ルアマガチームは釣り具の開発も過去に行ってきました。基本的にはオリジナリティを全面に打ち立てたアイテムがほとんどです。独自のブランドも投入してきましたが、『ルアマガ』というブランドの強みは企画力。商品の開発力ではありません。そこに立ち戻り、新しい『コンセプト』を立ち上げます。第一弾はエリアに特化することで、性能を先鋭化させたアジングロッドです。
●文:ルアマガプラス編集部(深谷真)
エリア特化型ロッドコンセプト『Aspecialize』(アスペシャライズ)
まず、コンセプトネーム『Aspecialize』(アスペシャライズ)とはArea(エリア=地域)とSpecialize(スペシャライズ=専門化・特化型)を組み合わせた造語です。
今までは『ルアマガ』というブランドのアイテムというとうことを全面に出していましたが、ロッドならロッドに強いメーカーがあり、ルアーにはルアーが強いメーカーがあります。基本的には、ルアマガではそういったメーカーにアイテムの開発をお願いし、ときにはコラボ、ときには自社ブランドで販売をしてきましたが、そもそもルアマガというのは『メディア』です。
メディアの強みは企画力と、プロモーション力。ルアマガはそこに注力し、アイテムの開発に関しては『強い』メーカーさんにお願いして商品開発を行う方が、さまざまな無駄なリソースを排除し、より洗練された道具を作り出すことができるのではないか。
そこで、もともとのルアマガのアイテム作りの原点。『釣り具メーカーとのコラボ』というスタイルに立ち戻り、新しいロッドの開発にかかりました。
ルアマガが提案したタックルコンセプトは『地域特化型』。その開発候補に上がったロッド群は以下の通り。
- 多摩川ウェーディングエリア用のシーバスロッド Tamagawa Special
- 荒川の護岸・手すりありな状況で活躍するシーバスロッド Arakawa Special
- 東京湾・ボートアジング・ジグ単特化ロッド Kawasaki Special
- 瀬戸内海・瀬戸内エリアなどの流速の速いエリアで使う、アジング用ロッド(ジグ単)Setouchi Special
- 北九州の陸っぱりアジングを意識したエリア特化型(ジグ単) No.9
- 北九州の陸っぱりエギングを意識したエリア特化型 Ikishima Special
- 福井県・九頭竜川河口で活躍するシーバスロッド Susano-O
- 湘南エリアにターゲットを絞ったショアジギングロッド Enoshima-Benten-SP
第一弾は『Setouchi Special』あらため『Ichikishima Special』
このいくつかのコンセプトを見て、興味示したメーカーの1つが『レジットデザイン』さん。ご存知、バスフィッシングのトーナメントシーンという過酷な性能が求められる現場で培われた知見をフィードバックし、最近はソルトシーンのロッド群の開発に力を入れているロッドメーカーです。
『アジングのメッカと言われる瀬戸内エリアで磨かれるアジングロッドってちょっと興味深いですね。開発に協力させてください』
その一言で、このコンセプト企画についてはソールドアウト! そこで、すぐに開発を進めるために、瀬戸内エリアに足繁く通う、アジングアングラーとコンタクトをとり開発がスタートしました。そして、出来上がった瀬戸内スペシャルのロッドは以下の通りのコンセプトで仕上がったのです(開発に2年から3年かかりました)。
ちょっと尖ったコンセプトに注目
さて、今回、販売する予定の瀬戸内エリア特化型のアジングロッドって、そもそもどんなコンセプト? 2〜3年ほどのテストを経て注目すべき点が固まりました。あまり、コンセプトがばらけても良いロッドができませんので、しっかりと絞り込みました。注目したのは以下の2点。もちろん、細かな瀬戸内特性は開発時に頭にぶっこみつつ、ロッドアクションは設計しております。
- 潮の干満差が激しいゆえの『潮流の速さ』
- 比較的足場高な防波堤エリアが多い
