近年、いろんなロッドメーカーから「硬めのソリッドティップ」を搭載したベイトタックルが登場している。その機能と役割、モデルごとの個性を深堀りしてみよう。今回は鬼形毅さんにワイルドサイドのソリッドティップモデルについて触れてもらった。
●文:ルアーマガジン編集部
鬼形毅さんのプロフィール
鬼形毅(おにかた・たけし)
1971年埼玉県出身。大手メーカーのロッドデザイナーとして活躍後、2016年にレジットデザインを立ち上げる。JBトーナメントプロとしての豊富な経験をまじえたリアルなロッド作りに定評がある。
「戻りの遅さによって得られる情報量」
ソリッドティップの現在と未来
「硬めのベイトロッドにソリッドティップ」というセッティングに本格的に取り組みはじめたのは、比較的最近なんです。
レジットデザイン以前から、アラミド系の補強材を利用したロッドを作ってきました。これを使うとブランクがじわっと曲がる方向の味付けになる。チューブラーでも設計しだいで充分に多彩なロッドができるんですよ。
いよいよソリッドティップを作ろうか、となったのは、ラインをたるませて使うリグが増えてきたことがいちばんの理由ですね。フリーリグだったり、カバースキャットのような高比重系ノーシンカーだったり。
こういうリグを投げて、着底してスッとサオを立てたとき、ラインをピンと張らなくてもフロロカーボンに掛かる水の抵抗が明確に感じられる。ソリッドティップにはそういう特性があります。
ベリーやバットのチューブラー部分に比べて反発力が弱い、つまり戻りが遅いからこそ、ソリッドティップは少し「垂れる」ような感じになるんですが、それによってリグやラインの挙動がイメージしやすくなる。
振動を手元に伝える力、いわゆる感度はむしろ落ちているんですけど、「情報量」は増える。そんな感覚ですね。
基本的には先ほど挙げたようなワームの釣りに向くスペックですが、将来的にはジャークベイトやトップウォーター、フロッグ用ロッドに応用することも考えられる。ロッドワークを多用する釣りですね。
ソリッドティップとチューブラーの継ぎ目をうまく利用して、ラインを張ったり緩めたりする動作を誰でもオートマチックにこなせるロッド……とかね。強度面などのハードルはありますが、可能性は大いにあると思います。
ワイルドサイド WSC-ST610ML(レジットデザイン)
当初は琵琶湖でのライトテキサスなどを想定して平村尚也さんと開発をスタート。「ウイードに食われすぎるソリッドティップは使えない」というイメージを覆し、適度なスタック感を備えた1本に。ヘビダンやボリュームのあるネコリグなどにも適している。
ワイルドサイド WSC-ST66MH(レジットデザイン)
レジットデザインのワイルドサイドでソリッドティップ採用したベイトモデルは4機種。いずれもティップ部分に色の入ったスレッドを配置しているのは「手元に伝わってこないがソリッドティップは反応する」というバイトがあることを鬼形さんがよく知っているから。視覚的にも“情報量を増やすための工夫だ。
当初は琵琶湖でのライトテキサスなどを想定して平村尚也さんと開発をスタート。「ウイードに食われすぎるソリッドティップは使えない」というイメージを覆し、適度なスタック感を備えた1本に。ヘビダンやボリュームのあるネコリグなどにも適している。
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