フォーナインマイスターホワイトウルフシリーズ完全ガイド!【松本幸雄】

その人気の高さから、現代のエリアロッドの中で最も入手困難と言われている【ホワイトウルフシリーズ】。プロトモデルまでカウントすると全8タイプ存在するホワイトウルフを、開発者の松本幸雄さんが完全解説。すべてのホワイトウルフシリーズを松本さん自身が解説するのは、なんと……メディア初。

●文&写真:立川宏

2024 新製品情報

Profile

松本幸雄(まつもと・さちお)
999.9ホワイトウルフマイスター開発者、ロデオクラフトスーパーバイザー。バリバスフィールドテスター。タレックスモニター。オプトさいとうフィールドテスター。伝説的エリアロッド『ホワイトウルフ』シリーズ開発者にして、ウッサ、BFの開発者。
誰からの影響も受けていない、超個性派理論は「独創性」に富んでいる。一見「奇想天外」に思える松本理論も、実は王道を直撃しているため、のちにエリアの常識として定着することが多い。エリア業界に数多くの「常識」と「定説」を築き上げた、影響力マックスのプロアングラー。

取材協力 ◎レイクユザキ

ヘラブナ釣り場も併設している大規模管理釣り場。茨城県のエリアゲームの情報発信基地としての信頼も厚い。水質はステインで数釣りから大型釣りまで楽しめる。ポンドの周囲が気持ちのいい芝生で覆われており、1日中大満足で楽しめるエリア。
◇住所/茨城県笠間市湯崎1099-5
◇電話/0296-78-0127
◇HP/https://yuzakiko.com/lake-yuzaki/

いつの日か自分もホワイトウルフ

深く透明感のあるブラウンに白文字…ひと目でホワイトウルフマイスターと判別できる

現在開発中の【ホワイトウルフマイスター62LS】までカウントすると、全部で8アイテムがそろう【999.9(フォーナイン)マイスターホワイトウルフ】シリーズ。どのモデルも松本幸雄さんの釣りスタイルにぴったりと寄り添い、丁寧に開発されている銘竿であることは歴史が証明済み。

トップトーナメンターから一般アングラーにまで、根強い人気を誇るホワイトウルフシリーズは、モデルごとのコンセプトが明確に分かれている。
また、ラインセッティングを変えることによって、ピーキーな特性から、比較的まろやかな特性までをカバーできる【使用幅】の広さも兼ね備えている。

ビギナーにはビギナー向けの表情で接してくれる。そしてエキスパートには、もう一段階、さらにはもう二段階奥にある別の表情を見せてくれる。

機能性や性能だけではない、コスメもカッコいい【ホワイトウルフ】。さり気ないセンスからあふれ出る高級感が魅力的。

その人気の高さ故、どのモデルも入手困難モデルであることは間違いないが、【いつの日か自分もホワイトウルフ】という夢を抱くエリアアングラーの数は計り知れない。

そんなアングラーの方々に向けて、開発者・松本幸雄さんが、各モデルの特徴を徹底解説。

松本さん自らが、ホワイトウルフ全モデルの解説をするのはメディア初。まさに永久保存版!

ホワイトウルフ62MLS

ヘビー級のオールラウンダーにして、現在の松本幸雄のメインロッド

高弾性素材×スローテーパーロッド

松本「62MLSの特徴をひと言で言うと、高弾性素材を採用したスローテーパーロッドです。エリアにしては、かなり強めで、張りがある素材を使用しています。

エリアトラウトで張りがある素材を使用する場合、テーパーをスロー側に設定しないと、ピーキー過ぎるロッドに仕上がってしまいます。

操作をしたいので、ある程度のティップの硬さは欲しい、だけど掛けたあとに、硬いだけだとバレやすくなってしまう。そのバランスを絶妙な領域で整えることに成功したロッドです。その分、開発が難しく、完成までには結構な年月を要しました。

ティップが入る、というよりは全体的に少し曲がるイメージのロッドです。ただ硬いだけだとフックが残らないですからね。

どのタイプのラインと組み合わせても面白い味付けになるロッドですが、自分の今の主流はナイロンかエステルでの運用です。」

◇レングス:6’2”
◇ウエイト:62g
◇ガイド:オールチタン+トルザイト(KL)
◇グリップ:AAコルク
◇価格:6万500円(税込)

ホワイトウルフ62MLR

以前の松本幸雄のメインロッドにして現在は【寝技&トップ特化型ロッド】

本来はオールマイティ系ロッド

中弾性素材を採用しているロッドなので、高弾性素材の62MLSと比較すると【ややもっちりしている】。

その分、レギュラーファストアクションの味付けにして、バッドに張りを持たせている。

ちなみに、62MLSの『S』はスローテーパーの『S』。62MLRの『R』はレギュラーテーパーの『R』。

「ロッドの特性としては、どのラインとも相性がいいオールマイティさがあります。ですが自分は、今では、ほぼエステルかP Eと組み合わせて寝技&トップ系ロッドとして使用しています。中弾性ロッドにP Eを組んで、ミスを減らしています。若干もっちりしているので、バレるリスクは少ないです。

