【最速入門】とりあえず川に立ってから悩もう。フライフィッシング超・入門【小物や装備解説】

2024 新製品情報

ロッド、リール、フライライン以外に最低限必要なアイテムの詳細解説

フライフィッシング用のリーダー

本来ならば、このアイテムの解説の前に、フライラインとはなんぞや?って解説しなきゃいけないのですが、ここでは数行でそれを解説し、リーダーの解説に入ります。フライラインというのはフライフィッシングで使用するラインで、本体そのものは『太くて、テーパーがついてます。太い=重いなので、その重さでロッドを曲げて軽い毛針を投げ釣りを成立させます』。

で、『あんな太いラインに毛針なんて結べるの??』となると思う人が結構いるのです。えっと、結論を言うと結べません。なので、太いフライラインの先端にリーダーと呼ばれる、これまたテーパーがついた専用のナイロン糸、もしくはフロロカーボン製の糸を結ぶのです。これが、フライフィッシング用のリーダーです。

この専用リーダーの特徴もフライラインと同じくテーパーがついています。テーパーとは簡単に言うと、根本は太く、先っぽは細くなってますという『次第に細く、先細りになる』糸になっています。

なんで、そうなってるの? フライラインと理屈は同じなのですが、先っぽに結ばれるはずの毛針をムチのように遠くに運ぶにはそうなってるほうが力の伝わる効率がいい程度に今は思っておいてください。

各社から専用のものが販売されていまして、概ね200円前半から400円程度で購入できます。

『ん。棚まできたけど、数字や種類がいっぱいあって、よくわからねぇ。どれ買えばいいん?』

フライリーダーには以下のスペックが記載されています。

  • フライリーダーの全長(ft=フィート表記)
  • 先っぽの糸の太さを表す数字(数字のあとにXが記載されています)

あとは、その商品のブランドだったり、だと思います。『先っぽの糸の太さを表す数字』に関しては後述する『ティペット』の解説でさせてもらいますが、とりあえず長さは9ft〜12ftと記載されているパッケージのものを買ってください。で、糸の太さを表す5Xとか6Xとか書いてるのはドレを買えば?? 狙いたい魚によって多少変わってくるのですが、5X〜7Xと記載されているどれかを買って下さい。無難なのは6Xです。本連載は最終的にはヤマメやイワナという渓流魚を釣るというのを目標にしていますので、そのあたりで大丈夫です。

まとめると9ft〜12ftという全長スペック。5X〜7Xと書かれた糸の太さのものを選ぶ。これでOKです。素材については、ナイロン製がオススメです。フロロカーボン製を選ぶ理由が当面はありません。

当連載では取り急ぎAmazon、楽天市場での該当商品リンクを貼っていますが、可能なら商品を参考にしてショップで買っていただけるとありがたいです。

ティペット

リーダーにティペット??? なんで別れてるの??? と、すでに投げやりモードなみなさんすいません。ややこしいのはここまでです。

ざっくり解説しますと、フライフィッシングのラインの構成は

フライライン→リーダー→ティペット→(毛鉤)

ティペットというのはリーダーの先に結ぶラインのこと。釣り経験者向けに言えばリーダーが『道イト』。ティペットが『ハリス』です。ティペットは直接、毛鉤を結ぶ最先端部で、消耗する糸でもあります。フライラインは大事に扱えば数年、何釣行も性能を保ちます。リーダーは毎釣行で消耗する頻度。場合によっては2〜3釣行使いまわしたりします。ですがティペットは消耗品。短くなったり、痛んだらすぐに交換します。

フライフィッシングのティペットは大きくわけて2種類。ナイロンとフロロカーボン。ですが、当連載ではほぼナイロン製の使用をお勧めしています。そして、このティペットには独特の太さの表記があります。Xという表記です。Xの前には太さの指標となる数字が入ります。

真面目な入門記事なら5Xは何号と同じくらい。みたいな対応表を出すかと思いますが、号って言われてもわからない!って人も多いと思いますので以下のようにまとめました。多少前後しますがコレぐらいを基準に考えると良いと思います。この数字は大きくなるほど細くなります。ビギナーは9X以上の大きな数字のティペットは必要ないと思います。

