チーム・ルアマガの新しいロッドコンセプトに乗ってくれたのが、人気のロッドメーカー『レジットデザイン』。おかげさまで、当初販売予定数を大幅に上回る注文を受け、来春発売に向けて着々と準備中。発表したのがどんなロッドかというと『地域特化型』を意識して設計したロッドなのです。こちらをレジットデザインの人気モデル『スクアド』で発売することになりました。どういうロッドなのかを詳しく解説します。
●文:ルアマガプラス編集部(深谷真)
地域特化型ロッド。コンセプト名『Aspecialize(アスペシャライズ)』第一弾は『瀬戸内海エリア』で磨き込んだアジングロッド
チーム・ルアマガで手がける新しいフィッシング・ギア・コンセプト『Aspecialize』とはArea(地域)+Specialize(特定のものに注目する。先鋭化する)という二つのワードを組み合わせた造語で、エリア・スペシャライズを略してアスペシャライズと呼びます。
簡単に言うと地域特化型のフィッシングギアを作っていこうというニッチコンセプトなのです。第一弾は『瀬戸内海エリアを特に意識したアジングロッドの開発』でした。名前も瀬戸内エリアの宮島に祀られている女神『市杵島姫』をモチーフにさせていただき、ICHIKISHIMA-SPとさせていただきました。市杵島姫は弁天様。弁天様は瀬織津姫という龍神様、流れの神様であり水神様。あやかりたいですね。
スペックは5ft5inの3P。ソリッドティップ。ノセ調子のロッドです。
※販売店向け情報 小売店で取り扱い可能です。メーカー(レジットデザイン)にお問い合わせください。
- 長さ:5ft5in
- アクション:ウルトラライト
- 継ぎ数:3ピース
- ティップ:ソリッド
- 対応ジグヘッド:0.3gから5.0g
- 対応ライン:3lb
- 素材:T1100G(東レ)
- 定価:35,800円(税抜予価)
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ニッチコンセプトではありますが、このロッドは2つの機能に注目。瀬戸内エリア独特の『潮流の速さ』そして、釣り場の『足場の高さ』。これに対応した機能を内包したかったのです。
国内において、瀬戸内エリアは大きな海の水道。下手をすれば海規模の流れる川だと表現しても過言ではないくらい潮流が強いエリアです。そんなエリアですから、そういった環境を意識したセッティングが必要になります。そこで、さまざまな要因を取捨選択し、注目したのは使用するジグヘッドの重さでした。
近代アジングでは1gを切る超軽量ジグヘッドの使用が流行となっています。アジの食性がプランクトン類をメインベイトとすることがわかってきたことから、フォール&ドリフトの釣りが主力になってきた背景があります。なるべく、アジがプランクトンを追っているレンジのワームを留めておくには、沈下速度が遅い軽いジグヘッドのほうが都合がいい。というのが大前提です。
しかし、これを真に受けて、どこのエリアでもジグヘッドのウエイトを軽く!軽く!ではアジャストできない局面も増えてきます。
瀬戸内で釣りをする地元アングラーに話を伺うと『1.2gから1.5gクラスのやや他の地域では重いとされるジグヘッドを使うことが多い』という回答を多くいただきました。であれば、ジグ単で、1.2gというジグヘッドを徹底的に扱いやすくしようというコンセプトがひとつ決まりました。『潮流の中で1.2gというジグヘッドを扱いやすくする』。
潮にモタレつつも、操作感を失わない『ノセ調子』
そこで、テストを重ねていくうちに、そういった環境のなかでは見逃しがちなアタリもしっかりとフッキングに誘導するノセ調子が良いのではないかという結論にいたりました。最初は、アジングロッドの流行と言える掛け調子でのサンプルも試したのですが、潮流を利用したアジングのキモは、なるべく違和感のないドリフトをいかに長時間続けるかということ。そのドリフトの粘りを演出するには、ノセ調子がベストという結論に至ったのです。
潮が強いエリアなら、張りのあるティップアクションの掛け調子でしょ!という当初イメージは重ねたテストから逆になりました。
ロッドのミッドを上手く使って、強い潮感を受け止めてドリフト制御したい。しかし、サンプル開発時にどうしてもロッドのミッド(ベリー部)の違和感が生まれます。それを解消するためにとられたのが、ロッドを3Pにすることでした。
