Zマンの「チャターベイト」が全米を席巻する以前から、ルアーデザイナーたちは知恵を絞り、工夫を凝らしながら多彩な「ブレードルアー」をフィールドに送り出してきた。当たりハズレも激しいけれど、10年後のスタンダードになりそうなアイデアが光るアイテムも登場している。もちろんそれは日本でも同様。個性派ブレード系ルアーを手掛けた日本のビルダーたちを紹介していこう。
●文:ルアマガプラス編集部
この記事の詳細はルアーマガジン2023年11月号をチェック!
語り手
「水を切る」というアクションの意味
チャターの一種を作ろうと思ったわけではないんです。
「薄い金属の板で水を切る」アクションが出せるトップウォーターを作りたい、と考えたのがきっかけでした。クローラー系の羽根やハイパークランクのリップも「薄い金属の板で水を切る」タイプですよね。
単にブレードをぶら下げるのではなく、平面でしっかり水を受けて、キレのある動きで水を切っていく。この「キレ」も重要だと思っています。
ゆっくり左右に振れているだけの物体は、バスからすると「これはいつでも食えるから別にいいや」という存在なんじゃないかと。一方で、ブレードが左右にキレッキレの往復運動をしていると、思わずハッと反応してしまうタイミングが生まれる。なんとなくの感覚でしか言えないんですけど、そんな気がしています。
ただ、チャター系のブレードをルアーの下側に配置する構造には、実はかなり無理があるんです。土台であるボディーが安定していないと、すぐに動きが破綻して泳がなくなる。
たまたまゾーイに付けて横浮きにしてみたところ、扁平なボディーがブレードを押さえ込む働きをしてくれました。お尻にボリュームのあるシリコンスカートがあるのも大事で、形状との相乗効果でうまくいった。
どんな形状でもボディーをどんどん大きくすればアクションは安定しますが、それだとルアー全体のなかで「ブレード」の存在感が相対的に下がってしまう。それはこのルアーの意図ではなかったんです。
基本的な使い方は、動きが破綻しない範囲でスローに巻くだけ。風がなければロッドを立てて、ラインをたるませた状態でリトリーブしてください。移動距離を押さえて深めのレンジからもバスを呼びやすいので、低水温期にも比較的強いタイプだと思います。
なぜ「薄い金属の板で水を切る」と釣れるのか……ですか?
はっきりした答えはないのですが、小魚は泳ぐときに薄いヒレで水を切って泳いでますよね。それに通じるなにかが、もしかすると関係しているのかもしれません。
ゾーイトップブレード(T.H.タックル)
ゾーイトップブレードJr.(T.H.タックル)
【スペック】
- 全長:91mm
- 重さ:約22.5g
- タイプ:フローティング
ボディーは横になって浮き、巻くと下側のブレードが左右に水を切って本体を揺らす。約32gのオリジナルサイズ、そして約22.5gのジュニアの2サイズ。後者のほうがひとまわりブレードが小さく、やや速めのスピード域でも扱える設定になっている。「チャターのようにブレード自体を曲げて調整する必要はないです。ぶつけたりして泳ぎが狂ったら、まずはヒートンが歪んでいないか確認してください(濱田)」
濱虫(T.H.タックル)
【スペック】
- 全長:30mm
- 重さ:約3.7g
- タイプ:フローティング
「トップブレード」の構造を応用したハマテイ版・虫ルアー。「放置の釣りは苦手(笑)」という濱田自身のスタイルを反映して、ただ巻きやシェイクで積極的に誘うのに適している。バスのレンジが深いときに真価を発揮するアイテムだ。
TACKLE
【トップブレード&トップブレードJr.用】
●ロッド:フルレンジC63M/G(テイルウォーク)
●リール:タトゥーラSV TW103H(DAIWA)
●ライン:レッドスプール14lb
【濱虫用】
●ロッド:フルレンジS63L/SL(テイルウォーク)
●リール:ルビアスFC LT2500S(DAIWA)
●ライン:レッドスプール4lb
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