  • 8X #21-22というフックに適合
  • 7X#18-#20というフックに適合
  • 6X #12-#17というフライフックに適合
  • 5X #6-#11というフライフックに適合

専用のティペットが売っていない場合はナイロンの0.4号〜0.8号あたりを買い求めください。ポンドの場合は3lbが0.8号5Xくらいですので、それよりも細いのを買うとよいです。困ったら6X、5X。ここがビギナーに扱いやすい細さですのでこちらをお買い求めください。

コスパのよいのはティペットというフライ商品名ではなく、ただのハリスとして販売されている、銀鱗などの商品ですが、そうはいっても専門商品は性能面、使い勝手の面で最適化されていますので、懐に余裕がある人は、専門商品を選ぶとよいでしょう。

毛鉤(フライ)

日本ではいずれはフライは自分で巻くもの。みたいな文化なのですが、別に人の作ったフライやお店で売っているフライを買っても問題ありません。近年はヤフオクやメルカリで安価にフライを仕入れることができます。もちろん、フライショップなどで選んで購入することができます。

とはいえ、何買ったらいいかわからない。と思います。ので、ネットを前提としてとりあえず、これを持っていてくださいというフライを紹介します。

  • パラシュート #14(検索ワード フライ パラシュート #14)
  • パラシュート#16(検索ワード フライ パラシュート #16)

パラシュートというのはフライの名前。固有名詞ではなく種類です。#14というのはフライのフックの大きさ。数字が大きくなるほどフックサイズが小さくなっていきます。一般的な渓流で使いやすいのは#14、#16前後。『最近の渓流はスレてるから、もっと小さいのがいいに決まってる』なんてドヤ顔するベテランの意見は無視していいです。

初心者はまず、この#14、#16サイズのフライをうまく扱えるようになれば釣果がグンとあがってきます。これですら小さいかもしれませんので#12くらいまでは選んでもよい許容範囲とします。フライフィッシングは地域性がある釣りではありますが、とにかくこのサイズのフライを最低6本は用意しておいてください。6本あれば、半日は釣りができるはずです。

ちなみに、今回、買ってくださいと指定しているのは水面に『浮かせる』フライで、フライフィッシングの特徴を最も生かせるといってもいい『ドライフライ』という種類のものです。基本的に本連載は、このドライフライを使って魚を釣ることを目標に話をすすめています。

結論。とりあえず、『パラシュートと呼ばれるフライの#14ってサイズを買う』です。

ラインをカットするハサミ

え? そんなの必要なの? はい。めちゃくちゃ大事です。このラインをカットするハサミ、もしくはカッターがないと1日、ものすごく不便を強いられると思ってください。めちゃくちゃ大事なアイテムです。爪切りでもいいので用意しましょう。

ただ、ちょっと上記のグッズだと格好は悪いので、ラインカッターと呼ばれる商品を紹介しておきます。カッターとニードルが付いているタイプが使いやすいですよ。フライは糸を結ぶためのアイが接着剤などで塞がっている場合がありますので、ラインカッターにニードルがあると、たとえアイが塞がっていてもこじ開けられてるからです。

フロータントと呼ばれる渓流のフライフィッシングでは無くてはならない重要アイテム

フロータント?? 実は、大枠をとってまでこのアイテムを紹介しているのは、当連載の渓流フライフィッシングにおいては、かなり重要なアイテムだからです。『フロータントを制するものは、渓流のフライフィッシングを制す』と大袈裟に言っておきます。

このアドバイス、他の入門書ではここまで声を大にしていいません。

フロータントとは、この釣りの重要アイテムである毛鉤(フライ)、いわゆるドライフライ(水面に浮かせて誘うタイプのフライ)の性能を飛躍的にアップさせる『浮力アップアイテム』なのです。

ドライフライというのは水面の表面張力にうまく浮かせられるように工夫されて巻かれています。そのドライフライに撥水効果などを与えて、よりその機能を際立たせて持続させるのが『フロータント』の役目です。