62MLSで行うボトムと、62MLRで行うボトムの使い分けは、好みでもいいと思いますが、自分の場合は、細かい操作が必要な場合はMLS。一方、ある程度食ってくれて、ミスを減らしたいときにはMLRを使っています」

◇レングス:6’2”
◇ウエイト:68g
◇ガイド:オールチタンSic(KL)
◇グリップ:EVAオリジナルココア
◇価格:6万500円(税込)

時代と共に変化する【62MLS】と【62MLR】の役回り!

トラウトが変化した意味は大きい

「今回ご紹介した62MLSと62MLRの役回りですが、実は少し前までは2本のロッドの役回りは、まったくの逆でした。つまりは、以前は62MLRがメインロッドで、62MLSが寝技特化型ロッドでした。

なぜ役回りが逆になったのか? それは、数年前から始まったトラウトの変化もそうですが、それに伴う釣り方の変化、アングラーのレベルの向上。など、エリアを取り巻く環境が全般的に変化しているからです。そのため【しっとり巻く】だけでは、戦えない場面が増えました。そのようなトラウト事情によって、2本のロッドの役回りも変化しました」

現代のトラウトはかつてのようにただ巻きだけで簡単に食うトラウトはすぐに釣られてしまう小細工を駆使することによってようやく釣れるシチュエーションが増えて来た。そうした現実に合わせて、ロッドの役回りも変化する!

トラウトの変化に応じてロッドが担う役割も変化する

ホワイトウルフ62UL-e

しっとりスローに巻きたいときのエステル用ロッド

今では当たり前に存在する【エステル専用モデル】。62UL-eはそうしたエステル専用モデルの先駆け的存在にして、現在でも一軍で活躍するクオリティを誇る。

バットが【ML】でティップが【UL】のイメージ

62UL-eはホワイトウルフの中で、初のエステル専用モデル。スロー展開に特化したセッティングに仕上げられている。

松本「62L-TRZと62UL-eではテーパーがかなり違います。62UL-eは【UL】表記ですが、実はバットはかなり強いです。イメージはバットが【ML】で、ティップは【UL】と理解していただいた方がいいかもしれません。ラインに遊びがない分、ティップに遊びを持たせてあります。つまりはファストテーパー。

ラインが弛む状態で行う【スロー展開のしっとり巻きロッド】というのが、今の自分の中での位置付けです。

具体的にはデッドスロークランキングや、東山湖のような大規模ポンドではノア1.8gを遠投して、デッドスローで巻くときに使っています。遠投のスロー展開でラインが弛んでも掛けきれるバットパワーがあります。

バットが強いのでフルサイズのクランクも投げきれますが、スロー展開での運用が多いので、現実的にはモカで使うことが多いです。スプーンは0.9gまでが多いです。それより軽量スプーンは606L-eの方が断然扱いやすいです」

◇レングス:6’2”
◇ウエイト:68g
◇ガイド:オールチタン+トルザイト(AT)
◇グリップ:AAコルク
◇価格:6万500円(税込)

ホワイトウルフ62L-TRZ

細めのナイロン or フロロでしっとり巻く系モデル

しっとり巻くならLトルですね

クランベイト用ロッドとして非常に優秀

【Lトル】の相性で愛され続けているモデル。ホワイトウルフシリーズの中でも歴史は古く、今でも第一線の人気を誇っている中弾性ロッド。

松本「Lトルの自分の今の使い所は、0.4~0.6号くらいの細いナイロンで、しっとり巻きたいときのロッドです。バッドをやや柔らかめに設定してあるので、スローでしっとり巻いても、フックが残りやすいです。

エステル運用のクランキングロッドとしても非常に優秀です。ですが、バットが柔らかいので、クランクベイトを振り切るためには、少しだけコツが必要かもしれません。射程内にトラウトが居るときには、誰が使用しても最強のクランクベイトロッドになります」

◇レングス:6’2”
◇ウエイト:74g
◇ガイド:オールチタン+トルザイト(KL)
◇グリップ:EVAオリジナルココア
◇価格:6万500円(税込)

ホワイトウルフ606L-e

マイクロスプーンの小細工をさせたら至上最強のロッド

エリアトラウトのレベルが向上した現代において、必然的に必要になるのが606L-e

最強の食わせ系ロッド! 最強のフィネス操作系ロッド!!

