動画連動の連載、奥田学さんによる『365daysフリースタイル』が好評につき、シーズン2へと突入! 初回エピソード1は四国・高知へと足を伸ばし、メジャーリバーでの陸っぱりバスフィッシングを敢行。…が、折しも季節は春の風物詩・三寒四温の三寒真っ只中…。強く冷たい雨、吹きすさぶ暴風…。でかバスを連打し続けてきた当連載の運命や如何に…
●文:ルアマガプラス編集部
航空便のため最小限タックルで挑む初回
4月上旬、高知龍馬空港へと降り立ったのは当連載の主、奥田学さん。普段は愛車での現地入りが多いが、今回は珍しく航空便での現地入り。ふんだんにタックルが詰み込まれた愛車とは異なり、ロッドは実に3セットという最小限に絞り込んでの移動となった。
奥田さんの右腕・バンタムは全て、2ピースはセンターカット、1ピースはグリップジョイント。いずれも手荷物預かりで収まる仕舞寸法で、超過料金も一切ナシ(※航空会社による)。それでいてパワー漲るポテンシャルを十二分に発揮することは、これまでの当連載を見ても明らかだろう。
奥田「いよいよ始まりました、シーズン2! だけど…地獄やね…」
意気揚々と高知へと乗り込んだものの、現地の天候は冷たい雨…。前夜から激しく降り続いた雨がフ
ィールドコンディションを劇的に悪化させていたのだ。
奥田「どこもかしこもド茶ニゴリ。川は雨に弱い。とりあえず少しでも水が良い場所を探していこう」
当初は波介川をメインとした釣行を目論んでいたが、雨に極端に弱い同河川だけでは太刀打ちできそうにない。周辺の河川も視野に入れ、まずは奥田さんの言う釣行第一段階「サーチ&バイト」を狙っていくのだった。
絶望の水況に心折らず奥田流〝サーチ&バイト〟
奥田「春は〝逆ワンド〟がベストスポットであることは間違いない」
濁流により「壊滅状態」と判断した波介川から向かったのは、仁淀川の下流域。山間部の上流域は清
流として知られるが、下流域は市街地を流れシチュエーションとしては波介川に似通っている。
産卵がキーとなる春の季節。本流の流れを避け、水質、水温共に安定する逆ワンドはバスがコンタクトしやすい地形であることは間違いない。時期的に産卵にはまだ早い時期だったが「気の早い大型はきっと差し始めている」。そう奥田さんは読んだのだった。
だが、その鋭い読みも無念…。前日からの雨は逆ワンドさえも濁流化させ、チェイスやバイトはあるものの、キャッチには至らない。水質の回復を待つべきか。いや、実釣時間には限りがある。ビッグベイトとスイムベイトを軸に、時にビッグクローラーベイト。なおもサーチ&バイトを続けていく。
奥田「少しでも可能性があるならば、挑むしかない、今はやるしかない。来たらでかいのは分かっている」
再び仁淀川から波介川へ。移動中にふと閃いて向かったのが、それまで確認したことがなかった最下流域だった。
奥田「かつて陸王で2回ほど来たことがある波介川だけど、ここは初めてのエリア。流程に幾つもある堰
のおかげで、ここまで来ると水質も流速も比較的落ち着くんだね」。
リップラップのストレッチを流し始める。ここで投入したのがスイムベイト「春に最も実績がある」という、奥田さん伝家の宝刀・デビルスイマーだった。
奥田「早春の上がりっぱなはデッドスローなんだけど、そこまで早い時期じゃないんである程度のスローでいい…ん⁉」
水中の様子に異変を感じた奥田さんは巻きの手を止める。即ち見える水深を泳いでいたデビルスイマーがボトム方向へと。そして着底を感じるや強めのトゥイッチを開始してリアクションで挑む。すると、つ・い・に!
奥田「何とか1本目! いや、そう簡単じゃないね…。でも、リアクションが決まった会心の1発‼」
濁りと激流の苦境を打開して、場所選びと釣り方を研ぎ澄まし、シーズン2の開幕を飾る1本!実に、実に見事な展開だった。
天候回復も水況はさらに悪化の一途…しかし!
奥田「昨日の終盤に『2日目の期待値はゼロ』と言っていた通り、今日はまた新たな状態で間違いなく厳しい状況やと思う」
雨が強く降っては一時止み、そして再び降り始め…というルーティンを繰り返した前日とは異なり、この日は朝から空は晴れ上がった。その高気圧に加え、降雨の翌日はどんな季節でも難しさを極めるものだ。殊に川となればなおさらだ。
奥田「波介川の各堰が全開放しとるもんで、全域が激流。反転流もなく、岸際は浅いし、攻めどころがわからん状態やわ」
波介川を最上流域から要所要所を隈なく攻め下るも、奥田さんは苦悶の表情。前日に1本を仕留めた最下流こそ水質に大きな被害はないが、高気圧が魚の活性に妨げとなる。また期待の仁淀川の逆ワンドは前日も増して濁りを増してしまっていたのだった。
奥田「何かのタイミングが欲しいね」
昼は近隣のスーパーで食材を仕入れ、当連載恒例の奥田丼タイム。詳細は下記をご参照いただきたい。
小一時間ほどで大満足のランチを済ませた後は再び波介川最下流へ。
奥田「今日の唯一と言っても良い、生き残っているエリア。うぉ、風が強く吹き始めた! さっきとは逆や」
順流方向の風が逆流方向の風へと変化。それも強く、爆風状態。本来であれば逆流の風は流れを止め、活性を下げるが、この急激な爆風は魚に何らかのスイッチを入れたのだろう。
奥田「リップラップの張り出し、岩に当ててシェイクしたらようやく食ってくれたわ!」
万能の極み・バンタム274M+であらゆるフィネスリグを遠投&繊細な攻めが奏功。好天でプロップマルチの超ナチュラルアクションが低活性バスの口をこじ開けたのだ。そして運命の最終日へ…。
この時を待っていた! 最終日、怒涛の3連打!
表層で誘い、中層〜ボトムで食わせ!
最終日奥田さんの読みは的中!
ここでは、その模様をダイジェストでお届け。まずは逆ワンドのエンド、魚が差し始めたのを確認するや、表層のプロップマルチでミスバイト。
直後にジグヘッド2.5グラムへスイッチしての「細かいシェイクで上げ落としのボトム転がし」で強烈バイト!
尾の付け根が太く体高のあるリバーバスは「メチャクチャ強い引きだったね」。
その全長は48センチ!
24バンタム新作、ジジル派生モデルが威力!
魚は表層をクルーズ。しかし、プラグなどの強い波動に反応するほどの活性はない。投入したのは2024新作のジジルプロップ。
奥田「i字系ジジルにペラが付いてデッドスローに引ける」
水面直下からやや下、目で見えるか見えないかのギリギリのレンジをトレースすべく板オモリチューン。
奥田「1グラムくらいで若干レンジを下へ。今後、水温が温まったらより重くしていくのはサスペンドプラグの場合と同じ要領やね」
カバー際の中層を攻略した絶妙セッティング!
「カニが多いね」とセレクトしたカニ型ワーム・コブシのラバーチューン。
結んだラインにはTGスリムシンカークイックチェンジャー(バリバス)をセット。
奥田「シンカーをチョン掛けするだけでノーシンカーからフリーリグに早変わり。通称・ズボラリグ(笑)」
エラストマー製のコブシは浮力が高く、シンカーを介しても中層に浮いてアピール。
奥田「カバー際に浮いたニュートラルな魚に効いた」
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