この、フロータントをめんどくさがらずに、毛鉤(フライ)に施すルーチーンを繰り返せるかで、釣果が『かなり』変わります。細かいこと言うと、浮き方で釣果が変わったりするのですが、いま、この記事の読者さんはそこまで細かいことを考えずに、どれだけ気持ちよく、毛鉤(フライ)を水面に浮かして流せるかが大事。

極論を言うと、1キャストごとにフロータントを毛鉤につける手間を惜しまない人ほど釣果は上がります。ドライフライの浮き具合は釣果に直結。はい、復唱しましょう。

この浮き薬である、フロータントはリキッドタイプ、オイルタイプ、ジェル&クリームタイプ、パウダータイプ、スプレータイプなどに分けられる。

フライフィッシングの世界に大きく足を踏み入れると、毛鉤に使っている毛の種類によりフロータントを使い分けたりするのですが、本連載で使いこなすことを目標にしているパラシュートというフライの種類の場合、どのフロータントとも相性がいいです。と、言うと解説が雑すぎるので、少し詳細に解説しておきましょう。

  • リキッドタイプ フッ素などの成分が溶け込んでおり、フライをリキッドに漬け込んで撥水効果を高めるタイプ。
  • オイルタイプ 撥水性の高いオイルをハケなどで塗布してフライに撥水効果を付与するタイプ。浮かせたい部分だけに塗布できるのと、リキッドに比べると持続力が高い。
  • ジェルタイプ チューブ系の容器に入っていることが多い。粘土は異なるがクリームタイプもある。こちらは手の指などに馴染ませて、フライの任意の部位に塗布することで浮力を持たせたい箇所を選んでいける。
  • パウダータイプ 代表的なのはティムコ・ドライシェイク。専用の容器にフライを入れ容器を振って粉状の撥水剤を塗布する。シリコンやフッ素などが塗布されることで撥水力が上がる。ハケでパウダーだけを塗るタイプもある。
  • スプレータイプ 撥水剤をスプレーで塗布する。フロータントの蓋を開けたり閉じたりのような手間がないので、最も便利。弱点は撥水箇所を細かく選びにくいこと。コスパが悪いこと。

上でも申し上げましたが、このフロータントの塗布のマメさは釣果に直結します。特に渓流を吊り上がっていくようなフライフィッシングの場合は、めんどくさくてもフロータントを頻繁に塗布して、フライの浮力を制御する人は釣果が格段に増えます。

なので、フロータントをさっと取り出して収納できるというような仕組みづくりは地味ですがテクニックなのであります。多少、毛鉤(フライ)の性能が悪くても、このフロータント次第でどうにでもなるとも言えます。

著者はフロータントメーカーの回し者かっ!ってくらいフロータント大事を力説しましたが、安心してください。この記事にクライアントは1件もありません。募集はしますけどね!

フライフィッシングに行く時の格好・装備

小物を入れる鞄は用意してください。小さいショルダーバッグでいいです。専用のものなども売られていますが、そこまで気にしなくていいです。またの機会に専用のものは解説します。

帽子・キャップ

こちらに関しては安全面を意識して被ってほしい装備です。ベースボールキャップが機能的には諸々ありましておすすめですが、そこまで気にしなくても大丈夫です。撥水性の高いものが釣りですのでオススメです。黒いキャップはおすすめしません。

偏光グラス

偏光グラスとは、ざっくり言うとサングラスなのですが、ただのサングラスではなく余分な光の反射などをカット(偏光)することのできるサングラスです。フライフィッシングの場合は水面に浮かんでいる毛鉤(フライ)を視認する必要があるので、水面が不必要に光っていると、それが見にくくなっています。高価なモノがオススメなのですが(最終的には買うことになると思います)、とりあえずということであれば、メガネチェーン店系で安価なのを見つけるか、あまり言いたくないですがユニクロにも夏場になると『偏光グラス』と銘打たれたサングラスが並べられています。取り急ぎは、それでもかまいません。グラスのカラーは『グリーン系』か『グレー系』が渓流はオススメです。

