[冬のでかアジ攻略]レンジキープ&速度変化が喰わせのキモ! SHIMANOインストラクター・丹羽喜嗣

「私にとってのでかアジはゴーマルです(笑)」。尺超えが一つの壁といわれるアジングで、50cmを目指す丹羽さんがでかアジ攻略法を伝授! 「とくに難しいことはしていません。冬だから釣れるでかアジを楽しみましょう! 皆さんにもゴーマルのチャンスはあります(笑)」

●文:ルアーマガジンソルト編集部

2024 シーバス特集

丹羽 喜嗣(にわ・よしつぐ)

広島県在住。ライトゲームのスペシャリストで、ターゲットの生態にマッチさせた綿密なゲーム展開を得意とする。ホームは瀬戸内や四国エリア。アジングの楽しさ、奥深さを各メディアで発信している。ルアーマガジンソルト主催の「アジング王バトル 2ndシーズン」に進出。優勝の藤原さんとデッドヒートを繰り広げた。シマノのインストラクターをつとめる。

最低水温期前の12月~1月は、でかアジ狙いの好シーズン

サイズアップを図り、30cm以上のでかアジを釣る! というのが、今回の記事のテーマだ。寒さが増すこの時期のアジングについて、丹羽さんはどう捉えているのだろうか?

丹羽「サイズアップというより、その時季はでかいアジしか釣れないというか、逆に小さいアジは姿を消してしまいます。大型のアジと小型のアジとでは、居場所がまったく違います」

外気温は寒くても、水中はまだ暖かい12月はでかアジ捕獲のチャンス!

でかアジはアベレージサイズと動きが違うということですか?

丹羽「全国的にみても海は2月から3月初めに向けて水温が一番下がる。いわゆる最低水温期に入ります。その前の12月から1月は、水温が15℃から17℃で推移するエリアが多い。アジの適水温は16~18℃くらいなので、その頃はまだ摂餌活動(エサを捕食する行動)が盛んです」

ということは、水温が下がり切る前の12月、1月はでかアジの活性は高い傾向にあると?

丹羽「エサを追い回す活発な時季に相当すると考えています。そのエサになるのが、キビナゴやカタクチイワシなどの小魚。12月から1月頃だと小魚自体の動向も摂餌活動が盛んで、湾内などプランクトンが多いエリアに入ってきやすい。それをアジが追うという食物連鎖が成立します」

釣り場選びは小魚が目視できる場所が基本
12月~1月のでかアジのベイトは、キビナゴやカタクチイワシなどの小魚。丹羽「ベイトフィッシュを目視できる状況を探し出すのが釣り場選びの基本です」。ベイトフィッシュ探しがでかアジ捕獲への近道。その小魚を引き寄せやすい条件は次の3つだ。

つまり、でかアジが小魚を追って接岸する、釣り人の射程圏内に入るということ。となると、釣り場選びが重要になりますね?

丹羽「釣り場と、ベイトフィッシュを捕食するアジに合わせたルアーと攻め方。あとでかアジ狙いとはいえ、アジングなので再現性も欠かせない。釣り続けるためにはタックルセレクトも重要になります」

釣り場、攻め方、タックルの3つの要点を押さえれば尺オーバー、いやゴーマル捕獲の可能性も!? まずは釣り場選びから解説いただきましょう!

ベイトフィッシュが集まりやすいスポット

プランクトンが発生したまりやすい湾内
丹羽「1月頃は水温が下がりきっていないので小魚もエサを盛んに食べます。プランクトンが発生しやすい沿岸部に寄り、湾の内側はプランクトンも小魚も溜まりやすいです。漁港周りも同様に有望です」

安定した水量の小規模河川や流れ込み
丹羽「局所的に安定した水量で真水が流れ込むと、その周りでプランクトンが湧き、それを食べに小魚が集まるという食物連鎖が発生します。ポイントが絞り込みやすくなります」。大規模な河川の流入は汽水域を形成。ポイントがぼやける傾向にある。

水深10m強で小魚がたまりやすくなる
丹羽「自分の経験でいうと、12月から1月にでかいアジを狙う釣り場の水深は10m強が目安です。水深のある港内などはベイトフィッシュがたまりやすい。ある程度深いと水温が安定して、小魚も過ごしやすいはずですからね」

小魚を引き寄せる3条件がそろえば、でかアジが姿をみせる確率が上がるはず。

丹羽「ベイトフィッシュが目視できて、水深10m強あれば、磯でも漁港でも可能性があります。狙う時間帯は夜。小魚が湾内や漁港周りに入ってたまる。でかアジも寄ってきます」

ナイトゲームで冬のでかアジ捕獲せよ!

