シャクりを行なう現代エギングとはメソッドが違う「シャクらない巻きの釣り」この釣り方はこれまでも何度か紹介してきた米田さんの特徴的なメソッドのひとつだが、決して特殊な釣りではなく、むしろエギングブーム以前からある釣り方だ。ここでは、そんな米田さんの経験とテクニックを元に、秋のナイトエギングの要点を紹介していく!
●文:ルアーマガジンソルト編集部(2022年11月号より抜粋)
米田浩久(よねだ・ひろひさ)
30年以上の「イカ釣り」経験を持ち、”塾長”の愛称で知られる林釣漁具製作所・餌木猿フィールドテスター。淡路明石周辺をホームに、回遊するアオリイカを狙う釣りを得意とする。大病を患いながらも、米田さんを慕う塾生たちのサポートにより現在もフィールドに足を運ぶ。「釣りはやめられません! 」という熱き一言とともに奮闘中!
釣果に差が出る「投げて巻くだけ」の釣りの奥深さ
辺りが暗くなった日没後の釣りは、米田さんが得意とする「巻きの釣り」で狙う回遊イカが本番を迎える。一見変わった釣り方のように思えるが、エギングという言葉が生まれ流行となる以前から、漁師が行っていた釣り方で長い歴史がある。
基本は沖に投げて巻くだけの簡単な釣り方だが、より釣果を伸ばすためには巻くスピードや誘い、特にどこに投げるのかといったことで釣果に差が出る面白さもある。そんな奥深い釣り方をぜひ試してみてほしい。
巻きスピードは極力遅く。コツはエギの抵抗を把握すること
エギが動く速さがゆっくりになれば、より長い時間イカにアピールでき、気づいてもらえるチャンスが増える。
米田「イカが抱きやすくもなるので巻くスピードは出来るだけ遅い方が良い。でも遅すぎると沈んだり、底を引きずってしまったりするから、潮の流れなど海の状況の違いで、エギにかかる抵抗が変わるが、同じレンジをキープできる速さで巻いてくるようにイメージしてみるといいで! 」
このエギにかかる抵抗の違いを把握することが巻きの釣りを上達させる秘訣だ。
潮の流れを把握することが、巻きの釣りのキーポイント
回遊するイカはより効率良く移動するため、海中の潮流に利用している。潮が大きく動く本流潮に乗って移動したり、流れてくるエサが集まりやすい場所に溜まっていたりする。
米田「潮の流れを把握し、イカがどこを通るのかや、どこに溜まるのかを探り、重点的にエギを通すことで釣果を増やす事ができるんや。イカは潮上から移動してくるため、エギも同様に基本的には潮上に投げる。キャストしたエギの抵抗で流れを把握する他にも、いつも潮目ができる場所は、海中にストラクチャーがあったり、岸際にゴミが溜まるような場所は潮のヨレが出来やすい場所だったりと、見てわかる変化もある」
職人の技が光る天然素材の『餌木猿』
桐ボディの質感や動きでイカを魅了する
ボディに使用している桐素材は、中が空洞になっているプラ素材ボディでは表現しづらい“身が詰まった”感や安定感、独特な波動を生み出す。餌木猿のカラーは1号から13号といった呼び方で呼ばれ、それぞれにテープのカラーがいくつかラインナップされている。
米田式カラーローテ
米田さんは1号の赤テープからスタートし、ピンク(11号)やオレンジ(12号)系の金テープやホロテープへとチェンジしていく。また、まさかのお助けカラーになるかもしれない「絶対使わなさそうなカラーを1つ持っておくといいで! 」というアドバイスも。
最終手段はスーパーシャローの枯茶(かれちゃ)
潮が流れなかったり、反応が得られなかったりした際の最終手段となるスーパーシャロー。沈下速度が遅くなる事で、同じレンジをよりゆっくりと探れるようになる。
餌木の構造豆知識
流通している一般的なエギは、ボディ、シンカー、羽根、金属パーツ、下地テープや布地などといったパーツを組み合わせて作られている。ボディとシンカー、羽根の材質や形状によってアクションに違いが起こる。豊富なカラーがあるエギは、ベース色となる下地テープを貼り、模様が描かれた布地を重ねることによって表現されている。
時合いを逃さないコツ
回遊する群れを狙うため、群れが移動しない間に再度狙うためには手返しが重要になる。キープサイズのイカは足下に置いたバケツに入れ、すぐに釣りを再開できるようにしておく。またキレイに持ち帰りたい時には、墨袋を取るためのフォーセップがあると便利だ。
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