渓流内はどうしても照度が落ちがちなので、濃い色よりは薄いくらいのレンズが良いです。

タレックスというメーカーのレンズを使っている偏光グラスは、昔から釣りの世界では定番で高性能というところで認知されています。

メガネをかけている方はフリップタイプの偏光グラスがおすすめです。最終的には度付きの専用偏光グラスに行き着く釣り人も多いです。

短パン+スパッツ

実は、ウェーダーという釣り用の長靴を買ってくれといいたいところなんですが、気温、水温が高い場合は速乾性の短パンとスパッツで、じゃぶじゃぶ水に入ってしまうという選択肢もあります。足が露出していると危ないので、こちらも乾きやすいスパッツなどを履くのもよいでしょう。ラッシュガードで行動するのもアリです。

初夏から秋はこの格好が最適。他のアウトドアアクテビティにも転用できるのがグッド。アウトドアメーカーの沢登り用のスタイルでもOKですが、そうなるとウェーダーを購入するのがコスト的には安くなるかもしれません。

ウェーダー

ウェーダーは熟考してから購入してほしいのですが、基本的には透湿素材のウェーダーがオススメ。それ以外のウェーダーは安くていいのですが、暑い。蒸れる。最終的にはいいものが欲しくなります。取り急ぎネットで購入できそうなウェーダーも紹介しておきます。先ほど紹介した短パン、スパッツで3万円を超える商品を選ぶなら、ウェーダーを購入したほうがいいと思います。高価なものは10万を超えますが、機能的にはかなり高性能です。今回は入門記事ですので、比較的お求めやすい価格のウェーダーを紹介しておきます。リトルプレゼンツ、リバレイ、阪神素地などは安価な透湿生地のウェーダーを販売しています。

個人的には、シューズは別になる『ソックス』タイプがおすすめなのですが、ウェーダーとシューズが一体型になっているモデルはもあり、価格的にはそちらのタイプのほうが抑えられると思いますので、予算に合わせて選んでみるといいでしょう。

シューズが別のタイプをお勧めするのは、単純な機動性と安全性の話です。水に入らないで釣りをする場合でも次に紹介するシューズは必ず着用することをお勧めします。

最重要な安全装備『ウェーディングシューズ』

最後になりましたが、水辺で釣りをする上で、マストで手に入れていただきたいのが、実は専用のシューズです。いわゆるウェーディングシューズと呼ばれているものです。

最近、痛ましい事故が水辺で起こっていますが、水辺初心者のみなさんに知って欲しい、水辺の危険筆頭に挙げられる『危険』というのは、水深でも流れでもなく、水辺、水中の足場は超滑るということです。これをとにかく肝に銘じてください。

『サンダルが流れても取りに行かないを教える』じゃなくて、普通のサンダルなんて水辺で履くものじゃありません。ものすごく危険なので、川辺でグリップするウェーディングシューズを履いていただきたいのです。

そもそも水辺が滑るのかというと、石や岩などに苔や藻、水垢などが付着すると途端に普通のシューズやサンダルなどだと滑るのです。長靴も同様です。回避するには、そういった場所でグリップしやすい専用のフェルトやスパイクなどが装着されたシューズを着用することです。

釣りの場合は『ウェーディングシューズ』という名称で呼ばれています。ウェーダーのソックスタイプの場合は、ウェーダーと共にこのウェーディングシューズを合わせるのですが、今回のようにスパッツなどに合わせる場合は、沢登り用のシューズなどが代替できます。最近は水辺でのグリップを意識した機能性サンダルなどもありますので、そういったものでもよいでしょう。

できればくるぶしまでカバーするようなタイプがお勧めです。

以上、フライロッド、リール、フライラインの3点セットを買った後に揃えるべきモノ講座でした。後半のウェア類は場所により多少の変化はありますが、ウェーディングシューズは必ず購入するようにしてください(管理釣り場などでも可能な限り)。

ライフジャケットに関しては、諸々ありまして必須グッズには含めていません。状況により装着が有効な場合と、逆に危険な場合があるからです。ですが、有効な局面も多々あります。その場合は自動膨張タイプを買い求めず、フローティングベストタイプを使用することをお勧めします。あまり厚かったり、ゴツいタイプは避けた方が良いかと思います。渓流の場合はなるべく黒いカラーを避けることも書き添えておきます。

次回は、お金は出す!ただし無駄なモノは買わせるな!という皆様のために、フライロッドについて掘り下げようと思います。