「一日中フルにカバー撃ちをすることはありません」→ なぜ?

暑い、アツい、クソ暑い!!! うだるような熱波にやられて思考回路がシャットダウンしがちなこの季節。いったん頭をクールダウンして、3つのキーワードをもとに整理整頓。東西のアングラーたちにサマーパターンの攻略法を教わろう。

●文:ルアマガプラス編集部

2024 シーバス特集

Profile

折金一樹(おりかね・かずき)
1979年千葉県出身。房総リザーバーを中心にフルタイムのバスフィッシングガイドを営んでいる。2016年NAB年間優勝、2016&2018にH-1グランプリAOY獲得。オリカネ虫やオーバーリアル63ウエイクなどルアー開発の手腕も評価されている。

『カバー』の攻略キーワード

①定番のバックスライド系
②スピード重視のテキサスリグ
③濁ったらジグ!

カバー撃ちはアプローチが命。「リビング」を一投で射抜け!

人気フィールドのカバー撃ちは上級者向け?

僕のホームレイクの亀山湖には、大小さまざまな規模のカバーが点在しています。あまりにも数が多いので、なんでもかんでも撃つのではなく、条件を絞り込みながらチェックしないと効率が悪くなってしまいます。

「夏」というシーズンのセオリーを踏まえるなら、まずはそれなりに水通しのいい場所を探します。

ベンドのアウトサイドにあたる岩盤の周辺などは、わかりやすい好条件のひとつです。インサイド側でも、流れ込みが付近にあれば魚が寄っているかもしれません。

バックウォーターであれば全体的に流れが効きやすいので、アウトサイドとインサイドの両方に位置するカバーを探っていくこともあります。

カバーを釣る方法は無数にありますが、もっとも手堅く、多くのバイトが期待できるのはバックスライド系でしょうね。夏の魚は崩落系カバーやレイダウンの中途半端なポジションに浮いていることも多く、ニュートラルで、すばやい動きには反応してくれなかったりしがち。ほど良いスピード感と誘いを両立させて、うまく追わせて口を使わせるのに向いています。

ドライブスティックは発売からかなりの時間が経過していて、房総でもたくさんの人が投げていますが、不思議とスレにくい印象があります。

こういうフワフワした動きが逆に見切られてしまうときは、スピード感のあるテキサスリグも試します。ゲリラ豪雨などでインレットの濁りが入っていたりするとラバージグが有効。イレギュラーなアプローチとしてメタルバイブで攻めるのもアリですね。

ひとつお断りしておきたいのですが、普段のガイドで一日中フルにカバー撃ちをすることは、実はほとんどありません。経験値と技術が必要なハードルの高い釣りだからです。

ひとつのレイダウンを撃って2〜3本釣れるような、プレッシャーが低くて釣りやすいフィールドならまだしも、亀山湖は百戦錬磨の手練れがしのぎを削っているリザーバーです。多くのバスがカバーに入っている状況でも、的確なルアーを選び、狙うカバーのなかの最適なスポットを射抜き、一発で食わせるつもりでやらなければなかなか釣れません。

非常に高いスキルが求められる反面、それさえクリアできればほかのアングラーには手の届かないタイプの魚を食わせることもできる。それが関東の人気フィールドにおけるカバーゲームの実態ではないかと思います。

カバーにはさまざまな規模や種類があるため、「撃ち方」を具体的に解説するのは困難だ。バスが豊富だった時代には「手前側から徐々に」というセオリーもあったが、昨今はワンキャストで仕留める意識が大事。そこで、オリキンが推奨するのは「バスにとってのリビング」を想定してルアーを送り込むこと。カバーをバスの家だと仮定して、入り口でも寝室でもなく、ほどよく水通しのいい中間的なスポットを撃っていく。入り口や最奥にバスがいたとしても「リビング」にルアーを通せば反応する可能性がある。

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