メタルスッテゲームは夜釣りが一般的。翌日、眠い目をこすりながらの仕事が辛くても、あのアタリをかける痛快感を味わうと次の休日も、となりますが…「メタルスッテは日中も楽しめます」とデイゲームを提案するのはその道のエキスパート富所さんだ。「とくに入門者の方に。色々見えるからレベルアップが早いです」。伸び悩み中級者対応、日中のメタルスッテ速修法を伝授!!
●文:ルアーマガジンソルト編集部
富所 潤 (とみどころ・じゅん)
ボートからエギを使ってアオリイカを狙うボートエギングを開拓し、普及させたパイオニアの一人。イカの生態研究にも熱心に取り組み、現在はメタルスッテゲームのエキスパートとしても活躍中だ。平生は整形外科医として働き、“イカ先生”の愛称で親しまれている。シマノインストラクター。
デイゲームは視覚による情報が上達をサポート
メタルスッテゲームは、イカの船釣りをルアーチックに進化させた釣り。仕掛けは、幹糸の先端にメタルスッテ(オモリスッテ)を結び、幹糸の途中のエダスを介してドロッパー(浮きスッテ)を装着するのが一般的といたってシンプルだ。
富所「サオ先にでる繊細なアタリをとってかけるのが醍醐味。簡素なリグだからこそ、誘い方など何かがちょっと違うだけで釣果に差が出る。そこが面白さでもありますよね」
ナイトゲームが主流というのは?
富所「ターゲットのケンサキイカをはじめとするツツイカ類は、昼夜深浅運動という習性を持ちます。要は日中はボトム。夜になると浮く。ナイトゲームは船の集魚灯でベイトフィッシュを寄せて、それを喰いにくるイカを狙います」
つまり船の近くにイカがいる?
富所「船縁の水面下10mで釣れることもあります。ただ浮いたイカはレンジがコロコロ変わる。釣れるタナにいかにアジャストできるかがナイトゲームの面白さであり、難しさでもあります」
日中のイカは底に?
富所「狙うのはボトムから上5mまで。レンジは一定です。あと夜は船の灯りが暗めだったり、自分の陰でサオ先が見にくいということもあります。デイゲームはサオ先がしっかり見えますからね」
夜よりアタリがとりやすい?
富所「そう。で、レンジが違うだけで、釣り方は日中も夜も基本的には変わらないです。日中に出る船も増えてきているので、デイゲームで基本を覚えればナイトゲームにも通用します。あと日中のほうが平衡感覚が狂いにくく船酔いしにくいし、翌日が仕事でも睡眠不足にならないのも良いですよね(笑)」
ナイトゲームの特徴:「夜のイカは浮く。ただしレンジは変わりやすい」
ナイトゲームは集魚灯の明かりで小魚を集め、エサを求めて船に寄るイカを狙う。
富所「イカの数が多く、狙うタナが日中より浅いから効率良く釣れます。ただ、釣れるタナが変わりやすいので面白いさと難しさが同居します。釣れるイカのサイズが選びにくいということもありますね」
デイゲームの特徴:レンジはボトム付近で一定。視覚による情報量UP!
デイゲームのレンジは、底から上5mまで。レンジで迷うことはない。
富所「ボトムから10m上まで探ることはほぼないです。船がイカの群れに当たるとバタバタッと釣れます。リグをボトムまで落とすのに時間がかかるなど、釣りの効率はナイトより落ちますが、日中は大きいイカが釣れる傾向があります」
富所「何よりサオ先のアタリが見やすい。釣れている人がどんなスッテを使ってどんな操作をしているかも見える。視覚でとらえる情報量が多いのがデイの強みです」
イカメタル デイゲームの5つの特徴
- 1.レンジが底付近で一定。迷わずにすむ
- 2.サオ先にでるアタリが見やすい
- 3.ラインの角度、同船者の釣果など視覚による情報が多い
- 4.平衡感覚が狂いにくく船酔い軽減
- 5.深夜まで釣りをしないので翌日がラク
メタルスッテゲームは年間通して楽しめる釣り
メタルスッテ(イカメタル)は、各地でシーズンなどが微妙に異なるが、通年楽しめる釣りだ。
富所「メタルスッテゲームのターゲットは春から夏はケンサキイカ。秋からは玄界灘でいうとブドウイカ(ケンサキイカの季節型)が多くなります。各地でヤリイカも釣れるし、地域や季節よってスルメイカが混ざることもあります」
年間通して手軽に楽しめるのもメタルスッテゲームの魅力だ。
市販の仕掛けを使えば手軽にトライできる!
メタルスッテゲームのベーシックな仕掛けは図のとおり。仕掛けは市販品があるので、リーダーに結び、スッテ、ドロッパーをセットするだけで実釣を開始できる。
デイゲームは、着底&操作感が把握しやすいメタルスッテでボトム攻略!
