで港周辺を見てきましたけど、なかなか厳しそうですね」

厳しいというのは?

渡邉「数日前に降った雨の濁りと、ちょうど今、田植えシーズンで代掻きの影響で最上川がカフェオレ状態。河口周辺の港湾部はほぼ濁りが入っています」

河口周辺は濁りで釣りにならない?

渡邉「いや、サビキ釣りの人は居て、イワシ、小サバは釣れているんですよ。ただ釣果を聞くと、皆さん、アジは居ない…と。濁りよりそっちのほうが問題です」

アジのシーズンとしては悪くないですよね?

渡邉「梅雨頃はアジがベイトフィッシュを意識しやすい時季で、河口絡みの港湾部や漁港は好スポットになります。ただ、アジングのシーズンは地域によっても異なるし、関東のように魚影が薄いエリアほど、明確なシーズナルパターンは成立しにくいです。なので自分は、どんな時季でも狙う場所、釣りやすいタイミング、喰わせやすいルアーのアクションを意識してシンプルに釣りを組み立てることが多いです」

シンプルに釣りを組み立てる? 具体的には?

渡邉「場所、タイミング、ルアーのアクションを組み合わせていけば、デイアジングも成立します。それを実釣でお見せできればと思います」

その言葉どおり、実釣当日、酒田のアジが渡邉さんの手にかかると、次々と捕獲された。

渡邉流!アジングデイゲームの組み立て方

具体的に、当日、渡邉さんがどのように、アジングのデイゲームを組み立て、そして釣果へと結びつけたのかを、項目ごとに見ていこう。

デイアジング1.「流れに付く高活性アジをドリフトで喰わせる」

実釣は晴天の真っ昼間にスタート。渡邉さんが最初に選んだ釣り場は、護岸から30mほど沖にある排水の流れの筋。

渡邉「日中でも流れに比較的活性の高いアジが付いています」

【ヒットルアー】
月下美人アジングジグヘッドTG1.0g(DAIWA)+月下美人アジングビーム(DAIWA)

流れの筋の沖側はキャロ、手前はジグ単で探り、リグを流れに馴染ませるようにシェイクを入れながらドリフトすると、この日は沖側でアタリが連発。

デイアジング2.「アジ釣りの人が並ぶ場所は1級スポット」

渡邉「デイアジングの釣り場探しで、わかりやすくて確実なのがサビキ釣りの人たち。釣り人が立ち並び、アジが釣れていればそこは1級スポットです」

実釣時もサビキ釣りの釣果を調査。だが、この日はイワシ、小サバばかりで1級スポットは成立しなかった。このようなこともあるのが釣りの現実。

デイアジング3.「日中にアジが溜まりやすいのは深場やシェード」

実釣時の排水の流れやサビキ釣りなどスペシャルな要素がない場合、日中のアジを探すには?

渡邉「基本は深場とシェードをチェックします。漁港内だったら水深がありそうな真ん中付近。港の角や護岸、係留船が落とす影も良い」

渡邉「九州など魚影の濃いエリアは、時季によってはシェードにアジがごそっと溜まっていることもあります」

デイアジング4.「梅雨〜初夏はベイトフィッシュを捕食するアジを意識」

渡邉「季節的なことでいうと、初夏から梅雨の頃まではベイトフィッシュを意識して釣りを展開することが多いです」

具体的には、アジが捕食するベイトフィッシュは、どのようなものが想定されますか?

渡邉「アジの大好物のシラスです。関東ではシラス漁が盛んになる時季で、海水温も全国的にみてマアジの適水温といわれる20℃前後のところが多い。水温が上がりすぎるとマメアジに変わるので、サイズを狙うなら真夏前がおすすめです」

デイアジング5.「アクションを変えながらアタリを持続させる!」

実釣当日、渡邉さんのロッドワークを見ていると、頻繁にルアーアクションに変化をつけていた。これも、デイアジングを攻略する上での1つのキモとなる。

渡邉「ベイトは小魚なのか虫なのか。とにかく流されてくる何かで、流れに同調させるようにドリフトさせると喰う。スレるとアタリが止まりますが、アジは間違いなく居る」

渡邉「細かいシェイクからちょっと強めのトゥイッチなどアクションを変えるとアタリが復活します」

渡邉さん使用タックル紹介

渡邉さんのアジングに、今年新戦力として導入されたのが、DAIWAが新たに発表した23エアリティだ。渡邉さんは、このリールを非常に高く評価している。

渡邉「このグレードのリールの中ではアジングに最強です。そう言える一番の理由は軽さ。自重だけでなく重量バランスが手元に近くなり、持ち重り感も軽くなっています」

渡邉「ローターも前モデルより軽量化、低慣性化されて、これはどういうメリットをもたらすかというと、リトリーブ中のアタリがさらにとりやすくなった。ボディの剛性が高く、アジを掛けてからの巻き取りも軽いです」

<使用タックル>
左:ジグ単用
ロッド:月下美人EX 66L-S“凛”
リール:エアリティLT2000S-H
●ライン:UVF月下美人デュラセンサー+Si2 0.15号
●リーダー:月下美人フロロリーダー3lb(以上DAIWA)

右:キャロ&ダウンショット用
ロッド:月下美人エアAGSアジング710L/M-T
リール:エアリティLT2500S-XH
ライン:UVF月下美人デュラセンサー+Si2 0.4号
リーダー:月下美人フロロリーダー6lb(以上DAIWA)

アジングと言うと、アジが魚影がある程度まとまりやすいナイトゲームが主流というイメージがあるが、一方で、フィールドと攻略法によっては、日中でもしっかりと釣果が出せることがわかった。皆さんの身近なフィールドでも是非、デイアジングにチャレンジしてみてほしい。

ルアーマガジンソルト2023年8月号に記事掲載!

2023年6月21日に発売したルアーマガジンソルト2023年8月号には、今回の記事がフルで掲載されている。続きが気になった方は、是非とも本誌でチェックしてみてほしい。


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