【唯一無二!】シーバス激戦区を「釣り勝つ」大人気シンキングペンシル 『バロール(エクリプス)』の秀でた実釣性能の秘密 とは!?[後編]

東京湾のシーバススペシャリストである前田泰久氏がプロデュースし、高い実績で全国のシーバスアングラーから支持を受けているシンキングペンシル「バロール」。今回の【後編】ではそんなバロールに搭載されたギミックを詳しく紹介する。

●文:立川宏

2024 シーバス特集

前編はこちら

同じ表層レンジでもシャローランナーでは獲れないシーバスが居る!

ミノーはリップが水を受けることによって自発的にボディを振ってアクションする。つまり泳ぐことによって多くの水を押していることになる。

一方のシンキングペンシルは、ミノーと同じように泳いでいるように見えても、構造上、水をすり抜けている。つまり、ミノーほどは水を押していない。

側線感覚が発達しているシーバスにおいて「水押し力」=「波動」は直接的にルアーのアピール力と直結することが多い。

だからこそ、同じ表層レンジを攻めるうえでも、フローティングミノーやシャローランナーでは獲れないシーバスがいる。東京湾奥というナーバスな環境下では、その傾向はさらに強くなる。

状況的にミノーだけが釣れるときがある。
状況的にシンキングペンシルだけが釣れるときがある。
状況的に両方のルアーで釣れるときがある。

前田泰久さんは単純に、シンキングペンシルでないと獲れない状況のシーバスを獲るためのシンペンを欲していた。

前田泰久(まえだ・やすひさ)
エクリプスプロスタッフ。通称『湾奥の仕事人』。ナーバスな東京湾奥のシーバスを1尾ずつ丁寧にキャッチしていくデリケートな釣りに定評がある。その実力はTSSTの3連覇という偉大な結果として残っている。口を使わないシーバスに、あの手でこの手で口を使わせる「引き出し」の多さは全国屈指と噂される。

「こんなシンペンがあれば、釣れる!」そう思いながらも、既存のシンペンでは、東京湾奥という最高レベルにシビアの状況に通用するルアーが見当たらず、辛酸をなめたことが過去に何度もあった。

だからこそ井上友樹さんとダッグを組んでバロール(エクリプス)を作り上げた。

バロール90/130(エクリプス)

130 [写真タップで拡大]

90 [写真タップで拡大]

【130 スペック】

  • 全長:130mm
  • 重量:20g
  • フック:がまかつSP-MH#6
  • リング:#3 

【90 スペック】

  • 全長:90mm
  • 重量:20g
  • フック:がまかつSP-MH#6
  • リング:#3 

井上友樹(いのうえ・ゆうき)
ジャンプライズ代表。ヒラスズキの世界記録をはじめとした、ショアからの大物ハンターとして人気が高い。ターゲットは大物だが、釣りの精度と理論は緻密を極めている。さらに、ルアー構想から、内部構造、CADデータ、プロトモデルの削り出しまでを、一人でこなす日本有数の天才的ルアー開発者としても知られている。

リトリーブ速度の変化で違うルアーになるバロール90の実力!

バロール90(エクリプス)は現在、数多くのアングラーから高い支持を集めている。

バロール90

固定重心でテールに近い位置にウエイトを設置しているバロール90は、ミディアムよりも遅いスピードで巻くとテールのウエイトが干渉して、意図的にテールを振らないように設計されている。

そのときのアクションイメージは、まるでシンペンのフォールアクションを彷彿させる。つまり、シンキングペンシル特有のフォールアクションを巻きながら横移動で可能にしたのがバロール90なのだ。

また、ミディアム~ファストに近い速度で巻くと、今度はしっかりとテールを振る。しかもボディを横に倒しながら、激しくテールを振る。エクリプスのプロスタッフの間ではこのアクションは「テールスライド」と名付けられている。

バロール90のアクションの詳細。

激しいテールスライド。そして、まるでフォールのような不気味な静けさをまとったアクション。
この相反する2つのアクションを、巻きスピードの変化だけで正確に使い分けられるのがバロール90の最大の武器といえる。

その強さは口コミで広がり、東京湾奥を視野に入れて開発したバロール90だが、気が付けば全国の激戦区へと活躍の場を広げていた。

単なるリサイズではない!コンセプトが異なるバロール130

バロール90発売から1年後(2017年秋)、サイズアップモデルとしてリリースされたのがバロール130。

バロール130

このルアーも当然、井上友樹さんがルアー職人としてチカラを発揮している。

130に課せられた任務は、90よりも圧倒的に出る飛距離だった。そのため、90より後方にウエイトが設置されている。結果的に90よりテールスライドは出にくい。

画像上がバロール130、画像下がバロール90。単なるリサイズモデルではなく、ウエイト位置からシルエット、さらにはコンセプトまで異なる別のルアーという側面もある。

メインアクションはロール主体。もちろんアクションは計算され尽くした末に到達した究極の動に調整されている。

130mmのボディサイズで、90mm並みのテールスライドアクションが出てしまうと、バタ付いた印象が拭い去れない。そのため、あえてテールスライドが起きる限界値のスピードを極限まで上げて設定されている。

つまり130でテールスライドを発生させるには、かなりのファストリトリーブが必要となる。そのスピードで表層を巻くこと自体が非常事態といえる(笑)。だが、非常事態がないとは言い切れないのが釣りの世界…。だからこそテールスライドの余白も残されて設計されている。

あくまでも通常のスピードで巻くと、細身であまり動かないロールアクション主体なのがバロール130の正体だ。

さらにもうひとつ、難攻不落と言われている、サヨリパターンにも効く…それがバロール130の強さのヒミツ。この場合、重要なのがサヨリパターン「にも」…の「にも」の部分。当然、バチなど他のパターンでも通用する。

また、130mmというレングスは東京湾を飛び出して、全国を視野に入れたサイズ展開といえる。

アングラーに与えられる余白部分のポテンシャルも充実

90、130ともにバロールは余白が多いルアーだ。余白とはつまり、使い切っていない秘めたるポテンシャルのこと。ノーマルで使っても、文句なく抜群の仕事をするバロールだが、ユーザーであるアングラーの腕が上達したときに備えて、意図的に余白が用意されている。

腕が上達したアングラーはその余白部分をチューンで埋めて、極限までシビアな東京湾奥戦を戦い抜くことができる。

具体的にはフックサイズを交換したり、チューニングウエイトを貼って、さらなるバロールの表情を引き出す。実際に前田さんが行っているチューンは、波が高い日にフロント部分にチューニングウエイトを貼って、水の中での粘り力を出している。さらに、飛距離をもっと出したいときには後方にウエイトを貼っている。ちなみに後方にウエイトを貼ると、横方向のアクションも潰すことができる。

このように、その日、その時のシーバスの機嫌に合わせて、マッチした表情を引き出すのがバロール上級者の楽しみ方といえる。


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