全国のアングラーのフィッシングスタイルに大きな影響を与えているタックルブランド、DRT(ディビジョン・レーベル・タックルズ)。機能性やデザイン性に溢れるDRTのアイテムには、琵琶湖を愛する白川友也さんの美学が凝縮されている。
●文:ルアマガプラス編集部
白川友也
バス釣りはもちろん琵琶湖そのものが好き
白川さんにとって琵琶湖とは、10代のころからの憧れのフィールドであり、バスフィッシングの
原風景である。
白川「10代から琵琶湖に通いはじめて、かれこれ30年は琵琶湖で釣りをしています。昔からルアーを作ったり、チューンしたものを使って釣ったりしてました。若いころから琵琶湖に住みたいなぁとは漠然と思ってましたが、そのときは夢のまた夢でした。琵琶湖に移り住んだのは15年ほど前。DRTを立ち上げて、釣りで食っていこうと思ったので移住を決意しました。バス釣りがすごく好きであると同時に、琵琶湖そのものが好きなんですよね」
移住を決めた大きなポイントは、琵琶湖が持つ多彩な景色。
白川「琵琶湖はほんとうにいろいろな顔を持っている湖。東側に行けば平野が広がっているし、西側には山が近い地形になっている。南は街があるし、北は北ならではの独特の景色が広がっている。琵琶湖まわりはアウトドアをするにはとてもいい場所なんです。特に琵琶湖の景色が好きで、夕方に湖面を眺めていると、涙が出てくるくらい綺麗な景色が広がっているときがある。琵琶湖で釣りをしたり水辺で遊んだりしていると、人生を豊かにしてくれる気がするんです」
琵琶湖でずっと暮らすために業界の外から働きかける
DRTはロッドのチューニングやウッドクランクの製作から始まり、スイムジグ、ワーム、ビッグベイトとメーカーの規模を大きくしていった。
白川「アウトドアや音楽、スケート、ラジコンなど、釣りの世界だけではなく、いろいろな分野から刺激をもらって、ルアーのデザインやパッケージデザインに落とし込んでいます。ルアー作りのおもしろいところは、水に対してどのように動き、ブラックバスに対してどうアピールするかを考えて設計しなくてはいけないところ。人間からしてみれば正解がないものを追求していかなくてはならないんです」。
今では絶大な人気を誇るDRTのルアーだが、世間に浸透するにはそれなりの時間がかかった。
白川「クラッシュ9が出たころはビッグベイトブームが終わったころで、お店では売れ残っていました。なので、たくさんプロモーション動画を出したんです。アクションカメラでキャストからアクション、ヒットシーンを収めたものをSNSでどんどん出していったら、それが響いたみたいでルアーが浸透していきました。その後のブレイクは想像以上、自分が欲しいだけで作ったルアーがここまで認められるなんて嬉しかったですね」。
DRTのルアーは、白川さんも予期しないポテンシャルが後から発揮されることも多い。
白川「新たな使い方やチューニングがが生まれたり、他魚種で使ってもらえたり。ルアーはいろいろな偶然が重なってできあがってますし、遊びの余白も残してあります。ルアーにしろタックルにしろ、自分が信じたバランスで出来上がったものは、自分が想像する以上のポテンシャルを秘めているんだと思います」。
白川さんが憂いているのは、琵琶湖を取り巻くこれからの環境。
白川「琵琶湖は今、マナー問題などがかなり悪化しています。バスアングラーだけの問題ではなく、夜中にワカサギを獲る人が増えて、周辺の住民に迷惑がかかり、それが原因で駐車場が使えなくなったり立ち入り禁止の場所も出てきています。このままではマズイので、琵琶湖を愛する者として、琵琶湖を守るような活動をしていきたいと思っています。業界内で何かをするのではなく、釣り業界の外から何かできないかを、今いろいろと考えています」
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