2013年の初代モデルからリニューアルを重ねてきたエギングロッドのカリスタが、2023年秋にフルモデルチェンジ。ラインナップを一新し9月にデビュー。前作とは何が違うのか? ロッドメーカーのヤマガブランクスが“ブランク屋”としての威信をかけ、世に送り出すニューモデルを紹介しよう。
●文:ルアーマガジンソルト編集部
【本記事はルアーマガジンソルト最新号!】
『ルアーマガジンソルト2023年11月号』(9/21発売)では、今回の記事の全文を掲載。特集はエギング、エキスパートのテクニックや最新タックル情報など満載!
カリスタに込められた、ブランク屋の底力
エギングはソルトルアーの中で比較的ライトなジャンルの釣りだ。ロッドは、軽くて投げやすくて高感度なほうが良い。激しいシャクリに対応するしなやかさと反発力も求められる。ここがほかのライト系ソルトルアーロッドとの一番の違いだ。
増田「軽さと強さ。しなやかさとレスポンスの良さ。相反する特性を持つエギングロッドは、ブランク屋の腕の見せどころでもあります」
というのは、NEWカリスタを紹介してくれるヤマガブランクス広報の増田直人(ますだ・なおと)さん。前作との一番の違いは?
増田「より楽に投げれて、楽にシャクれるということです。それを実現するのが、少ない力で曲げこみやすいブランクの設計です」
エギングのシャクリに対応するには、単に曲がるだけの軟かいロッドではダメですよね?
増田「新しいカリスタは小さな入力でサオが曲がり、サオの戻りで大きな出力を発生します」
小入力で大出力! ブランクに新素材を使っているとか?
増田「ブランクは他社さんと同じように最新の素材を使っていますが、重要なのは設計。ここが自社で設計・製造するブランク屋の強みであり、こだわりでもあります」
いくらブランクに最新素材を使っても設計によっては素材の持ち味が最大限発揮されないということですね。で、どんな設計を?
増田「そこは企業秘密ですが、全5機種のスペックをご覧いただくと、適合ラインの軸がPE0.6号というのがわかります」
全機種、細糸に対応?
増田「MLクラスで0.4号を使ってもサオが強すぎることはないです。ここも前作からの大きな変更点です。誘いや喰わせ方が進化して、より繊細になった現在のエギングに合わせています。PEラインも以前より強くなっていますしね」
ラインは細いほど飛距離が出るし、エギの操作性も上がります。
増田「そう。ライトライン対応で、キャストもシャクリも少ない力でもサオを曲げこんで、ロッドの反発力を活かしやすい。だから楽に投げれて楽にシャクれる。これが新しいカリスタのコンセプトです」
少ない力で曲がるからショートレングスでも飛ぶ!
カリスタ76ML/TJによるキャストシーン。取り回しやすく、キャスト精度が高いショートレングモデルだが、少ない力で曲がり、反発力があるから遠投性能も高い。
ブレないブランクが、釣獲性能を上げる!
“楽に投げれて楽にシャクれる”というのは、エギンガーにとって何よりありがたい特性。実際にキャストフィールやシャクリ感はどうなんでしょう?
増田「少ない力で曲げこみやすい設計というのは、ロッドの反発力を引き出しやすいということ。キャストは軽い力でより遠くに飛ばせます。シャクリも同じです」
軽いシャクリでエギをキレ良く動かせる?
増田「キレ良く、意のままに動かしやすいです。あとシャクった後にサオがブレない。つまりシャクリ後、エギに違和感のある動きをさせずにきれいにフォールへつなげます。動と静のメリハリがつけやすい。サオがブレないから喰う間を与えた瞬間からカリスタの高感度が活かせます」
キャストやシャクリだけでなく、イカにエギを抱かせる肝心な部分でもカリスタは良い仕事をするんですね!
増田「もう一つ言えば、細糸対応の新カリスタですが、全機種、2kgオーバーが楽に取り込めるバットパワーで設計しています」
全機種、春のでかイカにも対応。では、秋におすすめのモデルを挙げるとしたら?
増田「一つは76ML/TJですね。2.5号など小型のエギを使って、細かい操作がすごくしやすい。ワンドの奥など小場所の見えイカも攻略しやすいです。もう一本は90LML/S。長くてもシャクリでたわんで返す力が強いから手首への負担がすごく少ない。使用感は一般的な8ftクラスと変わりません。小型エギで飛距離も出しやすい。秋に足場の高い釣り場や広範囲を探るときにおすすめです」
個性豊かだがクセのない全5機種をラインナップ
NEWカリスタは、カリスタシリーズ初のLMLやMMHを導入。個性豊かな5機種をラインナップする。いずれも“少ない力で曲げこめる”設計によるクセのない仕上がりで、優れた操作性を実現。
持ち重りのしないバランスや潮の重み、イカの気配を感じる感度などエギングロッドに欠かせない性能すべてが磨き上げられている。Mクラス以下はPEライン0.4号が使えるライトライン対応もNEWカリスタの大きな特徴だ。
5機種共通の特徴
NEWカリスタ全モデル解説
【カリスタ90LML/S】
Lクラスの繊細なティップにMLクラスの腰のあるバットを融合。フォール中に流れの圧を感じ、微かなイカの触りもとらえる高感度長尺モデルだ。長さを感じさせないバランス設計で投げやすく、軽快な操作性を実現。流れの中でかけたでかイカを浮かせるバットパワーも備えている。長尺のブランクがでかイカのジェット噴射を懐深く吸収。トルクフルなバットで2kgクラスも余裕で寄せることができる。鞭のようにしなるシャクリの軽快感も93LML/Sの魅力。小さなモーションでエギをキレ良く動かすことができ、回遊待ちで楽にシャクり続けることができる。
【カリスタ76ML/TJ】
TJはテクニカルジャークの略でイカを誘き出し、エギとの距離を詰めさせ、最終的に抱かせる多彩なロッドワークに対応。サイトに代表される近距離戦はもちろん、遠投性、キャスト精度も高いので手返し重視のラン&ガンでも活躍する。
【カリスタ82ML/AR】
季節やシュチュエーションを問わないオールラウンドモデル。ブランクはストレスのない使用感を追求して開発し、キャストもシャクリも思いどおりに操ることができる。カリスタの“楽に投げれて楽にシャクれる”がもっとも体感しやすいモデルだ。
【カリスタ86M/PF】
パワー&フィネスのサブネームを持ち、シリーズの中ではパワー重視のハイレスポンスモデルという位置付け。単に強いだけでなく、静と動のメリハリや焦らしのステイなど高度な誘いが駆使しやすい繊細な操作性と優れた感度をあわせ持つ。
【カリスタ79MMH/AG】
AGはアグレッシブの略で、キレのあるシャクリを得意とするが、しなやかなティップとバットを使い分けることでスローなアクションに振ることも可能。エギの動きを自在にコントロールできる。MクラスのティップにMHクラスのバットパワーで設計。使用感はMクラスの軽快さで、3.5号エギをキレ良くシャクるアグレッシブな釣りが楽しめる。深場攻略や4号エギなど高負荷時に釣り人の負担を軽減する柔軟さと扱いやすさも備えている。
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