開発を担当したレジットデザインの飯高さんは、テスターの違和感解消のためにミッド部に不用意な違和感を与える2ピースよりも曲がりのスムーズさがもたらされる3P化を提案してきたのです。
飯高「3Pにすれば、ミッド部にジョイントがきません。ノセ調子で、一番スムーズに曲がってほしい部分にあるジョイントという違和感が取り除かれるので、ロッドがしっかり働くと思いますよ」
これは、ミッド(ベリー)部を働かせることを意識したフライロッドなどでよく使われる設計手法のひとつ。この3P化により、ノセ調子としてのアジングロッドの味付けもかなり理想に近い飛躍を見せました。
あとは素材。最近のグラファイト素材では革新的とも言われる東レのナノアロイ技術が用いられたカーボン『T1100G』を採用したプリプレグを使用。アジングロッドに必要な感度を担保しながら、粘りのあるアクションを実現しています。詳しい情報は過去記事をごらんください。
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軽視されがちなファイト&ランディング機能に注目
このロッドの2つ目の大きなコンセプトは『足場高エリアが多いので、不安のない抜き上げの機能が欲しい』というもの。近年、残念ながら釣り人のマナー問題もあり、陸からの釣り場が減りつつあり足場が悪かったり、足場が高い悪条件での釣りが増えています。これは全国的な傾向と言えるので瀬戸内エリアのみの問題ではありませんが、それ以前から瀬戸内エリアの釣り場は比較的足場が高い場所で釣りをすることが多いという実情がありました。
「ネットを使うという選択肢もあるのですが、テンポよく釣りをしていくためには、自分の足場まで無理なく抜き上げることができるブランク性能って重要だと思います」
そんな声もあり、注目したコンセプトでもあります。ファイト性能やランディング性能というのはなぜか、ロッド開発時に軽視されがちですが、非常に大事な性能要素です。キャスト性能、操作性能、ファイト性、ランディング性能この4つはバランスが重要です。
アクションを重視した際の3P化がこのランディング性能向上にも繋がった
実は、先に行った1.2gというジグヘッドを使いこなすことを意識した設計が、このランディング性能向上にも副次的に良い方向に作用しました。ノセ調子を意識する場合にはミッドやティップに素直に付加に対して素直に『曲がる』性能が求められます。その実現に3P化が提案されたのですが、曲がったティップとミッドの負荷のピーク部にジョイントが配されたことから、ブランク自体のパワーに加え、ジョイント部のハリがさらに付加を分散することで、抜き上げやファイト時のパワー向上に繋がったのです。違和感なく曲がるのに、バットにプラスアルファのパワーがある。
ベンディングの調整、長さの調整などからプロトロッドを最適化し、5ft5inという長さが最終的に導きだされました。5ft5inの3Pというスペックは入念に調整されて最適化された、このロッドの必然となりました。このあたりの調整は、バスフィッシングのトーナメントシーンで残酷なまでにシビアなアクションを求められて応えてきたレジットデザインというメーカーの知見がまさに生きたと言えます。
潮流強いエリアの1.2gのジグヘッド使用、足場高ランディング性能がコンセプトと聞くと硬いロッドをイメージするかもしれませんが、こちら柳のように靭やかなノセ調子。ですので、0.3gクラスの最軽量ジグヘッドを扱うにしても、必要以上の性能を有しています。ご安心ください。
ちょっとこだわりすぎて開発に時間がかかりました!
ということで、むさ苦しいまでのコダワリを形にしてきた経緯もあり、当初発売予定を大幅に遅れての発売になりますが、瀬戸内エリアに限らず、似たシチュエーションで釣りをするアングラーの皆様が我々の予想を超えて多いからなのか、発売受注を開始して以来、予想を超えた注文をいただいております。店頭に並ぶのは来春になりそうですが、ぜひ、近くの釣具店にお声がけください。いまなら、まだ対応が可能です。
※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。