一定層で巻きながら、速度変化で喰わせるのが、デカアジ攻略のコツ

湾内や漁港周りでベイトフィッシュが目視できれば、でかアジも居る可能性がある。では攻め方は?

丹羽「私が基準として使うジグヘッドのウェイトは2g。でかアジは狙った泳層を外さずに一定レンジを通すのが基本中の基本で、私はまず表層から探ります。といっても最初からそんなに細かくアジャストしていかないですけど(笑)」

イメージは一定層をスゥーッと泳ぐ無防備な小魚
小魚を捕食するでかアジに対して、ジグヘッドリグをレンジキープしながら等速直線運動で通すのが誘いの基本。その姿は無防備に泳ぐ小魚。急激なレンジの上下動はアジに違和感を与え、スレやすくなるので注意だ。

具体的にはどのようにレンジを探るんですか?

丹羽「私は2gでカウント60くらいでボトムに着く水深で釣りをすることが多い。最初に表層を探るときはカウント5。反応がなければその3倍落とします。それでもダメなら中間の10カウント。反応のある泳層でよりアタリが出るように微調整に入ります。次に重要なのが巻きスピード。意外と速めです」

小魚を追っているからルアーも速めに泳がせたほうが良い?

丹羽「いや、2gをゆっくり巻くと投げた距離の中間点に向かって巻き下がってしまいます。ローギアのスピニングリールで1秒間にハンドル1回転くらいのスピードで巻いています」

【ヒットレンジの探り方】

レンジキープは巻きスピードとロッドワークで調整
丹羽「私の場合、巻きスピードは2gのジグヘッドで1秒間にリールひと巻きくらい。着水してカウントダウン直後の巻きはじめはロッドティップを高めに構え、徐々にティップを下げて最終的には水平から下に向けると足元付近まで一定のレンジをキープして通すことができます」

表層→下層→中間層の順で大まかに探り、アタリレンジを割り出す
丹羽さんのレンジの探り方は、まず表層から。2gのジグヘッドでカウント5。次にその3倍のカウント15で下層。さらにカウント10で中間の層を探る。
丹羽「最初は大まかに探って、アジの反応の良いレンジを見つけたらその層でカウントを細かく刻み、アタリレンジの微調整に入ります」

アジングとしては速めですね。

丹羽「何度も言うように、でかアジ狙いはレンジをキープして巻く、横の動きのが基本ですからね。もっとゆっくり巻くほうが良いときは、ジグヘッドを軽くします。さらに釣果を伸ばすコツとして、同一レンジで速度変化を付けます。等速で単調なアクションが続くと、アジが見飽きますからね」

速度を落とせば沈むし、速度を上げれば浮上しますが?

丹羽「一定レンジをキープして巻きながらチョンチョンッと2回くらいトゥイッチ。この泳層を上下させない速度変化を入れるために重要なのが、実はタックルなんです。でかアジ狙いの釣果はタックル、とくにロッドが左右すると言っても過言ではありません」

丹羽さんのでかアジ連発の流儀は「速度変化は同一レンジで!」

「でかくてもアジなので、単調なアクションが続くと釣れなくなる」というのが丹羽さんの理論。釣り続けるために有効なのが、トゥイッチによる速度変化ということだ。

丹羽「速度変化は同一レンジで行わなければならない、というのが僕の流儀です。トゥイッチでレンジが上下にズレると追ってきたアジが見切る。それを避けるにはしなやかなティップを持つロッドに頼るのが私のやり方です」

丹羽さん使用ジグヘッド&ワーム

丹羽さんが冬のでかアジ狙いで使用する主力ルアーは、TGファインヘッド+カップリングのジグヘッドリグ。

【丹羽さん推奨セッティング】

丹羽「小魚を食べているアジに水押しでアピール。カップリングはお椀状のリブが水を受けて一般的なピンテールタイプより強い水押しで誘えます。TGファインヘッドは高比重の小型タングステンヘッドで水の抵抗が少なく、トゥイッチ時のレンジの破綻が抑えやすいです」

丹羽さんのでかアジ狙いのジグヘッドは2gが基準。

丹羽「同じレンジでもっとゆっくり通したいときは1.2gまで軽くします。逆に2gでカウント30などアタるレンジが深いケースもある。そういうときは2.5gで効率良く探ります」

ジグヘッドのウェイトは2gを基準に1.2~2.5gを用意。

これから12月、1月にかけて、丹羽さんの言うでかアジシーズンに突入! 今回の記事を参考に、アジの適水温に合わせて活性が上がる大型サイズを是非狙ってみてほしい。


※本記事はルアーマガジンソルト2022年2月号より抜粋して転載しています ※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。