地元テスターとの話し合いでも、何度か取材に赴いて現地を知っているスタッフの知見とも合致したのが、瀬戸内エリアの『潮の速さ』。そんな最大公約数的に『潮が速い』海況になることが多い瀬戸内エリアで、最も使うことが多い『ジグヘッドの重さ』を徹底的にリサーチ。
そこから導き出されたひとつの答えが『1.2g』
この1.2gという重さのジグヘッドの使用比率が、非常に高いことに気づかされます。1.0gでは軽すぎるが、1.5gでは重すぎる。瀬戸内エリアの最適解のひとつが『1.2g』。
ひとつめのコンセプトは、『比較的、潮流のあるエリアで1.2gというジグヘッドを深く使いこなせるロッドデザイン』でした。
そして、もうひとつ。比較的、瀬戸内エリアのポイントは足場が高めの場所が多い。
ふたつめのコンセプトは『高い足場でも、安全に抜き上げることができるブランク性能』でした。
たった2つのコンセプトでも、ロッドに持たせる機能は多岐にわたります。例えば、ひとつめのコンセプトに紐づくのは『速い潮流の中で1.2gのジグヘッドを扱っても破綻しない潮感度』『流れにもたれても、腰が砕けないミッド性能』『潮流の中のドリフトでアタリを掛けていく最適解の模索→掛け調子よりもやや載せ調子』etc. 少し上げるだけでもこれだけの性能がロッドに求められます。そういった性能を見据えて、機能とアクションを磨き上げていきます。
このように、エリアに特化したコンセプトを徹底的に磨き上げていくことで完成したのが、今回紹介する『SKUAD SKS-ST55SUL-AJING Aspecialize ICHIKISHIMA-SP』
当初の予定ネームだったSETOUCHI-SPを少しだけ変え、ご存知、瀬戸内の宮島に祀られる『市杵島姫』をモチーフにICHIKISHIMA-SPとすることで『瀬戸内コンセプト』を体現しています。
名前のプチうんちく 宮島に祀られる『市杵島姫(いちきしまひめ)』は、宗像三女神のひとり。『龍』『流れ』『水の瀬』というキーワードに紐づく八百万の神々の一柱『瀬織津姫』とも同一神とされます。周りを水の瀬で囲まれた離島などに祀られることが多い神様で(江ノ島、大島、海辺の小島など)、七福神・弁天様とも同一視されたりすることから、『瀬戸内の流れを制する』そんなロッドコンセプトを名で現すのに相応しいと感じた次第です。縁起がいいので釣果もアップ!?
レジットデザインの『SKUAD』(スクアド)ブランドより一般発売!
はい。今回、Aspecialize(アスペシャライズ)のコンセプトを『SKUAD』というレジットデザインさんのブランドに融合していただいた形になります。ですので、レジットデザインよりこのロッドは発売されることになりますので、地元の釣具店などでもお買いもとめいただくことが可能ですし、レジットデザインというロッドメーカーのファンの皆様も、安心してお買い求めいただけるかと思います。
SKUADは、レジットデザインの中のソルトルアー系ロッドのブランド。オフショア系のロッドをかなり厚く展開してきた歴史があります。その一角に、基本的には陸っぱりよりのロッドを座らせていただきました。
バスのトーナメントシーンなどで人気の「レジットデザイン」がそのノウハウを携えてソルトウォーターシーンに殴り込み!注目のブランド名は『SKUAD(スクアド)』今回はそのブランドに注目した。[…]
価格については調整中でございます。スペックや特徴についても追ってご紹介させていただきます。ただいま鋭意製造中です。ロッドのリリースは本年度末から来年頭ごろになる予定。
『瀬戸内エリアの人しか意味ないロッド?』
コンセプトは『速い潮流エリアで、1.2gのジグヘッドを使いこなす』ロッドであり、『(足場の高い)防波堤などでアジを抜き上げること』に注目して設計しているロッドですので、そんなフィールドがアングラーの皆様の近くにありましたら、瀬戸内がホームグラウンドでない方もぜひ注目してください。
エリア特化型コンセプトではありますが、ロッドネームを『ICHIKISHIMA-SP』に変更したのはそういった意図もあります。
今後も、随時情報を公開していきます。お楽しみに!
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