「62UL-eはエステルを使用して、ラインが弛んだ状態で使用するロッドですが、606L-eはラインが張った状態でフックが残るセッティングのロッドです。どちらもエステル×スロー展開で使用するロッドなのですが、意味合いは大きく違います。

606L-eは0.9g以下のマイクロを操作して小細工ができるロッド。現代の仕掛けていく釣りをするときに、必然的に出番が多くなるモデルです。マイクロスプーン、デッドスロークランキング、ボトムの1点シェイクにおいて最強を誇ります。基本はエステルを使用して、リーダーの使い分けで味付けを変えています」

◇レングス:6’00”
◇ウエイト:60g
◇ガイド:T-LGTT4(1ヶ) T-KTTG4(4ケ) T-KTTG5(1ヶ) T-TATTG8(1ヶ) T-TATTG12(1ヶ)
◇グリップ:AAAコルク
◇価格:6万5,000円(税込)

ホワイトウルフ【62UL】と【58UL】

ホワイトウルフシリーズの中でやや毛色が違う2本

ホワイトウルフシリーズの中でも歴史が古い【62UL】と、比較的新世代に誕生した【58UL】は、最も優しい味付けのマイルドなロッドといえる。つまりは、ある意味ホワイトウルフシリーズにおいては、若干毛色が違う2モデルといえる。

松本「62ULはエステルがない時代にPE用に開発した低伸度対応ロッドです。PEで巻きを行うために、ティップに遊びを持たせたファーストテーパーです。PE対応ということは、もちろんエステルとの相性もバッチリです。

特筆すべきはナイロンやフロロと組み合わせると、ティップの遊びとの相乗効果で優しい味付けのセッティングになります。しかもバッドがしっかりしているので、ノアボスからBFまで使える上に、ミノーイングまでこなせます。本当の意味でのオールラウンダーです。初めて買うならオススメの1本です。自分も今でもロッドが1本しか使えない状況であれば62ULを選びます。

58ULは本当の意味で一番優しいロッドです。全ホワイトウルフの中で、最もトルクを落としているモデルです。太めのラインを使用してもバレないセッティングにしてあります。またレングスが短いので近距離での取り回しがいいです。手前のカケアガリで食うときに重宝しています。

現在の自分の使い所は乱打戦のときです。ファイト中にロッドが曲がりっぱなしなので、常にラインが張った状態になります。結果的にランディング中のミスがかなり減ります。ホワイトウルフシリーズの中では、最もミスなく使えるロッドです」

62ULと58ULはホワイトウルフの中でビギナーにも最も優しいロッドです

松本「現在、ホワイトウルフ62LSを開発中です。
62LSのイメージは62MLSをマイルドにした感じです。
変化したトラウトを釣るための操作系の釣りが一般化して、さらにその先のトラウトを釣るためのロッドです」

62UL

◇レングス:6’2”
◇ウエイト:73g
◇ガイド:オールチタンSic-S(K)
◇グリップ:EVAオリジナルココア
◇価格:5万5,000円(税込)

58UL
◇レングス:5’8”
◇ウエイト:65g
◇ガイド:オールチタンSic(KL)
◇グリップ:EVAオリジナルココア
◇価格:6万500円(税込)

TACKLE DATA

#001

■ロッド:フォーナインマイスターホワイトウルフ62MLS(ロデオクラフト)
■リール:18イグジストLT2000S-P(DAIWA)
※センシティブチューン(SLPワークス)
※ハンドル/RCカーボンハンドル40mm(ロデオクラフト)
■ライン/スーパートラウトエリアVA-GS 0.5号(バリバス)

#002

■ロッド/フォーナインマイスターホワイトウルフ62UL-e(ロデオクラフト)
■リール/18イグジストLT2000S-P(DAIWA)
※センシティブチューン(SLPワークス)
※ハンドル/RCカーボンハンドル40mm(ロデオクラフト)
■ライン/RCマイスターエステル0.35号(ロデオクラフト)
■リーダー/RCマイスターショックリーダー[フロロ]0.6号(ロデオクラフト)

#003

■ロッド/フォーナインマイスターホワイトウルフ606L-e(ロデオクラフト)
■リール/イグジストSF2000S-P(DAIWA)
※LEチューン(レビテーションエンジニアリング)
※ハンドル/RCカーボンハンドル40mm(ロデオクラフト)
■ライン/スーパートラウトエリアES2エステル0.2号(バリバス)
■リーダー/ナイロンショックリーダー/プロトタイプ(バリバス)

#004

■ロッド:フォーナインマイスターホワイトウルフ62LS/プロトタイプ(ロデオクラフト)
■リール/18イグジストLT2000S-P(DAIWA)
※センシティブチューン(SLPワークス)
※ハンドル/RCカーボンハンドル40mm(ロデオクラフト)
■ライン/スーパートラウトエリアVA-GS 0.4号(バリバス)

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  • 定価:1980円(税込)

※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。