実釣は6時出船。昼すぎには沖上がりの完全デイゲームで実施。船は水深70mの海域に滑り込む。
富所「ナイトゲームのタナと比べると、倍以上深いですね。底を早くとりたいのでメタルスッテは、ストレートに沈むタイプ。でも、ソフトに落としてナチュラルに誘ったほうが良いので、号数はなるべく小さく。コロコロスッテの20号でスタートします。ドロッパーはフワフワスッテⅡラトルのMサイズ」
デイゲームは狙うレンジが深い分、メタルスッテの号数選びが重要になりそうですね?
富所「基本は着底や操作感がわかる号数を選びます。その中でナチュラルに誘えるようになるべく軽めを選ぶことですね」
ドロッパーの選択は?
富所「僕の場合は、潮に馴染ませて誘うのか。上下の動きで誘うのかで使い分けます。前者はフワフワスッテⅡ。後者はより浮力の強いフワフワスッテです。今は意外と潮がいってないですね。メタルスッテを替えてみましょう」
潮が効いていない…号数を落としても底がとれる?
富所「号数を落として、スッテのタイプも替えます。ノリノリスッテⅡの15号。水平姿勢気味にスローフォール。フォールで抱かせやすいタイプです」
この選択が当たり、実釣開始早々のファーストヒットは、メタルスッテとドロッパーの2杯がけ!
富所「ボトム付近でロッドを立てて持ち上げてからフォール。フォール中に軽くテンションが抜けてティップの戻りでアワせました。その後、重さが増して2杯目が抱いたのがわかりました。ロッドの感度が良いと水中の情報がより的確につかめます」
実釣開始時の仕掛けは、大型ケンサキと速潮を想定した仕様
今回、デイゲームで実績のあった仕掛け図は以下のイラストの通り。大型のケンサキイカと速い潮流に対応する仕様となっている。
富所「春から夏は大型ケンサキのシーズン。大型は大きくスローな誘いに反応しやすいので幹糸とエダスが長めの仕掛けをセレクト。エダスは20cm。潮が速くてもドロッパーを潮に馴染ませやすくなります」
ドロッパーが潮に馴染めば姿勢安定。その状態でしっかりと誘えれば、良型のケンサキイカが抱きやすくなり、釣果UPにもつながる。
状況に応じてメタルスッテのタイプを使い分ける
メタルスッテの使い分けも釣果に大きく影響する。富所さんが実践する、スッテ選択の実例を紹介して頂こう。
富所「魚雷型のコロコロスッテは頭を下に向けてストレートにフォール。シャクりとフォールの上下の動きで、速めのフォールに反応が良いときに効果的。潮が速いときや深場のボトムに早く落としたいときにも有効です」
富所「フラットな船型形状のノリノリスッテⅡは、水平姿勢気味のスローフォールでじっくりイカにアピールできます。よりスローなフォールに反応が良いときはノリノリ。ジャークするとドロッパーを引き連れて大きくスライド。リグ全体でアピールできます」
釣り方は誘いと食わせの間のメリハリを意識!
シャクりで誘って、ステイやフォールで抱かせるのはイカ釣りの基本。
富所「メタルスッテゲームで多用する誘いはシェイクです。あとはロッドを縦方向にジャークするなど色々試します。誘ったあとの食わせの間はステイが良いのか、フォールに反応するのかを探ります。
初心者にオススメの操作法は?
富所「入門者の方はまずは操作しやすい誘い方でOK。誘いと食わせの間のメリハリを意識して釣ることが重要です」
基本操作1「シェイク」
ロッドのベリーを中心にサオ先をゆするように上下動。ドロッパー、メタルスッテに小刻みなアクションを付けてイカにアピールする。
基本操作2.「縦ジャーク」
ロッドを縦にあおって仕掛けをリフト。足の長い動きでアピールする。ドロッパーやメタルスッテを潮に馴染ませてナチュラルに誘うときに有効。
アタリはサオ先の動きを注視! あやしいと思ったら即アワセ!
アタリはサオ先の動きを見る目感度でとるのが基本。そのため、サオ先には、常に意識を払っていることが重要となる。
富所「もたれていたサオ先が入ったり、戻ったり、震えたり、アタリの出方は色々あります。明確なアタリじゃなくても、あやしいと思ったらとりあえずアワせてみましょう」
この経験の積み重ねが、目感度の精度UPにつながる。空アワセが誘いになってイカが乗ることも。
九州の玄界灘エリアでは、日中でもイカメタルが楽しめる遊漁船も存在している。興味のある方は是非、トライしてみてほしい。
※別冊『1冊まるごとエギングVol.2』掲載記事より抜粋 ※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。